トの世界がパラレルワールドのように存在し、人々は2つの世界
を行ったり、戻ったりして生活しています。
とくにそろそろ1年6ヵ月以上にわたるコロナ禍では、リアル
の世界での行動が大幅に制限された結果、ネットの世界に出入り
する頻度が強まっています。
信頼できる調査によると、第1回緊急事態宣言時と比較し、メ
ディアごとの接触頻度が「増えた」との回答では「インターネッ
ト(スマートフォン、タブレット)」が45・5%、「インター
ネット(PC)」が31・5%と高い数字を記録しています。
その一方において、テレビは29・9%と前回よりも8ポイン
トダウンし、電子書籍を含む書籍13・2%、電子版を含む新聞
は9・1%、雑誌は5・4%と、インターネットと比較すると大
きく後れをとっています。
一方、テレビは29・9%と前回よりも9%ダウンし、「有料
動画配信サービス」(21・9%)は、2・5ポイント上昇し、
「テレビ」の利用者が「有料動画配信サービス」にシフトした可
能性もうかがえます。現代の若者は、一方的にブロードキャスト
されるものを見るのをよしとせず、自分が見たいもの、関心のあ
るものを見ようとする傾向が強いのです。
リアルの世界では、人々は預貯金や証券をはじめ自宅や乗用車
などの財産を保有し、それぞれの所有権が法的に認められていま
す。しかし、ネットの世界では、「ものを所有する」ことはでき
なかったのです。
しかし、預貯金や証券などは、いわゆる暗号資産で実現しつつ
ありますが、金融資産以外のものを所有することはできなかった
のです。その突破口を開いたのは、ここまでお話してきているN
FTです。「ネットの世界でものを所有する」ことがどういうこ
とか、コインチェックの大塚雄介執行役員とネットメディアの記
者の一問一答をお読みください。
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──大塚さんは「NFTとは何ですか?」と聞かれたら、何と答
えていますか?
大塚:デジタル上で物を持てるようになった(所有できるように
なった)ことが全てなのかなと思っています。NFTやブロッ
クチェーン、それらしい言葉がいくつか出てきますが、「デジ
タル上で自分が所有している」ということを証明する「技術」
であるということが本質だと思っています。
──NFTは「技術」なんですか?
大塚:そうですね。
──デジタル上で「所有できるようになった」という状態がどう
いう状態なのか、いまいち腑に落ちていません。
大塚:「所有している」というのは、動かしたいと思ったときに
自由に送ることができることだと思います。誰かに送ったり
売ったりできる。所有していなければ、そういうことはでき
ませんよね?
──デジタル通貨のようなものはこれまでにもありました。そう
いったものは、所有できていなかったということですか?
大塚:所有はできていましたよ。ただ、先程の話を技術的な言葉
で言うと「所有できている=ブロックチェーン上のアドレスに
あるか」という話なんです。
──ブロックチェーンによって所有できている状態と、これまで
たとえば、ペイペイなどに入金している「僕が所有しているお
金」では、意味合いが違うということでしょうか?
大塚:ペイペイなどは、ペイペイが運営しているサーバーの中で
あなたが持っているIDに対して所有していることを担保して
います。ですので、楽天の経済圏やペイペイの経済圏、それぞ
れであなたのお金が別にあるという話になります。仮の話です
が、ブロックチェーンを使えばペイペイの経済圏でも楽天の経
済圏でも、そこで所有しているお金のバリューは一緒であるこ
とを担保できるようになる。NFTに置き換えると、ブロック
チェーンの技術によって、デジタル上の世界全体でプラットフ
ォームを超えて、お金やデジタルのアイテム、資産の価値が担
保できるようになった。「デジタル上で誰かに何かを送った」
という事実をキャンセルできなくなったんです。
https://bit.ly/3CR8aBl
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美術品には贋作が付きものですが、NFTのデジタル作品は絶
対に贋作は作れないようになっています。ブロックチェーン上で
誰が、いつ、いくらで売買したかが記録され、コンテンツの真贋
問題や不正コピーなどを防ぎ、コンテンツの希少性を保持できる
からです。
情報によると、会員数1億人といわれる楽天が、2022年に
新たにNFTサービス「Rakuten NFT」をスターさせるといわ
れています。NFT事業部ゼネラルマネージャーの梅本悦郎氏は
「Rakuten NFT」について。次のように述べています。
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現在のところNFT市場は、投機筋や、先端技術に詳しいコミ
ュニティーなど、主にブロックチェーン技術に対するリテラシー
の高い方々で構成され、そうした方たちによってコントロールさ
れているのが現状です。誰でも参入できると言われてはいるもの
の、一般の人にはまだハードルが高いのではないでしょうか
「Rakuten NFT」の最大の特徴は、楽天IDを利用したクレ
ジットカード決済が可能だという点です。そこでは暗号資産など
ではなく、法定通貨を利用します。もちろん、決済時には「楽天
ポイント」が貯まり、使える。さらに70以上ある楽天のサービ
スから様々な事業と連動する予定です。 ──梅本悦郎氏
https://bit.ly/3DU2p72
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──[デジタル社会論V/077]
≪画像および関連情報≫
●ブロックチェーンから「トークンエコノミー」が
生まれた秘密
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ビットコインの登場以降、それを模倣してブロックチェー
ン上にさまざまなトークンを発行するプロジェクト、いわゆ
るビットコイン・コピーが立ち上がってきました。また、ビ
ットコインなどすでに流通している通貨を基盤に、独自のサ
ービス内ポイントに相当するようなトークンを発行するよう
なアイデアも生まれました。
これらはビットコインに代わるものとして登場してきた経
緯から、代替という意味を表す「alt」と「coin」 を組み合
わせて「Altcoin(アルトコイン)」と呼ばれています。
また、ビットコインやアルトコインとは違い、現実世界で
すでに価値を認められているものをブロックチェーン上の記
録と紐づけようという試みも登場しました。これらは特定の
資産を裏づけにしたトークンとして「アセットバックドトー
クン」と呼ばれています。
アセットバックドトークンは、米ドルと1対1で交換でき
るテザーなどから始まり、金や土地などの現物資産を裏づけ
助目とするものが考案されています。
アセットバックドトークンは現実世界の資産と紐づけられ
ていることから、暗号資産と比べて価値が安定しやすい傾向
にあります。この安定性に着目したトークンをステーブルコ
イン)」と呼ぶようになりました。ステーブルコインのアイ
デアは後にCBDCと呼ばれる法定通貨のデジタル化へと発
展していきます。 https://bit.ly/3nO87Sk
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コインチェック大塚雄介執行役員題