場は2週間にわたって閉鎖されたのです。これによって、金の協
調介入のために設立された金プールは正式に終了したのです。そ
して金市場が再開されたとき、金ビジネスの構造は大きく変化し
ていたのです。
各国の中央銀行と金融機関は、「1オンス=35ドル」という
公式価格で取引を続ける一方、自由市場では金の価格が自由に変
動する二重構造の市場が生み出されたのです。中央銀行は自由市
場には一切かかわることはできない仕組みなのです。
これに伴ってがぜん存在感を増してきたのがスイスの三大銀行
です。彼らは積極的に金の取引に乗り出して、スイスは世界の金
現物市場の80%を占めるようになったのです。
ちなみに、ここでスイス3大銀行というのは、次の3つの銀行
のことを指しています。
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1.スイスユニオンバンク ・・・・・ SUB
2.スイス銀行 ・・・・・・・・・・ SBC
3.クレディスイス ・・・・・・・・ C S
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これらの3行は、スイスの独自の銀行法によって、いずれも巨
額の預金を有していますが、スイスユニオンバンクとスイス銀行
は、1998年に合併し、プライベートバンキング(個人顧客管
理業務)部門で世界第1位になっています。
一般的に「スイス銀行」というときは、特定の銀行のことでは
なく、スイス銀行法に則ったスイス国内にある全ての銀行を指し
ています。また、EJの表現として「スイスの銀行」というとき
は「スイスの銀行家たち」ぐらいの意味にとっていただくとよい
と思います。
さらにスイスの銀行家たちのことを「チューリヒの小鬼」と表
現することがあります。この命名者は、英国元首相、ハロルド・
ウィルソンなのです。ウィルソン元首相は、1966年に英ポン
ドの価値が下落したのは、スイスの銀行家たちが国際金融市場で
投機的な動きをしたせいだと非難し、彼らのことを「チューリヒ
の小鬼」と表現したのです。現代の投機的ヘッジファンドの先駆
けといってよいでしょう。
なぜ、スイスの銀行は金に強いかですが、これは国策の影響が
大きいのです。スイスは、どの国も南アフリカの政府や企業に無
関心であった頃から、ドイツとともに南アフリカを助けており、
友好的な関係にあったのです。
また、スイスの銀行は金に関してよく通じており、それを販売
する高いノウハウを有していたのです。スイスの銀行は世界中の
顧客に対して次のように説得していたのです。
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ポートフォリオの10%は金で持つべし
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そういうスイスですから、南アフリカに対して、金の流通をま
かせるよう説得するのは容易なことであったのです。
また、スイスの銀行は、ソ連産の金の大部分を供給するという
こともしていたのです。なぜ、ソ連(現ロシア)なのかというと
それは双方にメリットがあったからです。
ソ連はスイスの秘密主義と独立性を高く評価していたのです。
ソ連としては、スイスの銀行と金の取引をすることによって、ソ
連の金がどれだけ販売されたかという数字が外に出ることは一切
なかったからです。何事も秘密主義のソ連としては、スイスと取
引するメリットが大きかったのです。
実際にソ連は、金の取引の大半をロンドンからチューリッヒに
移し、チューリッヒに独自の銀行まで設立しているのです。19
72年から1980年の8年間で、ソ連がスイスで売却した金の
総量は2000トンになるといわれています。
スイスの銀行といえば秘密口座で有名ですが、それはどのよう
なものであるかについて知っておく必要があります。日本の銀行
のイメージを払拭していただきたいからです。
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スイス銀行秘密口座は、最小10万スイスフラン以上の預金者
のための番号口座を指しています。口座はただ数字と文字だけ
で預金者の名前がありません。入金、出金、明細、書類など全
てにおいて口座番号使用します。そのため、預金者の書類が表
に出ても身元は一切割れません。さらに、銀行職員でさえ口座
番号から預金者の身元を知ることができません。身元を確認す
ることができるのは担当員や一部の上層部のみです。
銀行員は、顧客の情報について、在職中はもちろん退職した後
も秘密は守らなくてはいけません。これに違反すると罰金や禁
固刑などの刑事罰を課せられます。たとえ司法当局であっても
顧客情報を開示する事はありません。 ――スイス銀行より
http://www1.kcn.ne.jp/~ssumika/bank.html
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まったくの伝聞ですが、スイスの銀行はミサイルを装備した潜
水艦を所有しているという情報があります。取引のために金塊を
運ぶためです。なお、この潜水艦が発見されたことは一切なく、
その存在も闇のなかです。しかし、金ビジネスに深くかかわるの
であれば、そのくらいの装備をもっていても不思議はないといえ
るのです。
さて、冒頭に「スイスは世界の金現物市場の80%を占める」
と述べましたが、どのようにして、金塊がスイスに集められたの
でしょうか。
それは、あのロスチャイルドとオッペンハイマーの両財閥が所
有している「デビアス」にかかわりがあるのです。ロスチャイル
ドとオッペンハイマー両財閥は同じ血脈であり、デビアスとアン
グロ・アメリカンは同一系統の会社なのです。これについては、
明日のEJで述べます。 ―[金の戦争/21]
≪画像および関連情報≫
●チューリッヒの小鬼と東京の主婦/プログ
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朝9時から北陸放送ラジオ『軽妙卓説』にコメンテーターと
して出演する。今日の話題は「為替市場の動向と個人の外貨
資産投資」。5月末時点において国際株式型の株式投信(追
加型)の残高が国内株式型を上回るなど、個人投資家による
海外投資が拡大していることを背景に、為替相場への関心が
高まっている。近年、円安が進行している要因や今後の展望
これから外国証券を買うときの注意点などを解説する。
http://d.hatena.ne.jp/random_walk/20070711/p1
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