2022年03月17日

●「消費税増税と経済への大ダメージ」(第5692号)

 3月14日の外国為替市場のドル円相場は、次の通りとなって
います。
─────────────────────────────
         1ドル=117円81銭
─────────────────────────────
 前週末午後5時時点に比べ1円10銭の大幅なドル高・円安に
なっています。かつては、ウクライナ危機というような有事には
ドルより円が買われ、「有事の円高」といわれたものですが、今
回は見る影もありません。
 主要国のGDPシェア(ドル建て)を調べると、1995年か
ら2015年の20年間で、日本のGDPシェアは、17・5%
から5・9%に縮小しています。このままでは、日本はとても先
進国とはいえないいベルに転落してしまいます。
─────────────────────────────
           1995年   2015年
       日本  17・5%    5・9%
     アメリカ  24・6%   24・3%
    ヨーロッパ  33・6%   25・0%
       中国   2・4%   15・0%
      その他  21・8%   29・9%
                  https://bit.ly/3KFPMPZ
─────────────────────────────
 なぜ、こうなってしまうのでしょうか。
 それは、どのように考えても、日本の経済政策の失敗にあると
いっても過言ではないと思います。はっきりしていることは、思
い切った財政支出がないということです。
 添付ファイルを見てください。このグラフは、1985年から
2017年までの当初予算と補正予算の公共事業関係費の推移を
示しています。当初予算の棒グラフは青色、補正予算は橙色で表
示されています。
 2009年から2012年までは、民主党政権ですが、このと
きは、民主党が「コンクリートから人へ」のスローガンの下、公
共事業費を大幅に削減したのです。しかし、安倍政権でもグラフ
にしてみると、民主党政権のときと、大して変わっていないので
す。当初予算で見ると、鳩山民主党政権下の公共事業関係費の当
初予算(2010年)よりも、むしろ低いくらいです。やはり、
財政出動に関しては、おそるおそるやっている感じです。
 その結果、国と地方公共団体が実施した社会資本の形成の推移
を調べてみると、日本だけが大幅に公共事業費を削減しているこ
とが明らかです。1996年(平成8年)を100とした数値は
次のようになっています。社会資本とは、いうまでもなく、道路
港湾、公園、病院、学校、保育園などの公共施設の新設や改良な
どを指します。
─────────────────────────────
       イギリス ・・・・ 278・2
       アメリカ ・・・・ 198・7
       フランス ・・・・ 160・8
        ドイツ ・・・・  96・7
         日本 ・・・・  47・4
                  https://bit.ly/3KFPMPZ
─────────────────────────────
 これを見ると、デフレの日本だけが他の先進国の4分の1程度
しか公共事業をやっていないのがわかります。これでは、デフレ
から脱却できるわけがなく、日本の「後進国化」が一段と加速し
ています。
 現在の日本経済の惨状の主要な原因は1989年の消費税の創
設(3%)と、その後30年の間に3回の税率引き上げをやって
税率を10%にしたことにあります。
─────────────────────────────
      1989年 ・・  3%/竹下政権
      1997年 ・・  5%/橋本政権
      2014年 ・・  8%/安倍政権
      2019年 ・・ 10%/安倍政権
─────────────────────────────
 これに加えて、2008年にはリーマンショック、2011年
には、東日本大震災が起きています。消費税の税率の3回の引き
上げのうち、デフレ突入の引き金を引いたのは、1997年の橋
本政権のときの3%から5%の引き上げです。
 日本は、1990年初頭のバブル崩壊によって、資産価値が半
分になるという激しいショックに見舞われています。これによっ
て物価が下落し、デフレ突入の最悪のタイミングの1997年に
消費税を2%引き上げ、それがトリガーになって、そのままデフ
レに突入しています。
 皮肉なことに、消費税の増税は、いずれも自民党政権以外のと
きに決められ、法案化されています。橋本政権のときの5%への
引き上げは、社会党の村山政権のときに決められていますし、安
倍政権のときの2回の引き上げも、民主党の野田政権のときに決
められていたものを安倍政権が実行したものです。もちろん、い
ずれも自民党も賛同して決めたものですが・・・。
 財務省は、自民党政権以外の政権のとき、素人同然の政権幹部
の洗脳を行うのです。「消費増税をしないと、社会保障費が大変
なことになる」と脅し、決断させるのです。とくに民主党政権の
ときの菅内閣、野田内閣はそうです。菅内閣は、消費税増税を公
約にして参院選に大敗していますし、野田内閣にいたっては、当
時野党の自民党と組んで「社会保障と税の一体改革」を決定し、
法案化までしているのです。
 そもそも社会保障の財源を消費税によって行うのは、間違って
います。老齢化の進行によって社会保障は増加の一途をたどりま
すが、消費税でそれを賄うとなると、その都度増税が必要になる
からです。        ──[新しい資本主義/第049]

≪画像および関連情報≫
 ●デフレの主犯は97年の消費税5%増税
  ───────────────────────────
   安倍首相は「デフレ」からの脱却を目指し、@経済がプラ
  ス成長し、Aインフレ率が2%を超えれば、経済が成長して
  いるとして消費税を8%へ引き上げることを狙っている。し
  かしそもそも日本経済がデフレ経済に陥ったのは、1997
  年に消費税を3%から5%に引き上げてからなのである。下
  の図を見ると、GDPデフレーターの値は、97年に消費税
  が引き上げられた翌98年からマイナスに落ち込み、その後
  一貫してマイナス、つまり、デフレが続いていることが分か
  る。ではなぜ消費税が5%に引き上げられたらデフレに突入
  したのか。それは消費税5%増税を期に、国民の賃金が引き
  下げられたからである。下図のように、国民の現金給与総額
  (月平均)は消費税が5%に引き上げられた97年の翌98
  年から、ほぼ一貫して減少を続けていることが分かる。20
  12年には消費税5%増税後の最低を記録している。日本経
  済は97年の消費税5%増税の悪影響から、いまだに脱出で
  きていないのである。
  消費税が5%に引き上げられると物価が上昇する→国民は商
  品の購入を減らす→商品が売れないので企業は商品の価格を
  引き下げる→利益を確保するために賃金を引き下げる・・。
  こうして消費税5%増税で賃金が下がり、商品の価格が下が
  るデフレ経済に突入したのである。
                  https://bit.ly/36fGcVa
  ───────────────────────────
公共事業関係費.jpg
公共事業関係費
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(1) | 新しい資本主義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする