2022年01月01日

●「新年のご挨拶/2022.1.1」( 新年特集号)

 2021年のEJは、例年同様、1月4日の第5400号から
12月28日の第5643号までの242本を、営業日の毎日、
一日も欠かさず、お届けしました。その間、同じコンテンツをブ
ログにも投稿しています。
 今年は、すべてデジタルのテーマを書こうと最初から決めてい
て、同一テーマで最後まで貫いています。
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 1.デジタル社会論T ・・・・・・・・・  72回
 2.デジタル社会論U ・・・・・・・・・  73回
 3.デジタル社会論V ・・・・・・・・・  97回
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                      242回
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 少し昔の話になりますが、グーグルが、いわゆる検索エンジン
を無料公開したのは1998年のことです。ウェブサイト上でそ
れを発見し、ダウンロードしたことを今でも覚えています。それ
までにも検索エンジンはあったし、検索の機能は無料にしては高
性能であるし、こんなものを無料で配って大丈夫なのかなと思っ
たものです。
 やがてグーグルは「ウェブ検索といえばグーグル」といわれる
ようにこの分野でトップシェアを固めます。それは、検索という
ものに対し、ひとつの思想というか、アルゴリズムがあったから
です。そのアルゴリズムの名称は「ページランク」といい、グー
グルはこのアルゴリズムに基づいて、検索結果の表示の順位を決
定しているのです。既にグーグルはこのアルゴリズムの特許を取
得していますが、その特許はグーグルではなく、スタンフォード
大学に帰属しており、グーグルは大学から同特許の権利を独占的
にライセンスされています。
 グーグルの創業者は、ラリー・ページとセルゲイ・プリンの2
人ですが、「ページランク」の名称は、ウェブページのページと
ラリー・ページのページをかけたものといわれています。しかし
検索機能を無料で使わせていて、グーグルはどのようにして利益
を得ているのかというと、それは検索連動広告であり、グーグル
の本職は実は広告会社であるというのですが、最初のうちはそれ
が今ひとつピンとこなかったのも事実です。
 実は、グーグルとしては、最初から顧客のIDをひたすら大量
に収集することが目的だったのです。さらにそれに加えて、大量
のビッグデータを生み出す無料のサービス(Gメールなど)を提
供し、その収集を可能にしたのです。これは、他のいわゆるプラ
ットフォーム企業(GAFA)はすべて同じです。彼らは早くか
ら、ビックデータが価値を生み出すことを知っていたからです。
 それらの無料サービスが検索(グーグル)であり、ネット通販
(アマゾン)であり、SNS(フェイスブック)であり、それを
いつでもどこでも手軽に実行できるマシンの開発(アップル)で
あったのです。これについて、野村総合研究所社長の此本臣吾氏
は次のように述べています。
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 デジタル時代に何が価値を生むか。それに早く気づいた人たち
が、データを集める場、つまりプラットフォームにものすごい先
行投資をしたということ。大量のIDを集めてドミナントを目指
すわけです。
 中国のライドシェア滴滴出行に行った際、日本のある自動車メ
ーカーの方が、そんな先行投資してどう回収するのかと聞いたら
そういう発想ならプラットフォームビジネスはやめた方がいいと
言われた。顧客のIDを大量に集めるまでは我々は、投資回収な
んて考えたこともない。だから、最初は非上場を貫く。IDさえ
集まれば、多様なサービスを提供するエコシステムができあがり
投資回収は自然と進む、と。      ──日経産業新聞=編
               『XaaS(ザース)の衝撃/
すべてがサービス化する新ビジネスモデル』/日本経済新聞出版
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 いわゆるGAFAの各企業の創業年月を並べてみると、次のよ
うになります。
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    G──   グーグル ・・・・ 1998年
    A──   アマゾン ・・・・ 1993年
    F──フェイスブック ・・・・ 2004年
    A──   アップル ・・・・ 1976年
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 GAFAのうち、アップルだけが創業時期も古く、他の企業と
は異質の企業ですが、アイフォーンの開発により、仲間に入って
います。このアップルを除くGAFは、いずれも2000年前後
の創業であり、ほぼ20年ほどの短期間で、ここまで急成長を遂
げたことになります。
 これまで世界をコントロールしてきた企業は、資金力と権力で
したが、GAFAはビッグデータを資本として収益を生み出して
いる点が違います。GAFAは、いわゆる「データキャピタリズ
ム」、データ資本主義であるといえます。
 しかもこれらの企業が収集したビックデータは一度使えばなく
なってしまうものではなく、何回でも繰り返し使えるのです。野
口悠紀雄教授によると、それらのデータは「原材料」ではなく、
「資産」として捉えるべきものであるといっています。いい換え
ると、フローの情報ではなく、ストックとしての情報なのです。
そのため現在起きていることは「21世紀のゴールドラッシュ」
であるといえるのです。
 GAFAは今後どうなっていくのでしょうか。新年からEJは
新しいテーマを立てますが、どうしてもテクノロジーが中心にな
らざるを得ないと思います。新年のEJの配信は、1月5日から
になります。

≪画像および関連情報≫
 ●監視資本主義とはなにか/「スーパーシティ 」の内実
  を暴く/小笠原みどり氏
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   監視資本主義とは、企業が個人情報を収集することで、消
  費者の行動を個別に分析し、予測し、変容させ、利益を上げ
  る仕組みを指す。個人情報の収集は現在、私たちがインター
  ネットにアクセスする度にほとんど自動的に生じている。
   ズボフ教授は、特に米IT大手企業グーグルに焦点を当て
  る。例えばグーグルで何を検索したか、グーグルの管理する
  Gメールで誰に何回、どんなメッセージを送ったか、などの
  データから、私たちの興味や関心、人間関係がわかる。グー
  グルはこうして大量に抽出したデータを他の企業に売って、
  企業が私たち一人ひとりに狙いを定めたターゲット広告を打
  つことを可能にしてきた。だから個人情報によって収益を上
  げる仕組みは、IT企業だけでなく、他の小売業やサービス
  業を含む市場全体に及び、実際のところ、日本でも多くの企
  業が「21世紀の石油」とばかりに、個人情報集めに躍起に
  なっている。
   グーグルは便利だし、何を検索しているか、メールに何を
  書いているか見られても別に構わない、と感じる人もいるか
  もしれない。が、企業があなたの仕事や週末の行動パターン
  を探るだけでなく、秘密や弱みや悩みにつけ込み、不安を
  ってダイエット商品を買わせたり、興奮を誘ってゲーム中毒
  にさせたりしているとしたら、どうだろうか。
                  https://bit.ly/3pFKtZ7
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2022年元旦.jpg
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(5) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする