2022年06月09日

●「一番滞納が多いのは消費税である」(第5747号)

 「われわれはウクライナに侵攻していない」──ロシアが大量
の戦車でウクライナの首都キーウに向けて攻め込んでいる映像が
テレビで大量に流されているなかでロシアのラブロフ外相がいっ
た言葉です。明らかにウソです。ラブロフ外相の立場に立てば、
そういわざるを得なかったのです。
 こういうウソを「プロパガンダ」といいますが、プロパガンダ
には、2つがあります。情報源を明らかにして行うプロパガンダ
が「ホワイト・プロパガンダ」、情報源を隠して行うプロパガン
ダが「ブラック・プロパガンダ」です。
 ロシアの場合、ホワイト・プロパガンダでもウソをついていま
す。つまり、国民に嘘をついているということです。政府声明な
ので、国民の知るところとなりますが、対外的に本当のことをい
えば、国内向けにいっていることがウソだとわかってしまう。し
たがって、ここは国際社会からいかに非難を浴びようとも、国民
にいっていることと同じこと、すなわち、ウソをいわざるをえな
いのです。ラブロフ外相やネベンジャ国連大使が、明らかにウソ
だとわかることを対外的声明や国連でのスピーチで堂々といって
のけるのはこのためです。
 何でプロパガンダの話をしたかというと、財務省も国民に対し
てさまざまなプロパガンダを行っているからです。たくさんあり
ますが、「このままでは日本の財政は破綻する」とか「消費税の
多くは社会保障の財源に使われる」などは、その代表的なものと
いえるでしょう。
 矢野康治財務事務次官は、『文藝春秋』において、消費税を一
時的にも下げることが、どれほど大変なことかについて、次のよ
うに述べています。
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 日本では、消費税はきちんと価格に転嫁しなければならないと
法律で定めていますので、あらゆる財・サービスの値段を具体的
にどこまで下げるか、電車やバスの運賃料金からから診療報酬に
至るまで、値決めと値札の付け替えをせねばならず、実行するま
でに最低半年以上かかることになります。法改正等も含めた政策
実現ラグを考えると、引き下げの実施はずっと先の話になり、そ
もそもコロナ対策としての有効性が甚だ疑問なのです。(中略)
 いったん引き下げた消費税率をいつ上げ戻すのか、上げ戻す場
合の駆け込み需要と反動減対策はどうするのか・・・などと難題
は他にもあまたあります。さらに、もう一つだけ問題点を指摘し
ますと、仮に消費税率を5%に引き下げた場合、軽減税率対象品
目については108分の3引き下げられ、その他は110分の5
引き下げられることとなり、低所得者ほど恩恵が(額でみても率
でみても)小さくなってしまうという逆進性が高まってしまう問
題もあります。
 ──矢野康治著『財務次官、モノ申す「このままでは国家が財
    政は破綻する」』/『文藝春秋』/2021年11月号
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 経済を成長させるということはGDPを伸長させることです。
そのために一番効果的なのは、個人消費を伸ばすことです。なぜ
なら、日本の場合、GDPの60%が個人消費だからです。まし
て、昨今は生活に欠かせない諸物価が高騰しており、その一方に
おいて、コロナ禍も続いていて、労働者の賃金が上がっておらず
実質収入は減少しているのです。これでは、個人消費は上がるど
ころか、下がってしまいます。
 賃金を上げるには、経済を成長させる必要があります。これが
できないのであれば、時限的に消費税を引き下げ、実質所得を増
やさなければなりません。しかし、財務省のトップは、消費税を
下げることや、さらにそれを元に戻すことの事務負担がどんなに
大変かをめんめんと訴えています。
 しかし、それをするのが財務省をはじめとするすべての役所の
仕事なのです。そのために、世の中に何が起きようと公務員は給
与が保証され、昇給もきちんと行われているのです。そういう優
越的立場にいて、いうべきことではないと考えます。
 ちなみに、コロナ禍の緊急経済対策として、56の国と地域が
日本の消費税に当たる付加価値税を下げています。英国では、半
世紀ぶりに大企業向けの法人税率を現行の19%から25%に引
き上げる(23年4月から)ことを発表。米国のバイデン大統領
も、連邦法人税率を現行の21%から28%への引き上げを提案
し、イエレン米財務長官は、各国の法人税引き下げ競争を終わら
せ、G20が協力して共通の最低税率を設ける国際的な取り組み
を呼び掛けていますが、日本は知らん顔です。
 消費税は、コロナ禍であろうと、天変地異が起ころうと、赤字
であろうと、徴収される税金です。とくに日本の場合、いったん
上げた税率は、何が起ころうと、上げることはあっても、絶対に
下げないのです。したがって、その消費税の滞納額たるや、国税
全体の半分以上を占める3200億円に達しています。まさに日
本経済の成長を止めているのは、この消費税です。
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      ◎2019年/国税新規発生滞納額
       所得税  22%/1249億円
       法人税  14%/ 765億円
       相続税   5%/ 275億円
       消費税  58%/3202億円
       その他   1%/  36億円
                  https://bit.ly/3arqAQH
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 消費税は、社会保障財源の目的税ではありません。したがって
「社会保障に使われる」といっても、お金に色はついていないの
です。このテーマは、EJでは何回も取り上げていますが、最近
のデータを使って、本当のところ何に使われているのかについて
検討してみることにしたいと思います。
              ──[新しい資本主義/103]

≪画像および関連情報≫
 ●消費税は社会保障のため?本当に消費税は必要なのか?
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   TOKYO MX(地上波9ch)/朝のニュース生番組
  「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。9
  月24日(木)放送の「オピニオンオピニオンCROSS
  neo」のコーナーでは、公認会計士で税理士の森井じゅん
  さんが“消費税と社会保障”について述べました。
   菅首相(当時)は総裁選中の質疑応答で、「社会保障の財
  源確保のため、将来的には消費税を引き上げる必要がある」
  と述べました。しかし、翌日の記者会見では「安倍首相(※
  会見当時)は『今後10年ぐらい上げる必要がない』と発言
  している。私も同じ考えだ」と軌道修正しており、今後の菅
  政権の方針が注目されています。
   菅首相(当時)は「消費税は社会保障のための財源」とし
  ていますが、森井さんは「そもそも消費税導入の理由は、社
  会保障ではない」と指摘。導入理由は「直間比率の是正」で
  直接税が高いのでもっと間接税を増やすという話だったと言
  います。直接税とは「納税しなければいけない人と負担する
  人が同じ」で、いわゆる法人税や所得税のこと。一方、間接
  税は「実際に納税する人と負担する人が異なるもの」で、た
  ばこ税などがそれにあたり、「消費税も間接税としてカウン
  トされているが、そこは議論の余地があるところ」と森井さ
  ん。そして、消費税導入の要因でもある「直間比率の是正」
  については、「これは法人税と所得税を下げ、消費税を引き
  上げるという財界の要望」と指摘。結果的に、日本の税収は
  今やその要望通りに法人税が減り、消費税の割合が増加して
  います。           https://bit.ly/3aHLxH9
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消費税の引き下げは好ましくはない/矢野次官.jpg
消費税の引き下げは好ましくはない/矢野次官


posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 新しい資本主義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする