2022年11月04日

●「日本でGAFAが生まれない理由」(第5847号)

 ここで考えてみるべきことがあります。日本にはなぜ「GAF
A」が生まれないのでしょうか。
 このことに関連する深刻な事実があります。2018年度に中
央省庁が発注した競争契約の70%が「一者応札」であったとい
う事実です。一者応札とは何でしょうか。
 一者応札は、競争入札において、1者しか応札者がない入札事
例のことで、1者応募ともいいます。これは、とくに官公庁の一
般競争入札において問題視されています。とくに既存システムの
改修案件に関しては1者応札が94%を超えているのです。これ
は1社独占につながるので大問題です。しかし、なぜ、こんなに
高率になってしまうのでしょうか。
 この状態を「ベンダーロックイン」といいます。ベンダーロッ
クインとは、特定の事業者(ベンダー)を利用し続けなくてはな
らなくて、他社の参入が困難な状態のことをいいます。ソフトウ
ェアの機能改修やバージョンアップ、ハードウェアのメンテナン
スなどの情報システムを独自仕様にしていまうと、業者を他社へ
の切り替えすることが難しくなってしまいます。
 なぜこんなことが起きるのかというと、システムの改修を受注
した業者が、過度にカスタマイズを重ねることによって、システ
ムを開発したITベンダー以外が、改修やメンテナンスの受注を
困難にしてしまうからです。
 これによって、NTTデータやNEC、富士通、日立製作所な
どのITゼネコンといわれる大手ベンダーやその子会社によって
受注が独占され、新しいアイデアを豊富に持つスタートアップ企
業が誕生しにくくなってしまうのです。
 さくらインターネット株式会社という企業があります。大阪市
北区に本社を置く、ホスティングサーバーを中心とするデータセ
ンター事業およびインターネットサービス事業を行う企業です。
日本のインターネット黎明期よりホスティングサーバーの提供を
行っており、日本最大手企業です。このさくらインターネットの
社長である田中邦裕氏は、ベンダーロックインについて次のよう
に述べています。
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 ソフトウェアはコピーすれば簡単に大量生産できます。にもか
かわらず、わざわざ一件一件カスタマイズした割高なシステムを
作り上げて売って回って、利益を上げようとする。要は、ソフト
を売っているのではなく、ヒトとモノを売っている。ソフトウェ
ア産業のような顔をしたモノづくり産業のままなんです。
           ──田中邦裕さくらインターネット社長
                  https://bit.ly/3sRNF4X
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 確かにソフトウェアはコピーできるし、標準的なOSを利用す
れば、時間の経過によって、ソフトウェアの機能は大幅に向上し
ていきます。それは、1995年に日本にウインドウズ95が導
入された以降のITの発達を見れば、明らかです。このような時
代に、標準的なシステムにあえて背を向けて、特殊なシステムを
作り上げる愚を日本は冒しています。だから、1者応札から脱却
できないのです。
 「iモード」によって世界に先行したはずの「ガラ携」でもそ
うであったように、日本は世界の標準になるようなシステムを作
るのが苦手なのです。だから、カラパゴスといわれるのです。そ
の証拠にアイフォーンの登場によって、日本式ケータイはあっと
いう間に吸収されてしまったではありませんか。ここに、日本に
おけるITのスタートアップが育たない原点があります。
 ところで、さくらインターネットの社長、田中邦裕氏とはどう
いう人物なのでしょうか。
 田中裕也氏は京都の舞鶴工業高校専門学校在学中の1996年
にレンタルサーバー事業を始めています。年齢は18歳です。マ
イクロソフトのビル・ゲイツ氏、フェイスブック(メタ)のザッ
カー・バーク氏が19歳で起業したことを考えると、田中氏は1
年早い。そういう意味で田中邦裕氏は、当時GAFAに一番近い
位置にいたといえます。さくらインターネット創業のきっかけに
ついて、田中氏は、次のように述べています。
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 創業のきっかけは、高専の級友らに自分が立てたウェブサーバ
を貸してあげたことだったという。自分でサーバを立て、所属す
るロボコンサークルのホームページを作ったら、それがあまりに
楽しいので周囲にもサイト作りを勧め、サーバを貸してあげたら
「同級生の間にあっという間に広がった」。金を払ってでもサー
バを借りたいという友人らの声を聞き、「これはビジネスになる
な」と思ったのだ。
 90年代後半は、日本でIT業界が盛り上がりを見せ始めた時
期だった。田中の創業と同じ96年には、ソフトバンクと米国ヤ
フーが合弁で日本法人のヤフーを設立。ホリエモンこと堀江貴文
(48歳)がライブドアの前身、有限会社オン・ザ・エッヂを設
立したのも96年だった。楽天は97年、サイバーエージェント
は98年の創業である。       https://bit.ly/3sRNF4X
─────────────────────────────
 このように、90年代後半は日本において、多くの企業が誕生
し、IT業界が盛り上がった時期だったのですが、現在生き残っ
ている企業は数えるほどしかいないのです。これについて、田中
社長は、「日本という国はスタートアップがGAFAになろうと
すると、潰す力が加わる」といっています。
 田中社長はその典型的な例として、ライブドア事件を上げてい
ます。ライブドア事件とは、2004年9月期の決算報告に虚偽
があるということで、証券取引法などの違反により、ホリエモン
や取締役が起訴された事件のことです。これによって、堀江貴文
氏は逮捕され、実刑が確定しています。しかし、現在でも何が問
題か堀江氏と検察側の意見は食い違ったままです。
           ──[ウェブ3/メタバース/023]

≪画像および関連情報≫
 ●ライブドア事件の3つの争点/堀江貴文氏の主張
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   そもそもライブドア事件というのは、私は「違法でない」
  と考えております。3つの争点があります。「マネーライフ
  事件」「ファンドでの自社株取引」「架空取引」、この3つ
  の論点があるわけです。
   まず、マネーライフ事件ですが、これは、2006年1月
  16日の強制捜査及びその1週間後の私の逮捕容疑になった
  事件です。マネーライフ事件では、ライブドアファイナンス
  が実質所有していると言われているファンドが持っていたマ
  ネーライフという会社を、バリュークリックジャパンという
  会社に売った時の(マネーライフの)株価の算定方法に、D
  CF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法という方式
  を採っていたのですが、「この企業価値評価が適正でない」
  と検察庁から指摘されています。DCF(ディスカウント・
  キャッシュ・フロー)法 ・・・ 将来発生するキャッシュ
  が、現時点でどのくらいの価値があるのかを算出する手法の
  こと。
   マネーライフは赤字の会社だったのですが、こういった会
  社を売る際に将来伸びるということを前提にして、「『今は
  赤字だけども、将来黒字になってお金をたくさん稼ぐ』とい
  うことまで評価して企業を売買する」というのはベンチャー
  企業の世界では当たり前のことで、米国でも赤字なのに何千
  億円という価値で取引されている会社は山ほどあります。日
  本にもたくさんあります。こういったことを「NO」だと検
  察庁は判断しました。      https://bit.ly/3h8hH1s
  ───────────────────────────
さくらインターネット/田中邦裕社長.jpg
さくらインターネット/田中邦裕社長


posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ウェブ/メタバース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする