言葉を知らない人がないほど、その認知度は上がっています。こ
のような現象のことを「バズる」と呼んでいますが、これは英語
の「Buzz」からきており、動詞で「がやがや言う・噂になる」と
いう意味になります。
その原因をつくったのは、間違いなくマーク・ザッカーバーク
氏──現「メタ」(旧フェイスブック)のCEOです。社名変更
は、2021年10月28日に行われています。さらに2022
年1月、かねてから発行を予告していた同社の仮想通貨「ディエ
ム」(前名称リブラ)の発行の断念も発表されています。問題は
なぜ社名を変更したかです。
2018年以降、フェイスブックは数々の問題を引き起こして
います。約8700万人に及ぶユーザー情報流出問題、プライバ
シーの扱いなどに関する姿勢が問題視された問題などで、ザッカ
ーバークCEOは、これらの件で、2018年4月10日と11
日の両日、米連邦議会上院司法委員会と、米連邦政府下院エネル
ギーおよび商業対策委員会の公聴会に呼び出され、数時間に及ぶ
議員からの質問攻めにあっています。
こういう状況ではあったものの、ザッカーバークCEOが一番
頭を悩ましていたものは、アップルが2021年春から実施して
いるプライバシー保護を強化するポリシー改訂です。具体的には
オンラインのターゲティング(追跡型)広告をやめるというポリ
シーです。これは、売り上げの98.5 %が広告収入であるフェ
イスブックにとっては、大ショックです。
Web2.0 の勝者はGAFAMとよくいわれますが、真の勝
者は、アップルとグーグルです。とくに、ハード、OS、ストア
のすべてを握っているのはアップルです。フェイスブックは、そ
のアップルやグーグルの手の平の上で何とか生き残っているみじ
めな存在──ザッカーバークCEOは、フェイスブックをそのよ
うに捉えていたのです。
アップルのティム・クックCEOは、このところ、いろいろな
ところで、フェイスブックの個人情報の扱いについて、批判を強
めています。いくつかのサイトから、2人の発言の一部をまとめ
て編集すると、次のようになります。
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◎ティム・クックCEOのフェイスブック批判
・フェイスブックなどの企業は、複数のソースからかき集めてき
たデータを使った詳細な個人プロファイルを作っているが、こ
のように個人データを取り扱うことは抑制されるべきである。
・個人的に規制を行うことは好きではないが、ベストな規制とは
「規制がないこと」であり、「自己規制」である。しかし、も
うすでにその段階は超えている気がする。何らかの歯止めが講
じられる必要がある。
・アップルは、ユーザーではなくハードウェアを売ってビジネス
を回すという方針が示されている。実際のところもしアップル
がユーザーをマネタイズしたら莫大なお金が舞い込んでくる。
しかし、アップルはそうはしないことを選んでいる。
・(あなたがザッカーバークCEOだったらと尋ねられて)私は
ああいう状況にはならない。 https://bit.ly/3VbdwkF
・われわれは個人情報を取り引きするようなことはしない。われ
われにとってプライバシーは人権。市民の自由である。
・無料のオンラインサービスにおいて、利用者は顧客ではない。
利用者は製品である。 https://bit.ly/3F6ZV8p
◎マーク・ザッカーバークCEOの反論
・(フェイスブックがユーザーの収益化から得られる利益を優先
しているとの指摘に)真実とはまったく一致していない。現実
には、世界中のすべての人をつなぐのに役立つサービスを構築
したい場合、支払う余裕がない人がたくさんいる。
https://nbcnews.to/2pZxAJn
・(プライバシーは人権、市民の自由という主張に対して)もし
も、金持ちだけに限定されないサービスを作りたいなら、人々
が恩恵を受けやすいようにしないといけない。誰もがストック
ホルム症候群(誘拐・監禁の犯人と長時間をともに過ごすこと
で、犯人に好意や共感を覚えてしまう症状)にかかって、より
多額の金額を払わせようとする会社に利用者を大切にしている
と納得させられないことが大事である。馬鹿げたことだと思う
から。 https://bit.ly/3AOanPy
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ああいえばこういうの議論のようですが、とにかくこの2人、
仲が良くないのです。アップルのクックCEOによる一連のフェ
イスブック批判に対して、ザッカーバークCEOは、それまで社
員に無料でアイフォーンを使わせていたのですが、クック氏の批
判がよほど悔しかったのか、アイフォーンをすべてをアンドロイ
ドに変更したそうです。
これに関して、昨日のEJでご紹介したサードバース社CEO
の国光宏尚氏は、マーク・ザッカーバークCEOの本音について
次のように述べています。
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だからこそ、次の戦いでは「自分で自分の運命をコントロール
できるプラットフォームを作る」との強い意思で、VRには20
14年から累計数兆円もの資金を投じてきました。
そして、いよいよ1000万台を超えて、完全にアップルから
独立した自分の城(プラットフォーム)が見えてきた。だから、
もうザッカーバーグ自身はアップルの奴隷に過ぎなかったフェイ
スブックアプリ群には興味がないはずです(笑)。「ここからい
よいよ俺が一国の主だ」と。過去の屈辱とは決別して、ついに自
分の時代になると、社名もメタに変えたわけです。
──国光宏尚著『メタバースとWeb3』/MDN
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──[ウェブ3/メタバース/040]
≪画像および関連情報≫
●フェイスブック、強まる批判/検閲疑惑に内部文書
流出報道も
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世界最大のSNSの米フェイスブック(FB)への批判が
強まっている。欧米メディアが内部の情報をもとに、ベトナ
ムで投稿への検閲を受け入れていたことなどを相次いで報じ
た。各国の民主主義のあり方に影響を及ぼすような問題が表
面化しており、FBは対応を迫られている。
FBはグループで約36億人の利用者がいるまでに大きく
なった。差別や暴力をあおるような投稿に十分対応してこな
かったと、これまでも指摘されていた。今回は内部文書とさ
れる資料や元従業員の証言をもとに複数の問題が浮上し、説
明が求められている。マーク・ザッカーバーグ最高経営責任
者(CEO)は報道に反論しているが、2004年の創業以
来ともされる厳しい状況に追い込まれた。
米ワシントン・ポスト紙は25日、3人の関係者らの証言
として、ザッカーバーグ氏がベトナム共産党の要求を受け入
れ、反政府派の投稿を検閲することを認めていたと報じた。
今年1月の共産党大会を前に、「FBは『反国家』の投稿へ
の検閲を著しく増やし、政府がほぼ完全にプラットフォーム
をコントロールできるようにした」という。米ニューヨーク
・タイムズ(NYT)紙は、FBがインドで反イスラムなど
の有害な投稿が拡散しているのを知りながら、対応を怠って
いたと報じた。 https://bit.ly/3F8HqR4
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ザッカーバークCEO/クックCEO