2023年02月01日

●「『60年償還ルール』高橋氏の意見」(第5897号)

 1月25日のニッポン放送「飯田浩司のOK!Cozy up!」 に
高橋洋一氏が出演して、「60年償還ルール」について、次のや
りとりがあったのです。
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高橋:いま話題になっている「60年償還ルール」というのがあ
 りますよね。
飯田:国債の・・
高橋:あれを一時的に撤廃する。2023年度予算では16・4
 兆円の債務償還費があるけれど、実はこれを他のところに繰り
 入れることができるのです。債務償還費をどこに繰り入れるか
 と言うと、もともと国債整理基金特別会計というものがありま
 す。予算で一般会計の歳出は立っていて、他のものはすべて国
 民に配るのだけれど、これは国債整理基金特別会計として、国
 のポケットに繰り入れるのです。
飯田:政府が支出してどこかにお金が行く。
高橋:行き先は間違いなく国のポケットです。右のポケットか、
 左のポケットなのです。左のポケットにはもう1つ、防衛力強
 化資金がある。そこに繰り入れればいいのです。そうすると、
 防衛財源確保法案は、ほとんど意味がなくなるし、防衛増税は
 全部吹っ飛ぶのですよ。
飯田:なるほど。          https://bit.ly/3HgEEcv
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 このやり取りを聞いていて理解できるでしょうか。重要なポイ
ントは、毎年の国家予算には、国債残高の1・6%が一般会計か
ら、国債整理基金特別会計に組み入れられることになっているの
です。2023年度予算では、16・4兆円が国債整理基金特別
会計という国のポケットに入ります。これは、国債の償還費に充
てられる資金です。
 実は、この「60年償還ルール」のような制度は、最初はどこ
の国もやっていたのですが、今では合理性がないということで、
廃止しており、今でもやっているのは日本だけです。なぜ、日本
はやっているのかというと、「財務省がやっているから」としか
いいようがないです。
 その旧態依然たる制度を大学の財政学の教授の多くは、何だか
んだとと理屈をつけて、その重要性を説いています。そうしない
と、国債の信認がなくなり、国債が暴落すると発言し、財務省の
歓心を買っています。まさに財務省のポチです。ポチにならない
と、テレビにも出してもらえないからです。メディアも事情はよ
くわかっているのに、財務省を怒らすような記事を書くことは、
まずないといえます。
 しかし、国債整理基金特別会計のポケットにはお金が積んであ
るので、高橋洋一氏によると、財務省ではときどきそれを別の目
的で使うことがあるそうです。それでは、償還のとき、お金が足
りなくなるではないかといいますが、もともと定額で支払うもの
を定率で積んでいるので、そこには誤差が生じ、不足分は借換債
に含めて処理しています。これについては、高橋洋一氏の次の発
言に注目していただきたいと思います。
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高橋:「それで何が悪いのか?」ということです。「国債整理基
 金特別会計を他に繰り入れたら国債が暴落する」と財務省は言
 うのだけれど、私は財務省のなかでこれを何回も破った常習犯
 なのです。
飯田:そうなのですか?
高橋:11回やりました。そのうち3回くらいは私の関連です。
 財務省からは、それをやると「国債が暴落する」と言われたの
 ですが、「暴落しない!」と言って進めてしまいました。そう
 したら、全然暴落しなかったのです。
飯田:何に使ったのですか?
高橋:他に使いました。いろいろと。
飯田:前例はあるのですか?
高橋:11回あります。今回は12回目をつくるかどうか、それ
 だけの話ですし、過去11回は何の問題もないですから。
飯田:なるほど。
高橋:まず大丈夫ですね。他の国でこんなことをしているところ
 はないから、まったく大丈夫です。
飯田:「60年償還ルール」で償還費を積んでいる国は、先進国
 にはない。
高橋:ありません。「国債償還が滞るではないか」と言うけれど
 国債整理基金特別会計では借換債という国債を出せるから、何
 の問題もないです。償還資金のための借換債を出すという意味
 で、まったく何の問題も起こりません。過去11回も行ったこ
 とがあるのに、12回目ができないというのは、信じられない
 です。そんなことになったら予算が混乱するでしょう。
飯田:確かに。
高橋:予算組み替えでも私はいいと思うけれど、財務省は絶対に
 嫌だと言うでしょうね。
飯田:なるほど。でも国民からすると、「他からそうやってお金
 が出てくるのであれば、まずはそちらをやってよ」と思います
 よね。いきなり増税ではなくて。  https://bit.ly/3Hg2V2f
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 高橋洋一チャンネルという動画があります。「国債60年償還
ルール」について、高橋洋一氏が解説しています。きわめて明快
な解説です。ぜひご覧ください。
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   ◎高橋洋一チャンネル
    今回の質問:国債60年償還ルールについて
                  10分22分
             https://bit.ly/3kPx8O2
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           ──[メタバースと日本経済/013]

≪画像および関連情報≫
 ●防衛財源確保「国債60年償還」延長論も 自民が本格議論
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   防衛費増額の財源を巡る自民党の特命委員会が16日に始
  まった。歳出改革や税外収入など、増税以外の財源を模索す
  る。国債の「60年償還ルール」見直しで財源を捻出すべき
  だとの案も浮上する。償還期間を延長・廃止しても、浮いた
  国債費を防衛費に使えば借金は膨らむ。借金返済の担保が消
  えれば、市場の信認を失う恐れもある。
   萩生田光一政調会長が委員長を務める。初回の16日は非
  公開の役員会を開いた。増税幅の圧縮に向け、税以外の財源
  を議論する。安倍派を中心に根強い増税への不満を吸収する
  狙いがある。政府は防衛財源の確保法案を通常国会に提出す
  る方針だ。16日は法案審査を優先的に実施することで一致
  した。出席した党幹部は、「国会での法案審議が一段落した
  タイミングで税以外の財源論を議論する。『60年償還ルー
  ル』も議題に上がる」との見通しを示した。
   政府は2022年末、27年度の防衛費を現状から3・7
  兆円ほど上積みする方針を決めた。うち2・6兆円以上を歳
  出改革や税外収入、決算剰余金で捻出。残り1兆円強を法人
  ・所得・たばこの3税の増税で確保する。増税時期の具体的
  な議論は23年に先送りした。
               https://s.nikkei.com/40d4XJe
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飯田浩司のOK!Cozy up!.jpg
飯田浩司のOK!Cozy up!
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | メタバースと日本経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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