2008年07月08日

●「スイスの小鬼たちの暗躍」(EJ第2363号)

 なぜスイスに膨大な金の現物が集まったのでしょうか。このこ
とを理解するには、現在真に世界を動かしている勢力の正体とは
何なのかについて知る必要があります、
 作家の広瀬隆氏は、『アメリカの経済支配者たち』という本の
中でその疑問に相当踏み込んで答えています。日本をはじめ全世
界に影響を与えるアメリカ――そのアメリカを動かしているのは
大統領でもなければ二大政党でもないのです。ロックフェラー、
ヴァンダービルト、モルガン、アスターといった財閥の遺産相続
人たちなのです。彼らはヨーロッパの財閥ともつながっており、
その要請と指示に従ってウォール街のビジネス集団は活動するの
です。ヘッジファンドの大物たちですら、実は財閥に使用される
投機屋にすぎなのです。
 広瀬隆氏は、金に関してこの本の中で、次のように書いている
のです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 ゴールドの世界は、南アメリカのオッペンハイマー家によって
 動かされてきた。かつてイギリス人のダイヤ王セシル・ローズ
 が、ロスチャイルド家の資金を得て1888年にデビアスを設
 立してアフリカ南部全域を支配した。彼の死後、1917年に
 アーネスト・オッペンハイマーがアングロ・アメリカンを設立
 して、南アの鉱区を完全支配してから、息子の二代目ハリーを
 経て三代目ニコラスに至った。(中略) 最近のデビアスは97
 年にフランスのエドモン・ロスチャイルド男爵の死後、息子の
 バンジャマンに実権が継承され、97年時点で、デビアスが姉
 妹会社アングロ・アメリカンの株を38.4% 保有している。
                 ――広瀬隆著/集英社新書
             『アメリカの経済支配者たち』より
―――――――――――――――――――――――――――――
 デビアスといえば、南アフリカ共和国のヨハネスブルグに本社
を置くダイヤモンドの採掘・流通・加工・卸売り会社であり、資
源メジャーのひとつです。
 デビアスといえば、今年の3月に銀座・マロニエ通り沿いにデ
ビアス銀座ビルが完成しています。このビルは、シュールに歪ん
で見える不思議な建物であり、話題を呼んでいます。建物の基本
設計は、光井純&アソシエイツによるものです。直接話に関係は
ないですが、話題として使えます。
 話を整理しておきましょう。いわゆるチューリッヒの小鬼たち
は、世界の二大鉱山国のソ連と南アフリカから、金の現物――金
塊を仕入れていたのです。
 チューリッヒの小鬼たちは、このようにして手に入れた金塊を
米国をはじめ西側の中央銀行に売り込んでいます。そのうえ
で、チューリッヒの小鬼たちはこれらの金塊を巧妙な手段を駆使
して回収してきたといえるのです。
 その巧妙な手段とは具体的に何を指しているのでしょうか。
 彼らは金塊によって世界を動かせると考えており、そのために
は戦争を起こさせることもためらわないのです。第1次世界戦争
も第2次世界戦争も、結局、裏では金がからんでおり、これも金
の戦争といえるのです。
 このように、チューリッヒの小鬼たちの暗躍にロンドン市場は
ただ黙って見ていたのではなかったのです。それは「金の先物取
引」を始めることで、少しずつ金の世界での主導権を取り戻して
いこうと考えていたのです。
 この話には信憑性があります。それは、それまでロンドン市場
で行われてきた金価格の値決め――フィキシングが先物取引その
ものであるという意見があるからです。
 ロンドン市場では昔から次の5大業者が毎日2回集まって、金
の価格を決定しているからです。
―――――――――――――――――――――――――――――
        1.ロスチャイルド
        2.モカッタ
        3.ジョンソン・マッセイ
        4.サミュエル・モンタギュー
        5.シャープ・ピクスレー
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、実際に価格に本当の影響を与えるのは、チューリッヒ
のはずです。それは、これらの5大業者とスイスの三大銀行は元
をただせば、同じ一族であり、ロスチャイルドを頂点とする系図
の中にすべて収まるのです。そして、彼らの中から、国際決済銀
行の総裁もIMFの総裁も選らばれているという事実です。
 つまり、こういう構図になるのです。主要各国の経済・通貨政
策をめぐる動きというものが表舞台としてあります。しかし、そ
の舞台裏では、上記の五大業者に代表される財閥の動きや思惑が
あり、さらにその深層では、チューリッヒの小鬼たちが暗躍して
いるというものです。
 ところで、なぜ、国際決済銀行――BISが金にからんでいる
のでしょうか。
 それは、この銀行がソ連からの金塊の大部分を受け入れる窓口
になっていたからです。ソ連は金塊を国際決済銀行に持ち込んで
ユーロダラーを受け取り、工業製品や化学製品を西側から輸入し
ていたのです。そして、金塊はここからスイスの三大銀行に流れ
るようになっていたのです。
 BISは「国際決済銀行」という名前が付いているので、雰囲
気として公的な銀行と思われますが、銀行そのものは私的な銀行
であり、スイスの三大銀行と裏でつながっているといわれている
のです。
 それにもうひとついえることは、金を扱う5大業者、スイスの
三大銀行、米系証券、投資銀行――これらの人々は、ほとんどユ
ダヤ人なのです。というと、金の戦争はユダヤに深くかかわって
いることになります。さて、明日のEJから、金の戦争は次のス
テージに移動することになります。 ―――[金の戦争/22]


≪画像および関連情報≫
 ●デビアス銀座ビルについて
  ―――――――――――――――――――――――――――
  デビアス・ダイヤモンドジュエラーズ/本社=英ロンドンは
  3月28日、マロニエ通りにアジア初の路面店「デビアス銀
  座本店」(中央区銀座2)をオープンする。昨年4月にオー
  プンした「ボッテガ・ヴェネタ」隣に位置する同店は、光井
  純&アソシエイツ(目黒区)が設計を手がけた「空に向かっ
  て歪みを見せる」特徴的なデザインのビルの地下1階〜2階
  の3フロアに出店する。総面積は330平方メートル。  
           http://ginza.keizai.biz/headline/601/
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デビアス.jpg

posted by 平野 浩 at 04:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 金の戦争 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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