2021年12月06日

●「FBはなぜ社名変更を行ったのか」(第5627号)

 GAFAの一角に異変が生じています。フェイスブックが突如
社名を変更したのです。10月28日のことです。29日付の日
本経済新聞は、次のように伝えています。
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【シリコンバレー=奥平和行】米フェイスブックは28日、同日
付で社名を「Meta(メタ)」に変更したと発表した。2004年
に発足した同社はSNS(交流サイト)を軸に成長してグループ
全体の利用者が36億人に迫るが、企業体質や管理体制への批判
が高まっている。社名変更によってイメージを刷新し、仮想現実
(VR)などの成長領域に注力する。
              https://s.nikkei.com/3xM4Hmo
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 フェイスブックは、建前としては、事業の軸足をSNS(交流
サイト)から「メタバース」(仮想空間)に移すことに伴う社名
の変更であることを強調しています。しかし、これは本音ではな
いと考えます。
 私事ですが、私はフェイスブックは使っていません。使ってい
るのは、ブログとツイッターのみです。なぜ、フェイスブックを
使わないのかというと、フェイスブックという企業をあまり信用
していないからです。それに友達に向けてのメッセージもツイッ
ターのように、必ずしもすべての友達に届くとは限らないからで
す。メッセージの表示についても、フェイスブック自体がコント
ロールしているように思えるからです。サイトでの論評を探ると
社名変更の背景について、次のような指摘があります。
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 背景には同社が世界で36億人近い利用者を抱える一方、事業
基盤を他社に依存している弱みがある。直近では米アップルがス
マートフォンでプライバシー保護策を強めたことで、主力の広告
事業が直撃を受けた。ザッカーバーグ氏は28日もアップルのア
プリ配信サービスなどを念頭に「選択肢の乏しさと高い手数料が
技術革新を阻害している」と主張した。メタバースではアプリ配
信サービスの運営を他社に開放する方針などを示し、「誰にでも
開かれた仕組み」(ザッカーバーグ氏)にするという。大手IT
(情報技術)企業に対する寡占・独占批判を意識していることを
うかがわさせるが、フェイスブック自身が厳しい状況に立たされ
ている。           https://s.nikkei.com/3ofiOh7
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 上記の記事のなかに「フェイスブックは事業基盤を他社に依存
している弱みがある」という記述があります。これは、何を意味
しているのでしょうか。これには、アップルのOSである「iO
S14」と関係があります。ちなみに、私のアイフォーンは現在
は既に「i0S15」にバージョンアップされています。
 「iOS14」に何があったのでしょうか。
 アップルは、6月にiOS14からプライマリーポリシーを変
更し、アプリ側から個人情報を追跡しにくいようにすると発表し
ています。フェイブックは、ブログ上で同社の広告パートナー向
けにiOS14に対する警告を行っています。
 どういうことかというと、アップルの新しいポリシーでは、ユ
ーザーの許可がないと、端末などを識別するためのIDFA(広
告識別子)を収集できなくなり、個人情報の追跡をユーザー側で
簡単に拒否できるようになったのです。
 このアップルの仕様変更の影響は大きいのです。広告プラット
フォームである「オーディエンス・ネットワーク」を使用してい
る開発者と広告主は、iOS14でターゲッティング広告を配信
する機能は大幅に制限されることになります。フェイスブックは
このオーディエンス・ネットワークを利用しているので、打撃は
大きいわけです。オーディエンス・ネットワークからの広告が、
まったく表示されなくなる場合や、表示されても、関連性の低い
つまり広告効果の薄いものになる可能性があるとしています。
 フェイスブックが今回の決断に追い込まれたのにはもうひとつ
理由があります。それは、今年の5月に、フランシス・ホーゲン
氏なる元フェイスブック社員の退職があります。ホーゲン氏は、
グーグルなどで、アルゴリズム部門に携わった後、2019年に
フェイスブックに招聘された人物ですが、民主主義や虚偽情報に
関連するチームの責任者を務めたといいます。
 このフランシス・ホーゲン氏について、2021年10月29
日の朝日新聞デジタルは、次のように述べています。
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 米ワシントン・ポスト紙は27日、FBがより感情的な投稿を
流通させるため、絵文字の反応を重視するようにアルゴリズムを
設定していたと報じた。FBは2017年から「怒り」や、「笑
い」などの絵文字による反応に、通常の「いいね」の5倍のスコ
アをつけていたという。19年の内部資料によると、「怒り」の
反応が多い投稿は、誤情報や有害な内容を含む可能性が高いと指
摘があり、FBは社内の議論をへて昨年、「怒り」のスコアをゼ
ロに引き下げたという。
 これら一連の報道のきっかけとなったのが、元FB従業員のフ
ランシス・ホーゲン氏の内部告発だ。米紙ウォールストリート・
ジャーナル紙は先月、ホーゲン氏が持ち出した膨大な内部文書を
もとに調査報道を始め、他の欧米メディアも協力して一斉に報じ
始めた。ホーゲン氏が問題視した点の一つが、FB上で表示され
る投稿の順番を決めるアルゴリズムに関する問題だ。
 FBは18年にアルゴリズムの変更をしているが、ホーゲン氏
は「分断を生むコンテンツを増幅し、さらに集中させている」と
訴えた。ホーゲン氏はまた、FBがザッカーバーグ氏のもとで、
「人間でなく数字重視で、短期的な考えに動かされている」とし
て、構造的な変化が必要だとも指摘している。
                  https://bit.ly/3Eg59fb
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            ──[デジタル社会論V/081]

≪画像および関連情報≫
 ●フェイスブックの社名変更に勝算はあるか
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   世界で約28・5億人のユーザー数を誇るソーシャルネッ
  トワーキングサービス「Facebook(フェイスブック)」。そ
  の運営元であるメタ(旧フェイスブック)が、最近また話題
  になっている。
   まずは悪い話題だ。プロダクトマネジャーだった元社員が
  同社の上層部はユーザーの安全性よりも自社の利益を重視し
  ているとして、内部告発を行った。米議会の小委員会でも証
  言をして、大きなニュースに。元社員は大量の内部文書も暴
  露しており、欧米メディアが「フェイスブック文書」と呼ば
  れるその内容を次々と明らかにしている。
   さらに、英国でも別の元社員の内部告発者が英議会で証言
  するなど、批判が噴出している。2020年12月には、米
  連邦取引委員会(FTC)が反トラスト法(独占禁止法)違
  反の疑いで同社を提訴するなど、米国のみならず各国で調査
  対象になっており槍玉(やりだま)に挙げられている。同社
  への批判は、16年の米大統領選で国外からの政治的な情報
  工作が指摘されてからずっと続いている。こうした批判が高
  まっている一方で、良い話題になるのかどうかは分からない
  が、同社は社名を変更すると発表した。その名も「メタ」だ
  という。メタというのは「超える」という意味で、Facebook
  は、同社が運営する「Instagram」「WhatsApp」 などのサー
  ビスの一つという位置付けになる。https://bit.ly/3pjP0iF
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看板を変えたフェイスブック.jpg
看板を変えたフェイスブック
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論V | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする