2021年11月30日

●「デジタル上でものが持てるNFT」(第5623号)

 昨日に引き続きNFTの話です。現代は、リアルの世界とネッ
トの世界がパラレルワールドのように存在し、人々は2つの世界
を行ったり、戻ったりして生活しています。
 とくにそろそろ1年6ヵ月以上にわたるコロナ禍では、リアル
の世界での行動が大幅に制限された結果、ネットの世界に出入り
する頻度が強まっています。
 信頼できる調査によると、第1回緊急事態宣言時と比較し、メ
ディアごとの接触頻度が「増えた」との回答では「インターネッ
ト(スマートフォン、タブレット)」が45・5%、「インター
ネット(PC)」が31・5%と高い数字を記録しています。
 その一方において、テレビは29・9%と前回よりも8ポイン
トダウンし、電子書籍を含む書籍13・2%、電子版を含む新聞
は9・1%、雑誌は5・4%と、インターネットと比較すると大
きく後れをとっています。
 一方、テレビは29・9%と前回よりも9%ダウンし、「有料
動画配信サービス」(21・9%)は、2・5ポイント上昇し、
「テレビ」の利用者が「有料動画配信サービス」にシフトした可
能性もうかがえます。現代の若者は、一方的にブロードキャスト
されるものを見るのをよしとせず、自分が見たいもの、関心のあ
るものを見ようとする傾向が強いのです。
 リアルの世界では、人々は預貯金や証券をはじめ自宅や乗用車
などの財産を保有し、それぞれの所有権が法的に認められていま
す。しかし、ネットの世界では、「ものを所有する」ことはでき
なかったのです。
 しかし、預貯金や証券などは、いわゆる暗号資産で実現しつつ
ありますが、金融資産以外のものを所有することはできなかった
のです。その突破口を開いたのは、ここまでお話してきているN
FTです。「ネットの世界でものを所有する」ことがどういうこ
とか、コインチェックの大塚雄介執行役員とネットメディアの記
者の一問一答をお読みください。
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──大塚さんは「NFTとは何ですか?」と聞かれたら、何と答
 えていますか?
大塚:デジタル上で物を持てるようになった(所有できるように
 なった)ことが全てなのかなと思っています。NFTやブロッ
 クチェーン、それらしい言葉がいくつか出てきますが、「デジ
 タル上で自分が所有している」ということを証明する「技術」
 であるということが本質だと思っています。
──NFTは「技術」なんですか?
大塚:そうですね。
──デジタル上で「所有できるようになった」という状態がどう
 いう状態なのか、いまいち腑に落ちていません。
大塚:「所有している」というのは、動かしたいと思ったときに
  自由に送ることができることだと思います。誰かに送ったり
  売ったりできる。所有していなければ、そういうことはでき
  ませんよね?
──デジタル通貨のようなものはこれまでにもありました。そう
  いったものは、所有できていなかったということですか?
大塚:所有はできていましたよ。ただ、先程の話を技術的な言葉
 で言うと「所有できている=ブロックチェーン上のアドレスに
 あるか」という話なんです。
──ブロックチェーンによって所有できている状態と、これまで
 たとえば、ペイペイなどに入金している「僕が所有しているお
 金」では、意味合いが違うということでしょうか?
大塚:ペイペイなどは、ペイペイが運営しているサーバーの中で
 あなたが持っているIDに対して所有していることを担保して
 います。ですので、楽天の経済圏やペイペイの経済圏、それぞ
 れであなたのお金が別にあるという話になります。仮の話です
 が、ブロックチェーンを使えばペイペイの経済圏でも楽天の経
 済圏でも、そこで所有しているお金のバリューは一緒であるこ
 とを担保できるようになる。NFTに置き換えると、ブロック
 チェーンの技術によって、デジタル上の世界全体でプラットフ
 ォームを超えて、お金やデジタルのアイテム、資産の価値が担
 保できるようになった。「デジタル上で誰かに何かを送った」
 という事実をキャンセルできなくなったんです。
                  https://bit.ly/3CR8aBl
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 美術品には贋作が付きものですが、NFTのデジタル作品は絶
対に贋作は作れないようになっています。ブロックチェーン上で
誰が、いつ、いくらで売買したかが記録され、コンテンツの真贋
問題や不正コピーなどを防ぎ、コンテンツの希少性を保持できる
からです。
 情報によると、会員数1億人といわれる楽天が、2022年に
新たにNFTサービス「Rakuten NFT」をスターさせるといわ
れています。NFT事業部ゼネラルマネージャーの梅本悦郎氏は
「Rakuten NFT」について。次のように述べています。
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 現在のところNFT市場は、投機筋や、先端技術に詳しいコミ
ュニティーなど、主にブロックチェーン技術に対するリテラシー
の高い方々で構成され、そうした方たちによってコントロールさ
れているのが現状です。誰でも参入できると言われてはいるもの
の、一般の人にはまだハードルが高いのではないでしょうか
 「Rakuten NFT」の最大の特徴は、楽天IDを利用したクレ
ジットカード決済が可能だという点です。そこでは暗号資産など
ではなく、法定通貨を利用します。もちろん、決済時には「楽天
ポイント」が貯まり、使える。さらに70以上ある楽天のサービ
スから様々な事業と連動する予定です。    ──梅本悦郎氏
                  https://bit.ly/3DU2p72
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            ──[デジタル社会論V/077]

≪画像および関連情報≫
 ●ブロックチェーンから「トークンエコノミー」が
  生まれた秘密
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   ビットコインの登場以降、それを模倣してブロックチェー
  ン上にさまざまなトークンを発行するプロジェクト、いわゆ
  るビットコイン・コピーが立ち上がってきました。また、ビ
  ットコインなどすでに流通している通貨を基盤に、独自のサ
  ービス内ポイントに相当するようなトークンを発行するよう
  なアイデアも生まれました。
   これらはビットコインに代わるものとして登場してきた経
  緯から、代替という意味を表す「alt」と「coin」 を組み合
  わせて「Altcoin(アルトコイン)」と呼ばれています。
   また、ビットコインやアルトコインとは違い、現実世界で
  すでに価値を認められているものをブロックチェーン上の記
  録と紐づけようという試みも登場しました。これらは特定の
  資産を裏づけにしたトークンとして「アセットバックドトー
  クン」と呼ばれています。
   アセットバックドトークンは、米ドルと1対1で交換でき
  るテザーなどから始まり、金や土地などの現物資産を裏づけ
  助目とするものが考案されています。
   アセットバックドトークンは現実世界の資産と紐づけられ
  ていることから、暗号資産と比べて価値が安定しやすい傾向
  にあります。この安定性に着目したトークンをステーブルコ
  イン)」と呼ぶようになりました。ステーブルコインのアイ
  デアは後にCBDCと呼ばれる法定通貨のデジタル化へと発
  展していきます。        https://bit.ly/3nO87Sk
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コインチェック大塚雄介執行役員題.jpg
コインチェック大塚雄介執行役員題
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論V | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする