プルそのものです。それは、英単語3つであらわされています。
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安定性は不安定化する
Stability is destabilising.
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主流派経済学では「市場は基本的に安定している」という考え
方に立っています。安定といっても何も変わらないという意味で
はありませんが、経済は着実に成長している状態であるという意
味です。市場で経済危機などを引き起こすには、石油価格の上昇
や戦争の勃発、インターネットの発明など、何らかの外部ショッ
クが発生する必要があるという考え方です。
しかし、ミンスキーはこれには絶対に同意しなかっのです。ミ
ンスキーは、そのような外部ショックではなく、経済のシステム
自体が内部のダイナミクスを通じてショックを引き起こす可能性
を内包していると考えたのです。なぜかというと、経済が安定し
ていると、銀行、企業、その他の経済主体は、どうしても楽観的
になるものであり、彼らは好況が今後も続くと想定し、利益を追
求するためには、これまで以上に大きなリスクを冒し始めるもの
であると考えるからです。つまり、次の危機の種は好況のときに
蒔かれると考えたのです。これがミンスキーの「安定性は不安定
化する」という意味です。
ミンスキーは、「債務には次の3つの段階がある」と考えてい
ます。これがわかると、「安定性は不安定化する」ということが
一層わかりやすくなります。
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@ ヘッジ段階
A 投機的段階
Bポンツィ段階
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第1は「ヘッジ段階」です。
「ヘッジ段階」では、銀行と借り手は危機の発生のことも考え
て、慎重になります。これによって、ローンは適度な金額で組ま
れ、借り手も最初の元本と利息の両方を返済する余裕がある場合
にローンは成立します。
第2は「投機的段階」です。
危機がなく、楽観が高まるにつれ、銀行は借り手が元利返済で
はなく、利息を支払うだけの余裕があると見られると、ローンを
組み始めます。事態を甘く考えるからです。ローンの抵当資産の
価値が上昇している場合などはこの段階になります。
第3は「ポンツィ(ポンジー)段階」です。
「ポンツィ」とは何でしょうか。「ポンツィ」とは、金融詐欺
師チャールズ・ポンツィから来ています。ここで銀行は、利息も
元本も支払う余裕のない企業や家計に対してでも、融資を行うよ
うになります。繰り返しになりますが、これは資産価格が今後も
上昇するという信念によって支えられています。
これは、どうみても日本のバブルの発生と崩壊を想起させる理
論です。日本のバブルは、「投機的段階」を経て、「ポンツォ段
階」になり、崩壊しています。
ミンスキーに関しては、後の経済学者によって造られた用語で
ある「ミンスキー・モーメント」という言葉が有名です。これは
ちょうど、トランプ(カード)で建てた家全体が倒れる瞬間を指
しています。ポンツィ金融は資産価格の上昇に支えられており、
資産価格が最終的に下落し始めると、借り手と銀行はシステムに
返済できない負債が存在することに気づき、人々は急いで資産を
売り払い、さらに大きな価格の下落を引き起こすのです。それが
「ミンスキー・モーメント」です。
ミンスキーについて、東京大学名誉教授の吉川洋氏は、次のよ
うにコメントしています。吉川洋氏は、日本の主流派経済学を代
表する人物です。主流派経済学はリーマンショックを予測できな
かったのです。
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ミンスキーの理論で中心的な役割を果たすのは、「負債」であ
る。負債がなくても「過剰」な、あるいは事後的に見て誤った投
資が行われることはありうる。しかし負債が存在すると、過剰な
投資の規模はより大きくなるし、借り手が破綻した場合に貸し手
にコストが発生し連鎖反応が生じる。こうした意味でミンスキー
理論が強調するとおり、過大な負債は金融危機の温床となるので
ある。それにしても「過剰」な投資、「過大」な負債はどのよう
に生まれるのか。
彼の理論では、企業や銀行、あるいは個人も、結局のところ、
長期的な好況の下では「強気」となり、ポンジーファイナンスに
も手を出すようになる、しょせん人間とはそういうものなのだ、
という前提に立つ。
これは「合理的期待」や「市場の効率性」を仮定する新古典派
経済学の考え方とはまったく異なる。主流派マクロ経済学の立場
からは、ミンスキーはほとんど論じるに値しないものとして無視
されてきた、といっても過言ではない。
だが現実の経済でバブルが発生し、金融危機が起きることは、
今や誰も否定できない。さすがに経済学の世界でも、金融市場が
いつも効率的に機能するわけではない、ということを認めたうえ
で「バブル」を正面から分析しようとする試みがなされてきた。
例えばロバート・シラー米エール大学教授は、投資家心理を従
来の経済学よりはるかに柔軟に取り入れ、金融市場の不安定性に
関する分析を行い、著書「根拠なき熱狂」はベストセラーとなっ
た。こうした分析に基づき、シラー教授は早くから米国の住宅価
格上昇の行き過ぎを警告していた。
https://s.nikkei.com/3Oazq4w
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──[新しい資本主義/070]
≪画像および関連情報≫
●ミンスキーモーメントとは?
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ミンクシーの瞬間は、金融市場の安定性について悲観的な
見方をしていた20世紀の米国経済学者であるハイマン・ミ
ンスキーの哲学にちなんで名付けられたフレーズです。ミン
クシーは、投機が価格を不自然に高いレベルに引き上げ、必
然的に壊滅的な崩壊につながるため、自由市場は根本的に不
安定であると考えていました。
この考えは、投機は強気市場として知られる成長の幻想の
みを作成するという前提に基づいており、それは後に流動性
の圧迫が発生すると持続不可能であることが証明されていま
す。流動性の圧迫は、貸し手の間で支配的な認識の成長であ
り、ミンスキーの瞬間に達します。そこでは、市場で利用可
能な投資資金が不足しているという信念が、銀行による貸付
の引き締めにつながります。
これはさらに、経済における金利と銀行の信用要件を高め
るためのフィードバックループメカニズムとして機能し、全
体的な資本の流れを減らします。ミンスキーのモーメントの
概念は、ハイマンミンスキーの経済哲学にちなんで名付けら
れましたが、1998年に、当時のアジアの金融危機に言及
するために使用した世界的な投資マネージャーであるポール
マカリーによって最初に造られました。アジアの危機は、投
機家が米ドルに結び付けられたアジア市場の通貨の価値を、
そのような通貨の価値が最終的に急落する程度まで引き上げ
たために発生しました。 https://bit.ly/3uHVbRJ
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異端の経済学者ミンスキー