2022年11月02日

●「GAFAMの直近業績に問題あり」(第5846号)

 インフレの急速な進行により、米国の景気減速が顕著です。米
国の経済をけん引してきた米IT大手、いわゆるGAFAMの成
長に黄信号が点滅しています。2022年7〜9月期の業績は、
次の通りです。
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  ◎米IT大手/2022年7月〜9月期業績/1
                売上高    増減率
      アップル  901.46億ドル   8%
   マイクロソフト  501.22億ドル  11%
   アルファベット  690.92億ドル   6%
        メタ  277.14億ドル  ▲4%
      アマゾン 1271.01億ドル  15%
  ◎米IT大手/2022年7月〜9月期業績/2
                純利益    増減率
      アップル  207.21億ドル   1%
   マイクロソフト  175.56億ドル ▲14%
   アルファベット  139.10億ドル ▲27%
        メタ   43.95億ドル ▲52%
      アマゾン   28.72億ドル ▲ 9%
        ──2022年10月29日付、日本経済新聞
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 これによると、GAFAMのうち、アップルをのぞく4社は減
益に追い込まれており、景気減速と競争激化が原因であると考え
られます。これを受けて株式市場では、市場予想を下回ったとし
て、失望売りが広がり、GAFAMの時価総額の合計は、この1
週間で約4300億ドル(約63兆円)減少しています。
 アマゾンは、決算説明会において、CFO(最高財務責任者)
は、次のように説明しています。
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 消費者は、買い物に慎重になり、企業もテクノロジーや広告へ
の支出を見直す傾向が強まっている。
           ──ブライアン・オルサブスキーCFO
        ──2022年10月29日付、日本経済新聞
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 しかし、景気の影響を受けやすい広告事業と違って、アマゾン
マイクロソフト、アルファベット(グーグルの持ち株会社)の3
強にはクラウド事業があります。クラウド事業は、おりしも新型
コロナ禍が後押しした企業のDX(デジタルトランスフォーメー
ション)の波に乗って、ここ数年は、ドル箱となっていたはずで
す。しかし、これら3強はいずれも「景気後退がクラウドの成長
を妨げている」と口を揃えています。
 クラウド事業は急成長しましたが、景気が減速し、過剰なクラ
ウド投資に対する懸念が生じ始めています。それに、エネルギー
コストの上昇も懸念されています。電気や天然ガスの価格が高騰
し、ここ数年で2倍に跳ね上がっているからです。
 売上高の増減率でみると、GAFAM5社中アルファベットと
メタの2社が低くなっています。メタにいたっては、広告事業が
ほとんどなので、4%のマイナスです。これは、競争の激化によ
るものとして、日本経済新聞は次のように書いています。
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 さらに深刻なのは、競争の激化だ。SNS(交流サイト)では
中国発のTikTok(ティックトック)が若年層を中心に利用
者を増やし、広告の売上高が急増している。メタの画像共有アプ
リ、インスタグラムなどと、利用者層が重なり、アルファベッド
の動画共有サービス、ユーチューブとも競合。7〜8月期にユー
チューブの広告売上高は、初めて減少した。
        ──2022年10月29日付、日本経済新聞
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 この7〜9月期の業績で凋落が目立つのは、メタ(フェイブッ
ク)です。メタの売上高は、前年同期比4%減の、277億ドル
(約4兆円)、純利益は、52%減の44億ドル(約6400億
円)になっていますが、4半期連続で前年同期を下回っており、
これは過去10年で初めてのことです。
 そもそも2021年10月28日にフェイスブックがメタに社
名を変更した理由は、直接的には、顧客情報保護をめぐるアップ
ルとの対立です。この事情について、2021年10月29日付
の日本経済新聞は次のように報道しています。
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 フェイブックが社名を変更した背景には、同社が世界で36億
人近い利用者を抱える一方、事業基盤を他社に依存している弱み
がある。直近では米アップルがスマートフォンでプライバシー保
護策を強めたことで、主力の広告事業が直撃を受けた。ザッカー
バーグ氏は2021年10月28日もアップルのアプリ配信サー
ビスなどを念頭に「選択肢の乏しさと高い手数料が技術革新を阻
害している」と主張した。   ──2021年10月29日付
       日本経済新聞 https://s.nikkei.com/3DhMe4w
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 フェイブックは、交流サイト(SNS)で収集した個人データ
を分析し、利用者の関心に沿った広告を表示するターゲティング
(追跡型)広告で巨額の利益を上げてきたのですが、アップルは
2021年春からアプリによる利用者情報の追跡通知の可否を利
用者に求めると表明。これに対してフェイスブックは、収益源の
広告ビジネスが打撃を受けると猛反対し、シリコンバレーの隣人
同士の争いが泥沼化したのです。この理由について、アップルの
クックCEOは次のように述べています。
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 生活の全データが収集され、販売されるのが当たり前になれば
私たちは人間としての自由を失う。──アップル/クックCEO
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           ──[ウェブ3/メタバース/022]

≪画像および関連情報≫
 ●Amazon赤字転落、Google減益、Facebook株価暴落/GA
  FAの「この世の春」はなぜ終わったのか
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   2022年になってアップルを除くGAFAの業績悪化が
  顕在化している。業績悪化の原因はそれぞれ異なるようなの
  で、会社別に詳しく見てみよう。
  【アマゾン】
   2022年第1四半期の最終損益は38億ドルの赤字だっ
  た。アマゾンの赤字転落は2015年1〜3月期以来7年ぶ
  り。アマゾンのCEO(最高財務責任者)によると、赤字要
  因はインフレ、生産性低下および過剰設備による60億ドル
  (約8100億円)ものコスト増で、中でも米国外への輸送
  コストはコロナ前の2倍以上に、燃料費は1年前の1・5倍
  になっているそうだ。
   アマゾンは主に単価の低い日用品等を高頻度で小口配送す
  る業態だ。「プライム会員は何回でも配送料無料」という看
  板サービスは(米国内で)10年前の79ドルから、現在は
  119ドルまで値上げしているが、筆者はここに「物流コス
  トの高騰分をストレートに価格転嫁できない」という弱点が
  あるとみている。アマゾンの株価は7月15日終値で113
  ・55ドル。昨年11月18日の最高値から38%も下げて
  いる。コロナパンデミックによる物流の混乱はいまだ続いて
  おり、米国内の人件費高騰、燃料費高騰も長引きそうだ。こ
  れらが解消されるまで同社の収益は不安定な状況が続くだろ
  う。              https://bit.ly/3DpNzX1
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米IT大手の株価/2021.jpg
米IT大手の株価/2021


posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ウェブ/メタバース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする