スなど、このところEJでは難しい話が続いています。何を説明
したいのか、訝っている人もいると思います。それは、現在、中
央集権型組織のない様々なサービスが続々と実現しつつあり、拡
大しているからです。
ひとつ例を上げます。「DeFi/ディーファイ」という言葉を聞
いたことがありませんか。日本語に訳すと「分散型金融」になり
ますが、現在このサービスは240種類を超えています。そのサ
ービスの利用者は、2021年5月現在、270万人、ディーフ
ァイに流入した資金の総額は2020年はじめには7億ドル程度
だったものが、2021年5月には約860億ドルに膨張してい
ます。こういうサービスを理解するには、イーサリアム、トーク
ン、ダップスなどの知識が必要になるからです。
このような考え方から、トークンについては、もう少し詳しく
考える必要があります。坪井大輔氏は、「トークンは社会をつく
る」として、トークンについて次のように説明しています。きわ
めて重要なメッセージであり、参考になります。
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ブロックチェーンはバーチャルな組織、もっといえば社会をつ
くる力を持っています。通貨と同様の機能を持つトークンをつく
ることができ、また、規制・統治の仕組みをともなったコミュニ
ティをつくることができるからです。
規制・統治に関して述べるなら、ブロックチェーンを構成する
技術の中で一番重要なのは、コンセンサスアルゴリズムになりま
す。早くいえば、多数決を成り立たせるアルゴリズムです。なぜ
多数決が必要か。あるボス的な人の一存で「これだ」と意思決定
させず、みんなで決めるのが、ブロックチェーンの本質だからで
す。トップがいなくて、みんなで決める社会。かといって誰もが
不合理な判断をしては社会が立ち行きませんから、そこには一定
の規制や統治が必要になります。そこで、規制や統治をプログラ
ムに組んで、それを自動的に動かす。それがスマートコントラク
トです。スマートコントラクトによって、物事がルールから逸脱
することなく、自動的に実行される社会になります。
経済(=エコノミー)は、社会(=コミュニティ)という価値
交換の手段がなければ社会は成り立ちません。ブロックチェーン
には価値を定量化し、交換する手段としてトークンがあります。
そして、実質的な法律・ルールとしてスマートコントラクトが機
能します。この中に人間が入れば、それはまさに社会です。トー
クンエコノミーの上に、トークンコミュニティがあるという構図
です。 ──坪井大輔著/翔泳社/SE刊
『WHY BLOCK CHAIN/なぜ、ブロックチェーンなのか』
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トークン(token) とは、直訳すると「しるし」「象徴」など
の意味になります。ある通貨システムのなかで、サービスや利用
シーンごとに最適化され、通貨としての役割を果たすものを「代
替通貨」といいます。具体的にいうと、スイカなどの電子マネー
Tポイントなどの電子ポイント、商品券や図書券などは、いずれ
も代替通貨です。
ここで一番わかりにくいのは、ビットコインやイーサリアムの
の通貨である「イーサ」「イオス」「ジリカ」などのいわゆる暗
号資産とトークンの関係です。ブロックチェーン上で扱われるト
ークンには、次の2つの類型があります。
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@ ファンジブル・トークン
Aノンファンジブル・トークン
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@は「ファンジブル・トークン」です。
円やドルなどのお金と同様に、共通の単位に資産価値を自由に
分割・代替することができるものです。ファンジブル・トークン
は、ビットコイン、イーサ、イオス、ジリカなどの基軸通貨と、
代替通貨の「セキュリティトークン」と「ユーティリティ・トー
クン」分類できます。
Aは「ノンファンジブル・トークン」です。
ノンファンジブルトークンは、骨董品やアート作品のように、
唯一固有の存在として発行される、分割や部分譲渡ができにくい
ものをいいます。ノンファンジブルにあたる存在をイメージする
には、著名な画家による絵画を思い浮かべるとわかり易いです。
仮に作者や構図が同じ絵画があったとしても、直筆であれば全く
同じものは存在しないのです。
ノンファンジブルトークンを活用としたゲームがありますが、
これについてあるサイトには次の説明があります。
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2018年後半以降、日本国内でもノンファンジブルトークン
を活用したゲームが人気を集めており、ゲームのアイテムやキャ
ラクターがそれぞれ異なる価値を持つトークンとして扱われてい
ます。例えば、ゲーム世界にひとつしか存在しない最強の武器は
ノンファンジブルトークン、ごくありふれた武器はファンジブル
トークンとして設計可能です。
また、ファンジブルトークンは日本の改正資金決済法上、仮想
通貨に分類される可能性が高いですが、ノンファンジブルトーク
ンは仮想通貨に該当しません。その法的位置づけは以前から議論
されていましたが、ゲーム内アイテムなどのノンファンジブルト
ークンは決済手段などの経済的機能を有していないと考えられる
ため、仮想通貨には該当しないとの見解が金融庁から示されてい
ます。 https://bit.ly/3DkMVcd
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この考え方に立つと、トークンは、暗号資産の上位概念になり
ます。これについては、添付ファイルの図がわかり易いと思いま
す。森川夢祐斗著『これからのブロックチェーンビジネス』/M
dN刊に出ていたものです。──[デジタル社会論V/070]
≪画像および関連情報≫
●仮想通貨(暗号通貨)とトークンの違い
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インターネット上にのみ流通する仮想通貨とトークンは同
じと考える人が多いですが、2つは別物です。仮想通貨なら
何となくわかる人でも、トークンとは何かあまり知らない人
もいるのではないでしょうか。仮想通貨やトークンの初心者
向けに各々の定義やその仕組みを解説し、仮想通貨とトーク
ンの違いを明らかにしていきます。
https://bit.ly/3FidYW2
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iトークンとは何か