同日発表による10月の米CPI(消費者物価指数)の伸びは、
事前予想を大きく下回り、FRBがさらに追加値上げをする可能
性がほぼなくなったといえます。これに加えて長期金利の指標に
なる10年物国債利回は4・4%台前半になり、約1カ月半ぶり
の低水準を記録しています。関連記事は、以下の通りです。
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◎緩む米物価高、金利低下/ドル全面安、円150円台
利上げ観測ほぼゼロに/
米インフレの高止まりを警戒していた金融市場に安堵が広がっ
た。14日発表の10月の米消費者物価指数(CPI)の伸びは
事前予想を下回り、市場が織り込む米連邦準備理事会(FRB)
の追加利上げ確率はほぼゼロになった。米長期金利の低下を起点
に投資家心理が好転し、世界的に株式が買われた。
──2023年11月16日付、日本経済新聞より
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りそなへの公的資金注入を中心に「金融再生プログラム」を推
進し、目標を前倒しで達成した竹中プランによって、日経平均株
価は上昇に転じます。これによって、巨額の債務を抱えていたダ
イエーやカネボウなどは、官民ファンドの「産業再生機構」に引
き取られ、姿を消しています。かくして金融機関の不良債権はバ
ランスシートから切り離されていったのです。
1998年の外為法が改正されています。FXとは、たとえば
日本円を米ドルに両替するように、ある国の通貨(お金)を別の
国の通貨に交換することを意味し、FXとは次の言葉の略です。
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◎FX
Foreign Exchange(外国為替)
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日本でFXは「外国為替証拠金取引」とも呼ばれており、取引
額の一部に相当する証拠金を預けるだけで「外国為替」の取引を
行えるのが大きな特徴です。これは少額で大きな金額の取引がで
きることを意味しており、「レバレッジ効果」といわれます。
ここに登場したのは「ミセス・ワタナベ」です。これは、当時
の円安トレンドが生み出したものといわれます。しかし、ここで
留意しなければならないのは、当時の円安は1995年に米ドル
/円が70円台に突入し、超円高に苦しんでいたときのものであ
ることです。要するに、FXが行われるのは、日米間に大きな金
利差があるときです。
こういうときは少しでも円を売る必要があります。当時に関し
て。河浪武史氏の著作には、次の記述があります。
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日本の個人投資家が世界の外為市場でカを持ったのは、低金利
の円を借り入れて高金利のドルなどに投資する「円キャリートレ
ード」の環境があったからだ。福井日銀は量的緩和の長期維持を
打ち出していた。一方で、米連邦準備理事会(FRB)はITバ
ブル崩壊の傷が癒え、100%まで下がった政策金利を急ピッチ
で引き上げようとしていた。グリーンスパン議長(当時)、04
年に利上げを再開して17会合連続の金融引き締めを断行する。
06年には政策金利は5・25%まで引き上げられた。日米金利
差は一気に拡大して、個人の円キャリートレードが爆発的に広が
っていく。 ──河浪武史著/日本経済新聞出版
『日本銀行/虚像と実像/検証25年緩和』
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当時この強固な円高を何とかしなければならないと考えて、国
としていろいろな施策を進めています。1998年の外為法の改
正は、まさにその前提です。つまり、日本の個人投資家に、外債
投資を推奨し、少しでも「円売り要因が増える」ような施策が進
められていたといえます。そういうとき、英国のエコノミスト誌
に、そういう日本人の個人投資家のことを指して、「ミセス・ワ
タナベ」という言葉が使われたのです。
ところで、なぜ、「ミセス・ワタナベ」なのでしょうか。日本
人を指していることは間違いないですが、なぜ「ワタナベ」なの
でしょうか。
日本の姓ランキングを見てみると、日本で最も多い姓は、「サ
トウ(佐藤)」、次いで「スズキ(鈴木)」、「(タカハシ)高
橋」とよく耳にする姓が次のように続くのです。
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1位:・・ 佐藤 6位:渡辺
2位:・・ 鈴木 7位:山本
3位:・・ 高橋 8位:中村
4位:・・ 田中 9位:小林
5位:・・ 伊藤 10位:加藤
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これによると、「ワタナベ」は第6位です。検証されていませ
んが、外為法改正に伴い、主要各国へ根回しのために動いていた
当時の財務省担当者の名前が「ワタナベさん」だったらしいとい
う説もあります。
それは別として、問題は、この「ミセス・ワタナベ」が何をし
ているかです。彼らは複数の集団で、ドル相場が下落するとドル
を買い、相場が上昇すると売りを出すのです。一方、米国投資家
は、下落局面で売り続ける順張り派が多いため、逆張りの買いに
戸惑ってしまうことがよくあるといいます。
それでは、「ミセス・ワタナベ」の正体とは何でしょうか、そ
れは次の通りです。
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@ヘッジファンド、年金基金、銀行など機関投資家 70%
A個人投資家 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 20%
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──[物価と中央銀行の役割/057]
≪画像および関連情報≫
●ミセスワタナベ、「介入待ち」で円売り・ドル買いの好機
うかがう(FXストラテジー)
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【日経QUICKニュース(NQN)/長谷部博史】外国
為替市場で円安・ドル高に歯止めがかからず、円相場は1ド
ル=148円台と32年ぶりの安値圏での推移が続く。外国
為替証拠金(FX)取引を手掛ける個人投資家「ミセスワタ
ナベ」にとって現在のドルの水準は「高根の花」。身動きを
とりづらい今のうちに持ち高を整理して身軽になっておき、
日本政府・日銀による再度の円買い介入で相場が円高・ドル
安に振れたらすかさず円売り・ドル買いに動こうと、構えて
いる様子が透ける。
前週発表の米物価指標が市場予想を上回ったことなどを受
け、14日のニューヨーク市場で円相場は一時148円86
銭近辺と1990年8月以来32年ぶりの円安を付けた。米
連邦準備理事会(FRB)による利上げが長期化するとの見
方から円売り・ドル買いの圧力は強い。17日の東京市場で
も円相場は148円台後半を中心にじりじりと水準を切り下
げる場面が目立った。
個人投資家には、現在の円安・ドル高水準は行き過ぎとの見
方が多いようだ。QUICKが17日算出した14日時点の
FX5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル
の買い比率は45・2%と前の週から5・8ポイント低下。
ドルの買い比率が50%を下回るのは、FRBによる利上げ
開始で円安・ドル高が進み始めた3月以来だ。
https://moneyworld.jp/news/05_00086262_news
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「ミセス・ワタナベ」イメージ