院し、自宅に戻っております。19日間の入院であり、私にとっ
て最長期間の入院です。かなり体力が落ちているので、現在、元
気回復に努めています。なかでも107年ぶりの慶應義塾高校の
甲子園制覇は、私の元気回復に大いに寄与しております。久しぶ
りに慶応応援歌「若き血」を聞きました。
EJの再開に関していくつかお願いがあります。EJの最大の
特色は「日刊」であり、できる限りこれにこだわるつもりですが
今後は体調によって書けない日もあると思います。そのさい、お
断りしないで、1日か2日、休むことがありますが、連載は続け
ます。なお、通信障害で届かない場合もありますが、そのさいは
EJのブログでご確認ください。EJを配信した日は、ブログは
必ず更新されます。
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◎ エレクトロニック・ジャーナル/EJ
http://electronic-journal.seesaa.net/
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今回のテーマは「物価と中央銀行の役割」です。このテーマを
続けますが、空白が丸1カ月に及んでいるので、別の話題から少
しずつ本テーマに戻ることにします。
東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出を受けて、中国が日
本の水産物を全面禁輸した問題について、岸田政権はどのような
対応を取ろうとしているのでしょうか。
やると思っていましたが、岸田首相と一部閣僚は、福島産の魚
を食べて「安全」を強調したり、築地市場を視察し、その日獲れ
たタコを食べたりして、漁業関係者と話し合い、風評被害を防ご
うとしています。
その一方で、高市経済安保相は、何か報復をとWTOへの提訴
を口にしていますが、これは避けるべきであると考えます。かつ
ての韓国への提訴のように、この問題に関しては、変な判決をも
らうわけにはいかないからです。
冷静になって、この中国の暴挙が日本に与える影響について考
えてみます。2022年の日本の水産物の輸出総額は3873億
円ですが、その輸出先は、第1位は中国、第2位は香港、そして
第3位は米国です。どのくらい中国と香港に輸出されているかに
ついては次の通りです。
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中国 ・・ 871億円/22・5%
香港 ・・ 755億円/19・5%
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中国・香港向けの水産物の輸出に関しては、実に42%、した
がって、今回の中国による水産物の輸出停止措置は、日本の水産
物輸出、水産業にとって大打撃になります。
水産物の品目別では、ホタテ貝が467億円、なまこ(調製)
79億円、かつお・まぐろ類40億円などです。香港向け水産物
では、真珠222億円、ホタテ貝(調製)94億円、なまこ(調
製)85億円などとなっています。
この日本の水産物禁輸措置の実施に当たって、中国は、韓国を
はじめ、アジア各国に共闘を呼び掛けてあり、多くの国が共闘を
組むと思っていたようです。しかし、中国の動きに賛同したのは
ロシアと北朝鮮ぐらいであり、中国は振り上げたこぶしを下すの
に苦慮しているようです。
岸田政権としては、これによって打撃を受ける日本の水産業の
保護を手厚く行うべきであり、日本は十分それができる力を持っ
ています。しかし、担当の野村哲郎農水相による「汚染水」発言
のほか、「中国の全面禁輸措置はまったく想定しなかった」の発
言は言語道断であり、十分に辞任に値します。
この中国の全面禁輸措置の日本の輸出または経済に与える措置
は限定的であり、中国および香港向け水産物輸出が輸出全体に占
める比率は0・17%に過ぎず、このまま1年間禁輸が続いても
日本のGDPの押し下げ効果は、0・03%に過ぎず、十分知恵
を絞って外交努力を重ね、見返りに半導体などの禁輸を解くこと
なく、解決すべきです。
この全面禁輸措置に関して、中国から日本への大量の迷惑電話
や、中国のSNSではインチキ動画がアップされていますが、少
しずつ収まってきているようです。どうやら当局はこれらに対し
て規制をかけているようです。これに関して、東京財団政策研究
所・主席研究員の柯隆氏は次のように述べています。
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過去に反日運動が盛んになった尖閣国有化の時と、起きる現象
は似ているが、質は全く別物だ。今回は、中央政府主導ではない
だろう。中国政府としてはこの「民衆のマグマ」を止めたがって
いる。日本企業の中国離れが進むことは、中国人の失業者がます
ます増えることにつながり、自分の首を絞めることになる。
(中略)だから、今起きている表面的な反日運動に注目するの
ではなく、中国がカードを切ってきたときに備えた対中戦略が重
要である。 ──柯隆氏/2023年9月1日付、朝日新聞
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何か問題のある現象について、人々が納得するのは「安全」と
「安心」の両方がクリアされることです。日本政府としては、か
ねてから「安全」について科学的に議論するため中国に対して話
し合いを要請してきていますが、中国は頑として応じません。科
学的対話は避けて、感情的面を含む「安心」の問題を前面に出し
て法外なクリームをつけてきています。
中国も多くの原発を保有している以上、大量の処理水を海に流
しています。その処理水のトリチウムの濃度は日本の倍以上ある
といわれています。こういう国にとって都合が悪いことは、国民
には知らせず、日本を貶める情報は、それがフェイクニュースで
あっても平気で流す。習近平独裁体制は、本当に、大丈夫なので
しょうか。 ──[物価と中央銀行の役割/015]
≪画像および関連情報≫
●英国研究者ら「処理水のトリチウム濃度は、中国の放出の
半分以下」
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日本政府が早ければ8月24日に開始することを決めた福
島第一原発の処理水の海洋放出をめぐり、イギリスの研究者
らが23日、オンラインで会見を開きました。「トリチウム
濃度は、中国の原発から放出される水の半分以下の数値であ
り、人体への大きな影響はない」として、科学的見地から問
題はないとの見解を示しました。23日に、オンラインで会
見を開いたのは、イギリスで福島第一原発の事故について研
究している大学教授らです。
会見で、チョルノービリ原発の事故と、福島第一原発の事
故の環境への影響を研究しているポーツマス大学のジム・ス
ミス教授は、「今回放出される予定の処理水のトリチウム濃
度は、中国の原発から放出される水の半分以下の数値であり
人体への大きな影響はない」と述べ、放出について、科学的
見地から問題はないとの見解を示しました。また、「放射線
の影響について研究している人々の中で、今回の処理水の放
出に反対している人はいないと思う」とも述べた上で、中国
の日本産の食品への規制強化について、「科学的理由は何も
ない。経済的影響は、健康への直接的な影響よりもはるかに
深刻で、規制の強化は、漁業関係者の生活を損なうものだろ
う」と批判しました。 https://onl.bz/bX7kt5i
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中国外務省報道官