2023年01月23日

●「政府のエネルギー対策で大丈夫か」(第5890号)

 EJは、1月12日と13日、16日から20日までの7日間
休刊とさせていただきました。24年間継続してきた営業日連載
記録が途切れてしまいましたが、今日からEJを再開します。こ
れからもEJをよろしくお願いします。
 2023年1月21日付の日本経済新聞によると、2022年
12月の消費者物価指数(CPI)は、4・0%に上昇したとい
うことです。これは、変動幅の大きい生鮮食品を除く前年同月比
での上昇率です。消費者物価指数4%の上昇は、第2次石油危機
の影響で物価が上昇した1981年12月以来、実に41年ぶり
のことです。
 あらゆるものが値上がりしていますが、とくにエネルギー関連
は実に15・2%上昇し、その伸び率は、前月の13・8%から
拡大しています。このうち、電気代は21・3%、都市ガス代は
33・3%も上がっています。
 このような物価高騰で心配されるのは、消費の落ち込みによる
大不況の到来です。総務省による昨年11月の家計調査によると
物価変動の影響をのぞいた実質の消費支出は、6カ月ぶりに前年
比マイナスになり、明らかに消費マインドが弱まっています。今
回の不況が深刻なのは、今年の前半にかけての中国、米国、欧州
が景気減速に陥る懸念があることです。
 これに対して、岸田首相はどのような対策を講じようとしてい
るのでしょうか。岸田首相は、エネルギー価格高騰対策として、
次のように述べています。
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 物価高騰の一番の原因となっているガソリン、灯油、電力、ガ
スに対して、集中的な激変緩和措置を講じる。エネルギー関連の
物価高対策として「総額6兆円、平均的な家庭で23年前半に総
額4万5000円の支援となる。        ──岸田首相
              https://s.nikkei.com/3Hku1GN
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 23年前半までに平均家庭に対して4万5000円の補助──
これを人気取りのためのバラマキという批判もありますが、岸田
政権としては、もっと「異次元の措置」を講ずるべきです。これ
によって日本経済が不況の淵に沈んでしまうと、元も子もないか
らです。
 実際に、日本をはるかにを上回る大胆な補助をしている国があ
ります。それはドイツです。
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【ベルリン=南毅郎】エネルギー問題に関するドイツの専門家委
員会は2022年10月10日、高騰するガス価格の抑制に向け
た具体案をまとめた。12月に国民の負担軽減へ一時金を出し、
2023年3月からガス価格に上限を設ける措置が柱だ。ショル
ツ政権は最大2000億ユーロ(約28兆円)規模の総合対策を
表明済みで、実現すればうち900億ユーロ相当を投じることに
なる。委員会がまとめた中間報告書によると、負担軽減策は2段
階で構成する。
 まず12月に一時金を支給することで、ガス価格の上限制を導
入するまでのつなぎ措置として利用者の負担を直接和らげる。金
額にして1カ月分以上のガス代が免除される可能性がある。
 そのうえで、ガス価格の上限制は23年3月から24年4月ま
で導入する案を示した。具体的には、ガス価格を1キロワット時
あたり原則12セントに抑えることで利用者の負担増を防ぐ。補
助対象は過去の利用実績に照らしてガス消費量の8割となる見込
みだ。産業用ガスは7セントに引き下げ、先行して23年1月か
ら導入する案も盛り込んだ。 https://s.nikkei.com/3QWXNEP
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 日本の総額6兆円に対してドイツは2000億ユーロ(約28
兆円)のうち、900億ユーロ(約12兆4000億円)をエネ
ルギー支援に充てるといっているのです。規模がぜんぜん違いま
す。ドイツという国は平時はシブチンといわれるほど、財政を引
き締める国ですが、コロナ禍やウクライナ危機のようなときは、
素早く巨額の資金を使い、国民に手厚い支援を行います。
 諸物価物価高騰は、昨年の秋頃から顕著になっていたのです。
そこでドイツは、12月に一時金を支給し、2023年3月から
ガス価格に上限を設ける措置を設けるという2段構えです。これ
なら、国民は不安を感じないでしょう。その一時金──1か月分
のガス代に相当──は既に年末に支払われています。
 日本についてはどうでしょうか。岸田首相は、2022年10
月に、上記のようなエネルギー価格高騰抑制対策を打ち出しただ
けです。これでは、本当にやってくれるのか、国民は不安になる
と思います。しかも、2023年1月21付の日本経済新聞は、
一面で次のような報道を行っています。
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◎東電、3割値上げ申請へ/家庭向け今夏までの実施目指す
 東京電力ホールディングス(HD)は来週はじめにも一般家庭
向け電気料金の値上げを経済産業省に申請する。経産省が認可す
る規制料金とよばれるプランで、家庭向け契約の過半を占める。
申請する値上げ幅は3割前後となる見通し。国の審査を経て今夏
までの料金引き上げを目指す。東電が規制料金を上げるのは、東
日本大震災後に収支が悪化した2012年以来、11年ぶりとな
る。             https://s.nikkei.com/3iS6zaj
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 東日本大震災のとき、時の民主党政権が何をしたでしょうか。
なんと復興特別所得税です。税額は、基準所得税額の2・1%で
日本国民は現在もこの税金を支払っています。「こんなときに増
税とは」──信じられない話ですが、岸田政権は、この復興特別
所得税の期間を延長し、防衛費の一部に充てようとしています。
この国民生活が苦しいときにまたしても増税です。どうやら「減
税」という手段は岸田首相の頭の中にはないようです。
           ──[メタバースと日本経済/006]

≪画像および関連情報≫
 ●日本が抱えているエネルギー問題
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   朝食にガスコンロで卵を焼いてトースターでパンを焼く。
  電車に乗って会社や学校へ向かいながら、スマートホンで、
  ニュースをチェックする。日中、パソコンに向かって仕事や
  勉強をし、夜には冷房が効いた快適な部屋で、宅配便で届い
  た本を読む・・・。
   日本のこうした便利な暮らしを支えているのは、電気や都
  市ガス、ガソリンといったエネルギーです。エネルギーなく
  して成立し得ない現代の生活スタイルですが、実は、日本の
  実質GDP当たりのエネルギー消費は世界平均を大きく下回
  ることに成功しています。GDP世界第1位のアメリカと比
  べ、約2分の1、同じ非資源国の韓国と比べ約3分の1程度
  の消費に抑えられているのです。これは、1970年代、2
  度に渡って生じた石油ショックを教訓として、官民を挙げて
  省エネルギー対策に注力してきた結果といえるでしょう。
   しかし、エネルギー利用効率が非常に良い一方で、日本の
  エネルギー需要量そのものは、石油ショック後拡大していま
  す。経済成長と共に生活が便利になり、家庭や企業でのエネ
  ルギー利用機器や自動車の利用が増えていったことがその原
  因です。最終エネルギー消費量は2004年度まで増え続け
  ましたが、その後は減少傾向となり、第1次石油ショック当
  時の1973年度に比べ、2015年度では全体で1・2倍
  のエネルギー需要量となっています。
                  https://bit.ly/3WlYPuY
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総合経済対策で記者会見する岸田首相.jpg
総合経済対策で記者会見する岸田首相


posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | メタバースと日本経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする