特許数の国際比較が報道されています。記事の一部とランキング
を以下に示します。
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◎メタバース韓中勢台頭
メタバース(仮想空間)端末の開発で韓国と中国の企業が存在
感を高めている。関連特許の件数を調べるとLG電子など韓国勢
が首位と2位になり中国勢も4位につけた。同端末は、スマート
フォンの次の有力な電子機器になるとみられ、2026年の世界
市場は10兆円規模まで拡大する見込み。日本勢が出遅れる一方
巨大市場での主導権獲得に向けて韓中勢が布石を打ちつつある。
◎特許数ランキング
1位:LG電子(韓国)
2位:サムスン電子(韓国)
3位:メタ(米国)
4位:ファーウェイ(中国)
5位:マイクロソフト(米国)
6位:ソニーグループ(日本)
7位:クアルコム(米国)
8位:マジックリーブ(米国)
9位:インテル(米国)
10位:アップル(米国)
──2022年11月27日付、日本経済新聞
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上位20社の特許数の合計は7760件ですが、企業の国籍別
では米国が57%、韓国は19%、中国は12%、日本は8%で
す。それにしても韓国は1位と2位を占め、勢いがあります。こ
れは、半導体メモリのDRAMの製造においても、韓国は同様に
第1位と第2位を独占(1位:サムソン電子/2位:SKハイニ
ックス)しています。かつてこの分野では日本が独占していたも
のですが、現在この分野には日本の影もありません。現在の日本
には勢いがないのです。それだけに、Web3において、日本は
絶対に乗り遅れてはならないのです。
国光宏尚氏という人がいます。スターアップ企業サードバース
の代表者です。サードバースは「10億人が生活する新しい仮想
世界の創造」をビジョンに設立されたスタートアップ企業です。
この国光宏尚氏のメタバース関連の著作の『メタバースとWeb
3』(MDN)は、2022年4月に発売され、私が購入した7
月には6刷を発行しています。よく売れているのです。
国光氏によると、Web2の入り口は2007年であるとして
います。2007年にはアイフォーンが登場しています。この時
期に重大なパラダイムシフトが起きているのです。
この時期に日本の国内では、NTTドコモの「iモード」が全
盛時代だったのです。iモードは1999年に登場し、携帯電話
からでもメールが発信できるということで、申し込みが殺到し、
iモードブームが起きています。この頃の日本の携帯電話──後
に「ガラケー」と呼ばれるようになりますが──カメラが付いた
り、カラーディスプレイになるなど、当時、世界をリードしてい
たといっても過言はないといえます。
2004年にはミクシー、2005年にはグリーが登場し、S
NSも盛んだったのです。ツイッターやフェイスブックが登場す
るのは、それから5年後の2010年のことです。日本にも十分
チャンスがあったはずですが、日本はチャンスを逃しています。
国光宏尚氏は、これについて、上記の書籍で次のように述べて
います。とても示唆に富む意味のある予言的な内容です。なお、
国光氏の言葉には専門語が多く、難解なので、括弧内に説明を加
えています。
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大きなチャンスは、新しいパラダイムシフトの入り口にこそあ
ります。スマホ、ソーシャル、クラウドの2007年に始まった
Web2.0 の大波、ただおいしいところは最初の頃に始めたプ
レイヤーがとっていき、パラダイムが成熟化してきた今はニッチ
な領域しか残っていない状況になりました。最近の日本のスター
トアップだと、C(コンシューマー)向けのサービスはニッチな
スマホアプリか、インフルエンサー系、D2C(製造者がダイレ
クトに消費者と取り引きをする)ばかり、B(ビジネス)向けも
ニッチなパーティカルSaaSだけになってきて、業界全体に閉
塞感が生まれていました。
ここに生まれてきたのが新しいパラダイムWeb3.0 (国光
流定義)です。デバイスは、スマホからVR(仮想現実)、AR
(拡張現実)、MR(複合現実)になっていき、データはソーシ
ャルからブロックチェーンへ、データの活用方法はクラウドから
AIへ。この次の10年間のパラダイムは]R(メタバース)、
ブロックチェーン(Web3)、AIへと変わっていきます。
──国光宏尚著『メタバースとWeb3』/MDN
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文中の「SaaS」とは、「Software as a Service」 の略で
提供者であるサーバー側で稼働するソフトウェアを利用者である
クライアント側がネットに接続しているPCからソフトウェアを
必要な機能や分量のみを選択して利用できる提供形態のことをい
うのです。
GAFAMといいますが、Fのフェイスブックは既に「メタ」
に社名を変更しています。そういう意味からも、GAFAMとい
う言葉はやがて消えていくはずです。
問題は、フェイスブックのCEOのマーク・ザッカーバーク氏
は、なぜ、フェイスブックの社名を「メタ」に変更したかです。
数ある不祥事によるフェイスブックのリブランディングという説
もありますが、本当のところは、ザッカーバークCEOは、アッ
プルを見返したかったのではないかと思われます。
──[ウェブ3/メタバース/039]
≪画像および関連情報≫
●Facebook、崖っぷちの社名変更 「メタバース」も難路
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【シリコンバレー=奥平和行】米フェイスブックの創業以来
の事業転換に打って出る。社名を「メタ」に変更し、軸足を
SNS(交流サイト)から「メタバース」と呼ぶ仮想空間の
構築や関連サービスに移す。ただ、収益化への道のりは遠く
足元では企業体質や管理体制への批判が高まり崖っぷちだ。
計画が思惑通り進むかは予断を許さない。
「フェイスブックはSNSの代名詞となったが、当社の幅
広い事業を代表しなくなり将来はさらに難しくなる」。20
21年10月28日に開いた開発者会議でマーク・ザッカー
バーグ最高経営責任者(CEO)は説明した。新社名のメタ
は「先に」を意味するギリシャ語が語源で、事業の柱とした
いメタバースからとった。
2004年の設立から使用してきた社名を変える直接の理
由は仮想現実(VR)や拡張現実(AR)などの技術を活用
して仮想空間で遊んだり交流したりできるメタバースの構築
を優先するためだ。「本格的な普及は5〜10年後」(ザッ
カーバーグ氏)だが、2021年だけで約100億ドル(約
1兆1000億円)を投じる。背景には同社が世界で36億
人近い利用者を抱える一方、事業基盤を他社に依存している
弱みがある。直近では米アップルがスマートフォンでプライ
バシー保護策を強めたことで、主力の広告事業が直撃を受け
た。ザッカーバーグ氏は28日もアップルのアプリ配信サー
ビスなどを念頭に「選択肢の乏しさと高い手数料が技術革新
を阻害している」と主張した。
https://s.nikkei.com/3AQ7xJU
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国光宏尚氏