91年に経営危機に陥ったとき、救いを求めたのが、英国のロン
バート街にあるスコットランド銀行だったという話をしました。
そのスコットランド銀行の米国代表であるパット・ロバートソン
――ブッシュ家が公私ともに世話になっているキリスト原理主義
の牧師だったのです。
ところで、英国のロンバート街の世界最大手の銀行はスタンダ
ード・チャーター銀行(SC)です。この銀行の旧名は、ロード
・ミルナー・セシル・ローズ銀行というのです。
ロード・ミルナーは、ロード・ミルナー卿のことであり、彼は
世界各地でアヘン貿易を行い、有色人種の大量虐殺を行ってきた
東インド会社の創始者なのです。
セシル・ローズは、南アフリカで黒人を奴隷化し、金とダイヤ
モンド鉱山を開発して、世界の金塊とダイヤモンドを独占してき
たデビアス――アングロ・アメリカン社(AA)の創始者なので
す。現在、父ブッシュは、このAA社のカナダ支部であるパリッ
ク・ゴールド社の役員を務めているのです。そして、黒人を奴隷
とすることを定めた悪名高い南アフリカのアパルトヘイト法を起
草したのが、スコットランド銀行なのです。
しかし、ロンバート街のSCは英国支店に過ぎない存在であり
ヨーロッパ全体を対象とするのは、イタリアのロンバルディアに
ある銀行スコシア・モカッタ銀行なのです。この銀行は、SCの
本店に当たるのです。
しかし、既に述べたように、ロンバルディアの銀行は、本店を
税金が課されないベネチアに置いているのです。ベネチアの金融
界は狭いギルド社会であり、過去800年間にわたってベネチア
の金融界を支配してきたのが、デル・バンコ一族なのです。ここ
で「バンコ」とは銀行の語源であり、事実上デル・バンコ一族が
世界の銀行を支配する存在として君臨しているのです。
なお、デル・バンコ一族は、課税を逃れるため、ヨーロッパで
は、ウォーバーク銀行を経営しています。このウォーバーク――
もちろん、あのロスチャイルド家のポール・ウォーバークに深い
関係があります。1913年にポール・ウォーバークは米国に渡
り、米国のウォール街に指示して、米国の中央銀行であるFRB
を創立したことは、既に述べた通りです。
ポールはやがて自身がFRBの議長になりますが、FRBの事
務的な仕事や雑用をベネチア支店の、そのまた支店である米国の
世界最大のシティ・バンクに担当させているのです。このように
デル・バンコから見ると、親子が米大統領を務めたブッシュ家な
どは、単なる雑用係に過ぎないのです。
現在、デル・バンコ=スコシア・モカッタ銀行は、ロンドンで
金の取引を独占しています。ロンドンの貴金属取引所――ロンド
ン・メタル・エクスチェンジ(LME)の「黄金の間」と呼ばれ
る部屋において、毎日デル・バンコ一族を中心とする5つの銀行
(業者)が集まって、国際的な金の価格が独裁的に決められてい
ることも既に述べた通りです。5つの銀行を再現しておくことに
します。ここまで述べてくると、金の世界を牛耳っているのが、
デル・バンコ一族であることがわかるはずです。
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1.ロスチャイルド
2.モカッタ
3.ジョンソン・マッセイ(メイス・ウェストパックが継承)
4.サミュエル・モンタギュー
5.シャープ・ピクスレー
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このように、デル・バンコ一族は金をベースとして金融の世界
を支配しています。金の先物市場の創設を仕掛けたのもデル・バ
ンコ一族なのですが、その中核部隊といえるのがBIS――国際
決済銀行ではないかといわれているのです。
BISはユーロダラー市場を支配しており、世界の銀行の自己
資本比率をコントロールしたりと、私的銀行であるのに「中央銀
行の中の中央銀行」といわれているのですが、BISの幹部のほ
とんどは、デル・バンコ一族なのです。
デル・バンコ一族は、金の先物市場の創設を考えたとき、金を
何としても集める必要があったのです。そのための布石として、
デル・バンコ一族がやったのが、中央銀行の金塊を貸し出させる
制度の創設なのです。この一族の力を持ってすれば、各国の中央
銀行をコントロールするぐらい簡単にやれるほどの力を持ってい
るのです。
「金を投資の対象とすべきでない」と説得するときよく使われ
る話法に「金は金利を生まない」というのがあります。確かに金
は単に保有しているだけでは利息を稼ぐことはないのです。
しかし、これは紙幣であっても同じことです。紙幣をタンス預
金にしておけば金利は稼げないのです。それを積極的に貸し出し
て、金利を取るしかないのは同じことです。銀行にお金を預ける
ということは銀行に対する貸し付けを行っているのです。
この論理で、デル・バンコは、中央銀行に対して「金リース/
ゴールドローン」を説得して実施させたのです。
あのフェルディナント・リップスは、これについて次のように
いっているのです。
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金は銀行券と同じく、ただ保有しているだけでは何も生み出さ
ない。1980年代初頭、想像力が豊かなウォール街のディー
ラー数名が、この現実を変える方法を考えついた。ゴールドロ
ーンと金の先物売りが、その方法である。そして、彼らは、こ
のアイデアを金の保有者や金鉱所有者に売り込んだ。
フェルディナント・リップス著/大橋貞信訳/徳間書店刊
『いまなぜ金復活なのか/やがてドルも円も紙屑になる』
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――[金の戦争/28]
≪画像および関連情報≫
●ロンバルディアについて
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古代ローマ時代、ロンバルディアはピエモンテと共にガッリ
ア・キサルピーナ(アルプスにより近いガリアの意)と呼ばれ
る属州の一つであった。568年、ゲルマン人、ランゴバル
ト族が侵入し、ランゴバルド王国を築く。774年、カール
大帝により首都のパヴィーナが陥落し王国は滅亡。1162
皇帝フリードリッヒ1世――バルバロッサにより、ミラノも
征服され破壊された。1167年に成立したロンバルディア
同盟により復興する。そのころからヴィスコンテイ家が台頭
しはじめ、1395にはジョヴァンニ・ガレアッツォ・ヴィ
スコンティがミラノ公になりミラノ公団が成立する。
――ウィキペディア
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