2022年11月24日

●「ナデラCEOによるクラウド戦略」(第5860号)

 このところ、GAFAとマイクロソフトのことを取り上げてい
ますが、このいわゆるGAFAMが、メタバースを推進し、拡大
し、支える企業の中核になると考えているからです。マイクロソ
フトのクラウド事業についても述べる必要があります。
 2022年11月22日付の日本経済新聞にクラウド関連の次
の記事が出ています。
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◎米テック、クラウドで競争/普及は「初期から中期」
 米マイクロソフトサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)
は日本経済新聞の単独インタビューに応じ、テクノロジー企業の
競争軸はクラウドになるとの見方を示した。世界経済の減速懸念
が強まるなかでインターネット広告やネット通販は「頭打ちして
いる」と他社との違いを強調。すでに売上高の過半となったクラ
ウド事業の「成長余力は大きい」として、人工知能(AI)へ積
極投資し連携を進める考えを示した。
        ──2022年11月22日付、日本経済新聞
               https://s.nikkei.com/3XmCq2j
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 マイクロソフトのナデラCEOは、上記の記事では、「我々は
GAFAとは違う」と胸を張っていますが、マイクロソフトのク
ラウドへの進出は大きく遅れたのです。
 スティーブ・バルマー氏がマイクロソフトのCEOに就任した
のは2000年1月、アマゾンがクラウドサービス「AWS(ア
マゾン・ウェブ・サービス」をリリースしたのは2004年のこ
とです。しかし、マイクロソフトがクラウドサービス「ウィンド
ウズ・アジュール」をスタートさせたのは2010年であり、ア
マゾンと6年の開きがあります。
 なぜ、マイクロソフトは6年も遅れたのでしょうか。当時のマ
イクロソフトは、どちらかというと、クラウドビジネスに消極的
であったからです。
 その理由はマイクロソフトのビジネスモデルにあります。マイ
クロソフトの当時の収益の柱は、PCにOSとしてインストール
されるウィンドウズのライセンス料と、1本当たり数万円といわ
れるパッケージソフト「オフィス」の売り上げがメインです。ウ
ィンドウズPCは世界中で使われているので、とんでもない売上
高になります。しかも、OSのウィンドウズも、パッケージソフ
トの「オフィス」もバージョンがあり、バージョンアップのたび
ごとに料金がとれる。こんなよい商売はないのです。
 クラウドビジネスといっても多岐にわたりますが、マイクロソ
フトがクラウドサービスを始めるとなると、「オフィス」のクラ
ウドサービスから始めることになります。そうなると、これまで
ドル箱である主力の最強パッケージソフトの存在意義が失われる
ことになり、マイクロソフトとしてはなかなか決断できなかった
ものと思われます。
 しかし、スマートフォンがPCに取って代わるようになるにつ
れ、クラウドの重要性はますます高まってきたのです。スマート
フォンで動くアプリのほとんどがクラウド上で動くサービスだっ
たからです。それに何よりも顧客にとってクラウドサービスは、
大きなメリットがあるのです。
 マイクロソフトは、2011年6月に「オフィス365」を発
売しています。これを個人で使うと、買い切り型と比較すると、
次のメリットがあります。バージョンごとに「オフィス」を買う
よりもはるかにメリットがあります。
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   @費用は使った分だけ支払うサブスクリプション型
   Aつねに最新バージョンのソフトウェアが使用可能
   Bデータの収録にはオンラインストレージが使える
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 しかし、先行したAWSは、マイクロソフトがクラウドへの移
行を逡巡している間にそうそうたる顧客を獲得しています。ゼネ
ラル・エレクトリック(GE)、マクドナルド、ネットメディア
のバスフィード、民泊のエアビーアンドピー、それに、ネットフ
リックスまで名を連ねています。
 日本でも、日立製作所、キャノン、キリンビール、ファースト
リテイリング、三菱UFJ銀行など、業種に関係なく、続々と、
AWSを導入しています。
 決定的といえるのが、米中央情報局(CIA)がAWSの顧客
に加わったことです。2013年に6億ドルで契約を締結してい
ます。政府機関の仕事は、IBMのような昔からの大企業が独占
的に受注してきただけに、IBMとしては大ショックです。IB
Mも提案書を政府に提出し、政府に対して再度検討するよう求め
ましたが、米連邦裁判所は、これに対して次のコメントを出し、
IBMの提案を退けています。
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 AWSのオファーの方がIBMよりも技術的に優れており、競
合の結果は、接戦と言いがたいほどかけ離れている。
                     ──米連邦裁判所
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 しかし、2014年にナデラCEOが就任すると、それまでの
PCのOSのウィンドウズの企業から、クラウドを中核とする企
業への変革を行っています。それを意識してか、「ウィンドウズ
・アジュール」を「マイクロソフト・アジュール」に、「オフィ
ス365」を「マイクロソフト365」というように、名称を変
更しています。
 ところで「365」とは何を意味しているのでしょうか。これ
は1年の日数であることは確かですが、マイクロソフトがどのよ
うな思いでこの数字を使ったまではわかっていません。「365
日休まず働ける社畜専用サービス」と揶揄する向きもありますが
本当のところはどうなのでしょうか。
           ──[ウェブ3/メタバース/036]

≪画像および関連情報≫
 ●アマゾン/AWSとはとは?
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   「AWS」とは、アマゾンが提供するクラウドサービスの
  総称です。そもそもはアマゾンのインフラを支えるために作
  られたものですが、他社にも提供しようと2006年7月に
  公開されました。利用しているのは、「インターネット上で
  何らかのサービスを提供したい」、「インターネット上にデ
  ータを保存しておきたい」と考える企業や個人です。
   AWSの基本サービスは、レンタルサーバー、データベー
  ス、ストレージを利用したデータ保存、画像認識などです。
  サービスの種類は大きく分けて100以上、細分化すると、
  700以上もあり、今現在も増え続けているそうです!
   種類が多くて便利な反面、多過ぎて全体像が見えにくく、
  具体的にどんなことができるのかがわかりにくいという一面
  もあります。
   そもそも「パブリッククラウド」とは、企業や個人など不
  特定のユーザーに、サーバーやストレージ、データベース、
  ソフトウェアといったクラウドコンピューティング環境をイ
  ンターネットを通じて提供するサービスのことです。AWS
  のほかにも、Google Cloud Platform、IBM Cloud、Alibaba
  Cloudといったパブリッククラウドがあります。
   総務省の「平成30年版情報通信白書」によると、企業に
  おけるクラウドサービス利用状況は56・9%で、2016
  年から大幅に増加しています。そのうちの85・2%がサー
  ビスの効果を実感しているといいます。
                  https://bit.ly/3ViP5S0
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マイクロソフト・アジュール.jpg
マイクロソフト・アジュール


posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ウェブ/メタバース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする