2023年02月15日

●「最も期待できない閣僚とはだれか」(第5907号)

 繰り返しになりますが、現在、日本経済は30年ぶりに良いポ
ジションにつけています。しかし、電気代を筆頭に諸物価が高騰
し、国民の生活は苦しくなっています。高インフレに襲われてい
る米国はFRBによる利上げが続いていて、日米の金利差の拡大
によって円安が定着しています。「インフレ(物価高)と安い日
本」──多くの日本国民はこれをマイナスとしてとらえていて、
政府にさらなる支援を求めています。
 しかし、2023年は、IMFの予測では、G7では日本の経
済成長率はトップと予想されており、政府としての舵取りを間違
えなければ、日本経済はかなり成長する可能性があります。
 黒田日銀総裁の目指す2%の物価上昇は、まだ達成されていま
せんが、日本経済は長い間なかった3%程度のインフレになって
おり、状況は変化しつつあります。
 いわば千載一遇のチャンスが巡りつつあるといえますが、岸田
内閣は「防衛増税」をはじめとする増税を持ち出し、そのせっか
くのチャンスをブチ壊そうとしています。
 そこで気になるのが、日銀新総裁の人事です。しかし、13日
と14日の2日間、EJで検討した結果、植田和男新総裁は、当
面は黒田路線を継続するということなので、適切な人選であった
と評価できると思います。
 問題は、岸田内閣自身です。岸田首相は聞く力を標榜していま
すが、防衛増税などは独断で決めています。そのため、相変わら
ず支持率が低迷していますが、本人はなぜ支持率が低いか、きっ
とわかっていないと思います。
 ところで、女性誌『女性自身』が「岸田政権で最も期待できな
い閣僚」のテーマでアンケートを実施し、約501人の男女から
回答を得ています。ベスト5は次の通りです。
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     ◎岸田政権で最も期待できない閣僚
      第1位:岸田文雄 ・・・ 244票
      第2位:高市早苗 ・・・  42票
      第3位:河野太郎 ・・・  39票
      第4位:林 芳正 ・・・  31票
      第5位:浜田靖一 ・・・  15票
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 驚くなかれ、第1位は岸田総理大臣で、その得票は全投票数の
約50%を占めるダントツの244票を集めています。なぜ、そ
うなるのか、実際の国民の声は次のようになっています。
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・「景気が増税できるほどに回復していないのに、増税しようと
 しているから」(10代男性・学生)
・「国民の生活や将来や今の状況をわかってない」(50代女性
 ・専業主婦)
・「国民に寄り添う力も聞く力も決断する力も何もない。増税な
 どを決断するのはやたらと早い」(60代女性・専業主婦)
・「何が『聞く力』だ。国民の声なんて、何一つも聞いてない。
 ニュースで、顔を観るのも嫌」(40代女性・会社員)
・また2月9日にはフィリピンへ2年で6000億円の官民支援
 を約束したばかり。国民の生活負担が増えるなかでの”海外支
 援”に対する不満の声も少なくない。
・「外国にばかりいい顔をして国民には増税を迫るから」(30
 代女性・専業主婦)
・「国民のためになるようなことは検討に検討を重ね、防衛増税
 はさっさと決める。外国人を大切にして国民を守る気がない」
 (30代女性・医療従事者)    https://bit.ly/3YrEeXR
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 確かに、岸田首相の物事の決め方を見ると、「聞く耳を持つ」
といいながら、国民にとっては、十分検討し、慎重に決めて欲し
いことは自ら速断し、すぐに実行して欲しいことは、検討に検討
を重ね、国民にとって不満足な形で実施するか、なかなか実施し
ようとしないところがあります。だから、「検討使(遣唐使)」
といわれるのです。
 振り返ってみると、安倍元首相の国葬に始まり、防衛費増額に
伴う防衛増税、原発再稼働・新設などのエネルギー政策大転換は
「令和の真珠湾攻撃/トラトラトラ」と揶揄されるほど速断して
いますが、統一教会問題、少子化対策、LGBT問題などは相当
な時間をかけています。
 ところで、2023年以降の日本が明るいという根拠の一つと
して、2022年度の設備投資動向計画(修正計画)において、
全産業の投資額が前年度実績25・1%増の30兆8048億円
となり、2007年度以来、15年ぶりに過去最高を更新してい
る事実があります。つまり、設備投資が急増しているわけです。
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◎設備投資修正計画(▲は減)
        社数      A     B     C
 全 産 業 950 308048  0・4% 25・1%
 ・ 製造業 525 186909  1・1% 28・2%
 ・非製造業 425 121139 ▲0・7% 20・6%
 海外投資額 578  35202  1・4% 41・3%
           註:A/2022年度修正計画(億円)
                 B/  当初計画比増減率
                 C 21年度実績比増減率
─────────────────────────────
 けん引しているのは製造業で、1・1%増と2年連続プラスに
なっています。その投資額は18兆6909億円と前年度実績比
28・2%増で、1988年以来34年ぶりの高い伸び率である
といえます。しかし、非製造業は伸び悩んでいます。その修正率
は0・7%減と、3年連続のマイナスです。コロナの影響で設備
納入が遅れ、工期遅延が生じているからです。
           ──[メタバースと日本経済/023]

≪画像および関連情報≫
 ●「検討おじさん」岸田氏の経済政策が空中分解の訳
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   やろう、これをやろうと検討しながら、なかなか実行に移
  さない。このことは、「新しい資本主義」ほど当てはまるも
  のはないだろう。
   具体的には、1)日本の企業と国民間にある所得配分を是
  正することによって消費者の購買力を高める、2)日本が高
  度成長期のように多くの起業家を生み出すことで生産性上昇
  を加速させる、というどちらの計画についても、数カ月にわ
  たる検討の末、政府は中途半端な姿勢を示している。
   関係者によれば、岸田首相らはこれらの目標に対して真摯
  に取り組んでいるという。だが、同首相はどんな問題でも抵
  抗勢力に出会うと、たいてい引き下がってしまう。本稿では
  前者の再配分について、現在どのような状況にあるのか検証
  する。
   20年以上にわたって、日本政府は日本の所得配分の偏り
  に大きな役割を果たしてきた。法人に対する税金を1994
  年の最高税率52%から現在の30・6%まで引き下げる一
  方で、消費税を通じて国民には増税してきた。これが、消費
  者の需要、つまりGDPの成長が鈍い主な理由のひとつであ
  る。データを見てみよう。1995年から2022年まで、
  非金融企業の税引き前利益はGDPの6%から17%近くま
  で急増している。それは、賃金の緊縮と金利の引き下げが重
  なったためである。       https://bit.ly/3xiXgUy
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迷走を続ける岸田内閣.jpg
迷走を続ける岸田内閣
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | メタバースと日本経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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