民主党の鳩山由紀夫首相が、公共事業から家計支援に軸足を移す
ことを宣言した経済政策のスローガンです。
このとき、政権を失った自民党は「財源がどこにある」といっ
て徹底的に反対の姿勢をとり、財務省は政権与党に慣れていない
民主党の大臣への洗脳作戦で「コンクリートから人へ」の政策を
潰し、最も首相にしたくない小沢一郎氏を検察を使い、証拠を改
ざんするなどの汚い手を使って、政治的に排除し、民主党をして
公約にない消費税の増税をさせたのです。それが現在の10%の
消費税です。
しかし、「コンクリートから人へ」──これは正論です。この
言葉は、あの田中角栄元首相の次の語録からきています。
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政治とは何か。それは生活である
──田中角栄
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その意味するところは、国民が働く場所を用意し、衣食住を向
上させ、戦争を起こさず、穏やかに暮らせるようにするのが政治
の目的であるということです。小沢一郎氏はこの言葉の精神を自
身の政党名に込めて「国民の生活が第一」と命名しています。
添付ファイルを見てください。これは、みずほリサーチ・テク
ノロジーズのレポートに出ていたものです。人への投資の割合を
官民で、GDP比で主要国と比較したものですが、日本の投資は
圧倒的に少ないことが分かります。「コンクリートから人へ」の
経済政策は間違っていないのです。この責任は政権与党、とりわ
け自民党にあります。しかし、それでも、多くの日本人は、何が
あっても、自民党に投票します。
岸田政権においては「コンクリートも人も」になっており、重
点投資ではなく、バラ撒きに近く、日本の経済を成長させる政策
であるとは思えません。これでは、これまでと同じであり、経済
は成長せず、賃金も上がりません。政治は、国民を豊かにして、
はじめて成功したといえるのです。そのためによい方法があるは
ずです。それは、現在10%の消費税の税率を一時的に下げるこ
とです。まして、現在は円安の影響や、コロナ禍、ウクライナ危
機もあって、電気代や食料をはじめとして、生活に欠かせないあ
らゆるものの物価が大幅に上昇しつつあります。しかし、賃金は
依然としてまったく上昇していないので、国民の生活は一段と苦
しくなっています。
こういう経済状況ですから、もし、野党のいうように、消費税
を10%から5%に下げれば、その分国民の生活はラクになりま
す。コロナ禍では、米国をはじめとして、あの財政規律の厳しい
ドイツでも、減税をしていますが、日本は絶対にやりません。日
本の政権与党の議員の頭には、法人税の減税は許容しても、消費
税の減税などする意思はまったくないのです。その動かぬ証拠が
ここにあります。
先の衆院選の候補者全員に対して、毎日新聞が行った調査で、
消費税の一時的減税について聞いています。その全体と自民党の
投票結果は次のようになっています。
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◎消費税をどうするべきか
全体 自民党
引き上げるべき 1% 2%
当面は10%を維持すべきである 38% 89%
引き下げるべきである 58% 5%
その他 3% 4%
https://bit.ly/3NlU54N
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ここで重要なのは、野党を含めた全体では「引き下げるべきで
ある」がトップの58%を占めていることです。これが国民の意
思です。驚くべきなのは「10%を維持すべき」が、自民党では
89%を占めていることです。この考え方こそが、日本がデフレ
から脱却できない理由です。
「消費税を時限的に下げるべき」というと、首相をはじめとす
る閣僚は、必ず次のように答弁し、反対します。これは、財務省
の役人からのQ&Aです。
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消費税は社会保障の一部財源になっており、一時的であって
も、引き下げることは困難である。
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この点について、現職の矢野康治財務事務次官は『文藝春秋』
で、次のように反論しています。
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コロナ対策の窮余の一策として、一時的に消費税率を引き下げ
てはどうか、という政策の提案もあります。しかし消費税は、す
でに社会保障制度を持続させていくための、極めて重要な「切り
札」として位置づけられています。
増え続ける高齢世代の社会保障費をいかに支えるか。この方策
については長年議論されてきました。その結果、少子高齢化の進
展を見据え、減りゆく勤労世代からの保険料や所得税などだけで
は高齢世代を支えていけないという結論に達したのです。
──矢野康治著『財務次官、モノ申す「このままでは国家が財
政は破綻する」』/『文藝春秋』/2021年11月号
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消費税を社会保障の財源にする──これは、財務省の策略に与
党議員が騙されてしまった結果です。そんなことをしている国は
ありません。もし、そんなことをすれば、今後社会保障は増える
一方ですから、消費税の税率は上がる一方になります。財務省は
いいでしょうが、国民は悲惨なことになります。それに、消費税
の財源は、消費増税にさいに同時に行われている法人税の減税の
原資になっているのです。 ──[新しい資本主義/102]
≪画像および関連情報≫
●「社会保障のための増税」はまやかし/控える給付減
・負担増
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安倍内閣は10月から消費税率を10%に引き上げる姿勢
を崩していない。しかし、7月1日の日銀短観(企業短期経
済観測調査)では企業の景況感が2期連続で悪化。2015
年6月と16年12月のこれまで2回の10%への増税延期
時よりも現在の経済状況は悪く、到底増税に耐えられる状況
にない。
参院選に関する各種世論調査では、社会保障と並んで消費
税増税の是非に有権者の関心が高く、軒並み「反対」が「賛
成」を上回る。「10%ストップ!」の声を投票行動に結び
つけ、審判を下す必要がある。
6月に閣議決定された「骨太の方針2019」は、10月
の10%への消費税増税を明記。「社会保障に対する安定的
な財源を確保する」などとしている。
しかし「社会保障のための消費税増税」という議論は、法
人税や所得税を減らす分を消費税分で置き換えるに過ぎず、
まやかしの議論であることは、この間の経緯を見ても明らか
だ。1989年度から2018年度までの消費税収は、累計
372兆円。一方で、同時期の法人税の減収分は累計291
兆円となる。消費税収の約8割が法人税収の穴埋めに使われ
たことになる。消費税導入時との比較では、現在の税収構造
は、減税等により所得税収、法人税収が低下。消費税収が、
所得税収に匹敵するまでに増えているにもかかわらず、国の
税収全体はほとんど増えていない。
https://bit.ly/3MkdTUK
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日本の人への投資は官民ともに見劣りする