をやっても、議席は大幅に減らしても自民党政権は敗北しないで
しょう。なぜなら、野党がバラバラであり、国民民主党にいたっ
ては、立憲民主党から分裂したのに、さらに、分裂騒ぎが起きて
いる始末です。
しかし、最近になって、ある「因縁」が囁かれるようになって
います。考えてみてください。自民党が政権を失い、下野したの
は、次のたったの2回ですが、いずれも宏池会政権のときです。
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宮澤喜一内閣 ・・・・ 1983年
麻生太郎内閣 ・・・・ 2009年
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実は、宮澤、麻生両氏ともに宏池会に関係があります。宮澤氏
は宏池会会長を務め、麻生氏は宏池会を創立した池田勇人氏の師
である吉田茂氏の孫です。現在、麻生氏は「志公会」という別グ
ループの代表ですが、当初は宏池会所属だったのです。
そして、現在の岸田文雄氏も宏池会であり、現在、会長を務め
ています。ところで「因縁」ですが、今後さらに岸田内閣の支持
が落ちて、秋の総選挙が行われず、野党に一大改革が起きたとす
ると、またしても自民党が政権交代が起きるのではないかといわ
れています。あまりにも政権運営に問題があるからです。
それはさておき、宏池会には財務官僚がたくさんいます。宮澤
・麻生両氏は、長く財務大臣を務めています。したがって、彼ら
は、増税には異常なほど熱心であり、その反面、絶対「減税」は
しないというスタンスです。
さて、ロシアによるウクライナ侵攻以来高騰を続けてきている
ガソリン価格が、ついに「185円60銭」の最高値を更新して
しまっています。これに関して岸田内閣は、石油元売業者(EN
EOS、出光興産、コスモエネルギー3社)に補助金を出し、ガ
ソリン価格を下げる施策をとってきています。
しかし、このガソリン価格軽減措置は段階的に縮小され、この
9月末にはすべて終了することになっています。しかし、ガソリ
ン価格は上昇する一方なので、岸田内閣は、これを今年の年末ま
で延長することを決めているようです。
しかし、なぜ、石油元売業者に補助金を出してガソリン価格を
下げるという措置を取るのでしょうか。
石油元売業者に補助金を出しても、どの程度価格を下げるかは
各石油元売業者に任されているからです。もちろん政府としては
どのくらい下がっているかチェックはしているでしょうが、石油
元売業者は自社のやれる範囲でガソリン代を少し下げて済まして
いることは確かです。
ところで、政府は2022年1月からガソリン補助金制度を実
施していますが、この制度によって、石油元売業者はどうなって
いるのかについて、石油流通の専門家である桃山学院大学教授、
小嶌稔氏は次のレポートを出しています。これによると、補助金
制度のせいかどうかは不明ですが、いずれも、対前年比2倍以上
のブッチギリの最高益を上げているのです。
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石油元売り大手の2022年4〜6月期決算は、ENEOSホ
ールディングス(HD)の最終利益(連結)が2213億円(対
前年同期比2・3倍)、出光興産が同1793億円(同2倍)、
コスモエネルギーホールディングス(HD)が同775億円(同
2・8倍)だった。
3社合計で売上高6兆4221億円、営業利益6909億円、
純利益4780億円。営業利益には、原油高による評価益の44
01億円が含まれているため、実質的には2508億円まで圧縮
され、さらにセグメント別に石油製品だけだと、営業利益は12
30億円となる(在庫評価益除く3社合計)。
業界の淘汰再編、合従連衡が進み、3社体制になったのが17
年。以降6年間の石油製品の営業利益を見ると、やはり今4〜6
月期決算はぶっちぎりの最高益であり、対前年比2・7倍に膨ら
んだ。高騰するガソリン価格を抑えるため、政府は1月(202
2年)末から通称「ガソリン補助金」を実施してきた。この最高
益は、予算規模1兆円もの莫大な補助金が投入されているからだ
と思う人もいるだろう。補助金の仕組みを端的に言うと、給付先
は石油元売りで、給付を前提に卸価格を抑え、結果として小売価
格が抑制されるというスキームだ。 ──小嶌稔山学院大学教授
https://onl.bz/HeFHR5D
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あらゆる物価が高騰するさなかに、岸田内閣が本気でガソリン
価格をダウンさせ、国民の負担を少しでも下げようと考えている
ならば、石油元売業者に補助金を出すという姑息なやり方ではな
く、野党も賛成する方法があるのです。それが「トリガー条項」
発動という名の減税です。
これは、価格が3カ月連続で160円を超えた場合、ガソリン
税の一部を減税し、130円を3カ月連続で下回るまで続けると
いう法律です。これについて、経済ジャーナリスト/荻原博子氏
は、岸田内閣の姿勢を次のように批判しています。
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トリガー条項発動で、価格が変動して混乱が起きる課題がある
ということは前から言われていた。混乱が起きないように対策を
行う時間は十分にあったのに、つまりは何もやっていないという
ことだ。本気でガソリン価格を下げたいのなら、トリガー条項発
動をはじめ減税を行うべきだが、岸田政権には「死んでも減税し
たくない」という姿勢が感じられる。国民が困っているときに、
私たちが払っている税金を「減税にビタ一文使いたくない」とい
うのはおかしい。 ──経済ジャーナリスト/荻原博子氏
──2023年8月31日発行/「夕刊/フジ」
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──[物価と中央銀行の役割/016]
≪画像および関連情報≫
●「岸田政権の政策は期待薄」/高橋洋一氏/2021・12
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問題点だらけだ。先ず、岸田文雄総理大臣自身は財務省と
密接な関係にある。親戚内に財務官僚が大勢いて、これだけ
多くいると大丈夫かと言わざるを得ない。
岸田総理の父親は経産省出身で、叔父は財務官僚を歴任し
広島銀行頭取だった岸田俊輔氏。叔母は第78代内閣総理大
臣を輩出した宮澤家に嫁いでおり、その子供が自民党参議院
議員の宮澤洋一氏だ。つまり宮澤洋一氏と岸田総理はいとこ
にあたる。
また、岸田総理の実の妹二人は、ともに財務官僚に嫁いで
いる。岸田総理自身が経済政策を持っている訳でもないとな
れば、親族の意見は裏切れないだろう。さらに言えば、最側
近となる補佐官の木原誠二氏も村井英樹氏も元財務官僚、経
済安全保障担当大臣の小林鷹之氏も同じく元財務官僚だ。そ
れではあまりにも財務省色が強くなるからといって、元経産
省事務次官の嶋田隆氏を内閣総理大臣秘書官に据えたのだが
嶋田氏が連れてきたのは経産官僚ばかりで、結局、岸田政権
は財務官僚と経産官僚ばかりで固められることになった。そ
して、政府が史上最大規模の経済対策として財政支出を決定
した55.7兆円の内容は、アベノミクスと全く同じ政策を
掲げていながら数字だけを膨らませている。例えば「新しい
資本主義」のための20兆円も、そのうち10兆円は安倍政
権時代と同じような研究ファンドを推進するためのものだ。
https://onl.bz/FSyTtsD
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ガソリン価格どうなる!