組の大石晃子議員が、先週の予算委員会で岸田首相が「消費税の
減税は考えていない」と答弁したことに対し、首相を「資本家の
犬、財務省の犬」といった言葉を使い、複数枚のパネルを使って
批判したことが話題を呼んでいます。
仮にも一国の首相をこのような言葉を使って批判するのは、国
会議員として失礼であると思います。ネット上で話題になってい
るので、そのときの動画をご紹介します。
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期日:2022年6月1日(水)
場所:衆議院予算委員会
質問:れいわ新選組の大石晃子衆議院議員
時間:4分22秒
https://bit.ly/3NOV25m
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しかし、言葉遣いには問題がありますが、大石議員が指摘して
いることはほぼ事実です。ところで、日本各地で組織された「民
主商工会」(民商)の全国組織である全国商工団体連合会(全商
連)という組織があります。その全商連が「消費税は社会保障の
ために本当に使われているのか」のタイトルで書いたレポートが
あります。これによると、消費税は社会保障の安定財源という割
には、消費税が導入されてから、社会保障が充実するどころか、
むしろ改悪されていることを次のデータで示しています。
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消費税導入以前/1988年度 2020年度
サラリーマン本人の窓口負担 0%→ 10%
高齢者の窓口負担(外来) 1割→ 3割
国民健康保険料・税/1人平均 56372円→ 90233円
厚生年金支給開始年齢 60歳→ 65歳
国民年金保険料(月額) 7700円→ 16610円
介護保険料 なし→ 5869円
障碍者福祉の自己負担 応能負担/9割無料→ 定率1割負担
https://bit.ly/3xj5woj
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確かにこれによると、社会保障はどんどん厳しさを増していま
す。しかし、それは、少子高齢化が急速に進むなどの要因もあり
仕方がないことであるともいえます。
それに消費税は最初から社会保障の安定財源として導入された
ものではなく、そう呼ぶようになったのは、2012年に、当時
与党の民主党と、自民党と公明党の3党が組んで成立させた「税
と社会保障の一体改革」からです。バックに財務省がいます。
しかし、そうであっても消費税は社会保障の目的税ではなく、
それを目指すというに過ぎません。消費税の税収は、一般財源と
して何にでも使えるのです。お金に色はついていないので、税収
として入ってくると、何にでも使えるし、仮にそれを指摘された
としても、どのようにでも言い訳はできるようになっています。
ここにまやかしがあります。実際には、消費税収分のほとんどは
社会保障にまわっていないのです。
財務省という役所が、一般会計と特別会計で動かすお金の額は
GDPの50%相当といわれます。それだけ財務官僚は、日本の
命運を握っています。しかし、財務官僚は、何よりも、プライマ
リーバランス(基礎的財政収支)──一般会計で歳入総額から国
債発行などによる収入を引いた金額と、歳出総額から国債費など
を引いた金額のバランス──これをプラスに持っていくことに、
偏執狂的な情熱を燃やしています。
これは、国債を償還することになるので、緊縮財政です。これ
をすると、市場からお金を吸い上げる一方で、税金が実体経済に
戻らなくなるので、不況になって経済が委縮し、経済が成長しな
くなります。「国が借金をすることで、国民の資産が増える」こ
とをどうしても彼らは理解できないようです。
産経新聞特別記者の田村秀男氏は、近著で矢野康治財務事務次
官について次のように触れています。
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一時期、民主党政権のトップたちが「このままでは日本はギリ
シャのように財政が破綻する」と言っていましたが、あれは完全
に民主党政権が財務官僚に洗脳されてしまっていたのです。財務
官僚に「ギリシャみたいになったらどうしますか。あなたのせい
にされますよ」と言われて震え上がって、一生懸命消費税の増税
を画策して、三党合意にもっていった。
「財務省はまず国のことを思って、経済を良くしようと考える
はずなのに・・・」と思われるかもしれませんが、財務官僚とい
う人たちはほんとうに不思議です。
いまの事務次官の矢野康治さんと話をしたとき、「いや、私は
財務省のなかでも、経済のことはいちばんわかってますから」と
の自負を述べておられましたが、その矢野さんが、一生懸命増税
と緊縮財政のことばかり考えている。
財務省自身が魔物みたいなもので「財政は均衡させなきやいけ
ない。均衡させるためには緊縮財政をやらなきやいけない。増税
をしないといけない」という”緊縮狂”というべきか、これが性
根になっているとしか思えません。 ──田村秀男著
『「経済成長」とは何か/
日本人の給料が25年上がらない理由』/ワニブックス
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財務省は、偏執狂ならぬ緊縮狂に陥っている──このあたりに
日本が経済成長できない原因があります。政治家は、財務省と張
り合うことはマイナスと考えていて、積極的には戦おうとしない
のです。財務省の力は、政権運営に慣れていない民主党を手玉に
とったことで十分発揮されています。一番わからないのは、財務
官僚は本当に国家運営を家計と同じように考えているのかという
ことです。 ──[新しい資本主義/104]
≪画像および関連情報≫
●プライマリーバランス黒字化目標導入という罪とは別のもう
一つの罪/杉っ子の独り言
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私はプライマリーバランス黒字化目標に対して批判的な立
場です。デフレ脱却のためには「国債増刷」と「財政出動」
のセットの政策以外に、有効な方法がありません。
もし、国家の財政運営を家計簿や企業経営と同じように考
えて、「政府の政策は税収の範囲内で行うべき!」という人
が居られれば、それはGDP3面等価の原則を知らない人で
しょう。知っていても理解していない人でしょう。
なぜならば、支出=生産=所得であって、支出するのは、
家計(個人)でなくても企業(法人)でなくてもよく、政府
が支出するでも全く問題がないからです。実際、内閣府のホ
ームページで公表されるGDPの1次速報、2次速報、確報
値では、政府最終消費支出という項目があります。個人消費
や企業設備投資の他に、公務員(警察官・消防官・救急隊・
自衛隊・学校の先生・役所省庁職員など)の給料や公共事業
投資もまた支出であることに変わりありません。
国債を増刷して、その財源を元に公務員を増やした結果、
公務員に払う給料が増えた場合、政府支出増=政府サービス
(医療・介護・防衛・防犯・災害救助・教育などなど)の生
産増加=公務員の所得増加となりまして、経済成長(GDP
拡大)に貢献するのです。さて、そもそもこのプライマリー
バランス黒字化を導入されたのはいつか?そしてそれは誰が
主導したのか?2001年に竹中平蔵氏がプライマリーバラ
ンス黒字化を言い出しました。その結果、日本は景気が悪く
なって財政出動をしなければならない状況に陥ったとしても
財政出動ができなくなってしまったのです。
https://bit.ly/3GQdubw
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れいわ新選組/大石あきこ議員