にします。
─────────────────────────────
A=全体の消費者物価指数対前年同月比
B=Aからエネルギーと食品を除く指数
1月 2月 3月 4月
A 7・5% 7・9% 8・5% 8・3%
B 6・0% 6・4% 6・5% 6・2%
─────────────────────────────
FRBが政策金利を3月中旬になって「0・0〜0・25」か
ら「0・25〜0・5%」へ引き上げ、さらに5月上旬になって
「0・75〜1・0%」へと再引き上げ。したがって、ビハイン
ド・ザ・カーブ」、すなわち、後追いといわれるのです。
ここで政策金利というのは、日銀など各国の中央銀行が金融政
策において使用する短期金利のことで、金融機関の預金金利や貸
出金利などに影響を及ぼします。
米国のケースに比べると、日本の4月の消費者物価指数対前年
同月比(A)と、Aからエネルギーと食品を除く指数(B)は、
次の通りで、利上げをする状況ではないのです。
─────────────────────────────
4月
A 2・5%
B 0・8%
─────────────────────────────
つまり、米国は現在インフレですが、日本はインフレではない
のです。日本には巨額なGDPギャップがあり、インフレではな
いからです。GDPギャップというのは、経済の供給力と現実の
需要との間の乖離のことをいいます。
それでは、日本のGDPギャップはどのくらいあるのでしょう
か。これについては、2022年6月7日付の日本経済新聞が、
内閣府の発表として、次のように報道しています。
─────────────────────────────
◎国内需要不足21兆円/22年1〜3月前四半期から悪化
内閣府は6月6日、日本経済の需要と潜在的な供給力の差を示
す「需給ギャップ」について、2022年1〜3月期はマイナス
3・7%だったとの試算を発表した。
金額は年換算で21兆円の需要不足だった。21年10〜12
月期のマイナス3・3%(19兆円)から悪化し、10四半期連
続のマイナスとなった。需給ギャップは消費や設備投資といった
経済全体の需要と、労働時間などから計算する潜在的な供給力と
の差をいう。需要が供給を上回ると物価は上がりやすくなる。
──2022年6月7日付、日本経済新聞より
─────────────────────────────
およそ21兆円のGDPギャップ──米国はドル高なのに高い
インフレですが、日本は円安なのにインフレではない。どこが違
うのかというと、バイデン政権は、発足直後に、大型財政出動を
行っており、GDPギャップが解消されているので、インフレ率
が高くなっているのです。
5月25日に、ニッポン放送 「飯田浩司のOK! Cozy up!」
に高橋洋一氏が出演し、これについて、問答を行っているので、
以下にご紹介依します。
─────────────────────────────
飯田:補正予算案は、「物価高騰緊急対策」などと言われていま
すが。
高橋:まず、セオリーがわかっていて、やっているのだと思いま
す。現状を考えると、4月の物価がどうなっているのかという
ことですが、総合で2・5%上がって、「生鮮食品を除く総合
指数」で2・1%上がっています。「インフレ」とみんな言い
たくなるのだけれども、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合
指数」を「コアコア指数」と言うのですが、これが物価の基調
なのです。
飯田:コアコア指数が?
高橋:それを見ると、コアコア指数は0・8%で全然上がってい
ない。ですので、インフレにはなりません。アメリカやヨーロ
ッパの「生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数」は6%以上
6〜8%という数字になっているのです。そのくらいにならな
いとインフレではないのです。どうして日本だけ違うのかと言
うと、総供給と総需要の差である「GDPギャップ(需給ギャ
ップ)」という言葉があります。
飯田:GDPギャップ?
高橋:日本はまだ30兆円程度のGDPギャップがあります。ヨ
ーロッパやアメリカはほとんどありません。だから物価が上が
るのです。逆に言うと、GDPギャップがあるから日本は物価
の基調である「コアコア指数」が上がらない。このときの対策
はセオリーが簡単で、GDPギャップをまず埋めるのです。
ギャップを埋めると、実は物価が上がる。物価が上がるけれ
ども、対策を行うので「上がった物価の多くの部分は、経済対
策によって吸収できる」というのがセオリーなのです。でも、
それをやっていないのです。 https://bit.ly/3y9ETCS
─────────────────────────────
つまり、GDPギャップがプラスの場合(総供給より総需要が
多い)はインフレギャップといい、好況や景気が過熱しており、
物価が上昇する要因になります。逆にGDPギャップがマイナス
の場合(総需要より総供給が多い)はデフレギャップといい、景
気の停滞が不況になって、物価が下落する原因になります。
日本のGDPギャップは、上記日経の記事に見るように、21
年10〜12月期のマイナス3・3%(19兆円)から悪化し、
10四半期連続のマイナスになっているのです。したがって、日
本は、金利を上げる状況にはぜんぜんないのです。
──[新しい資本主義/114]
≪画像および関連情報≫
●米FRB利上げ:識者はこうみる
───────────────────────────
[15日/ロイター]米連邦準備理事会(FRB)は14─
15日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデ
ラルファンド(FF)金利の誘導目標を75ベーシスポイン
ト(bp)引き上げ、1.50─1.75%とした。27年
ぶりの上げ幅で、会見したパウエル議長は、7月の次回会合
でも50bpもしくは75bpの利上げを示唆した。FOM
C後、米株は上昇、ドルは売られた。市場関係者の見方は以
下のとおり。
<アクサ・インベストメント・マネージャーズ/債券ストラ
テジスト 木村龍太郎氏>
FRB(連邦準備理事会)の先行きの景気に対する自信が
やや揺らいでいるようだ。期待インフレに働きかけるヘッド
ラインのインフレ率が、国際商品価格やサプライチェーンと
いったFRBがコントロールできない要因に左右され、利上
げしたとしても将来のインフレが予想通り下がるか自信がな
いということで、安定的・持続的な成長パスもやや揺らぎつ
つあると感じた。また今回が75ベーシスポイント(bp)
の利上げ、7月も50bpまたは75bpの利上げというの
は結構タカ派な決定だったが、にもかかわらず米金利は短期
まで含めて大きく低下で反応した。
特に2023年末には政策金利が3.8%まで上がるとい
うのがFOMC(連邦公開市場委員会)参加者の中央的な見
通しだが、足元の市場の織り込みは3.3%まで低下。投資
家の間ではFRBは見通し通りに利上げができないのではな
いか、あるいは利上げしても来年末には既に利下げに追い込
まれるのではないか、と景気の持続性にやや悲観的な見方を
している。つまり「FRBの見通しほどうまくいかないだろ
う」ということで、FOMC後の金利低下につながった。
https://bit.ly/3ObqOKJ
───────────────────────────
インフレギャップとデフレギャップ