2021年11月16日

●「ウェブアプリとの違いを考察する」(第5614号)

 分散型アプリケーション「ダップス/DApps」 の話をもう少し
続けます。ダップスとの違いを知るために、ウェブ・アプリケー
ションについて少し詳しく知る必要があります。
 インターネットを利用するアプリケーションといっても次の2
つがあります。
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      1.ネイティブ・アプリケーション
      2.  ウェブ・アプリケーション
─────────────────────────────
 「1」のネイティブ・アプリケーションとは何でしょうか。
 ネイティブ・アプリケーションとは、手元の端末(スマホやP
Cなど)にインストールして利用するアプリケーションのことで
す。プログラム自体をインストールしてしまうと、ネットにアク
セスする必要はありません。
 これに対して「2」のウェブアプリケーションは、ネットワー
ク経由で利用するアプリケーションのことです。アプリケーショ
ンのプログラムの本体はネットワーク上のウェブサーバー内にあ
るので、それをネットにアクセスして動作させるのです。
 ウェブアプリケーションには、次の2つがあって、プログラム
を作成するエンジニアも異なります。
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      @フロントエンド/クライアントサイド
      A バックエンド/  サーバーサイド
─────────────────────────────
 @のフロンドエンドとは何でしょうか。
 フロンドエンドとは、ウェブアプリケーションにアクセスした
ときに、ユーザー自身が見える部分、直接操作できる部分のこと
をいいます。クライアントサイドともいいます。
 それでは、Aのバックエンドとは何でしょうか。
 バックエンド(=サーバーサイド)は、ユーザーが見えない部
分・直接操作できない部分のことです。具体的にはフロントエン
ドでユーザーが入力した内容に基づき、そのデータを処理して結
果を返したり、入力された内容を保存したりするのがバックエン
ドの役割です。サーバーサイドともいいます。
 ウェブアプリケーションのエンジニアは、フロントエンドと、
バックエンドで異なります。使用するプログラミング言語が異な
るからです。
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       ◎フロンドエンドで使用する言語
        Html
        CSS
        JavaScript
       ◎ バックエンドで使用する言語
        PHP
        Ruby
        Python
        JavaScript
─────────────────────────────
 フロントエンドで使用する言語とは、要するに、ウェブサイト
を構築するために必要な言語です。Htmlはウェブページの構造を
決める言語ですし、CSS はウェブページのデザインを決める言語
です。JavaScript はウェブページに動きをつける言語です。
 バックエンドで使用する言語は4つあります。どちらかという
と、いずれも専門家向けの言語です。PHP は、ウェブサイトの開
発に適しており、Htmlに埋め込んで使用できます。多くのウェブ
サイトで使われています。
 Rubyというのは、日本のソフトウェア開発者のまつもとゆきひ
ろ氏が開発した言語です。ウェブアプリケーションによく使われ
ており、動的サイトを作るのに適しています。有名なクックパッ
ドは、このRuby で書かれています。
 Python は、最近AI、 ディープラーニング用に使われるよう
になったので、注目されている言語です。文法がとてもシンプル
であり、プログラミングの初心者でも取りつきやすい言語です。
 なお、JavaScript は、フロントエンドだけでなくバックエン
ドのプログラム言語としても利用されます。フロントエンド・バ
ックエンド同じ言語で開発できること、リアルタイムな処理がで
きること(例:メールが届いたときに更新しなくても受信が確認
できる)などがメリットです。
 以上がウェブアプリケーションのフロントエンドとバックエン
ドの話ですが、分散型アブケーションとどこが違うかというと、
次のようにいうことができます。
─────────────────────────────
 分散型アプリケーションと通常のウェブアプリケーションの主
な違いは、通常のアプリケーションのバックエンドとフロントエ
ンドの両方が単一のサーバ上でホストされていることです。対照
的に、ダップスのバックエンドは、世界中に散らばった同期化さ
れたサーバー(コンピュータノード)の分散ネットワーク上でホ
ストされています。         https://bit.ly/3wJt6bW
─────────────────────────────
 つまり、分散型アプリケーションのバックエンドは、世界中に
散らばった同期化されたサーバー(コンピュータノード)、すな
わち、P2Pネットワークを構成するコンピュータが担っている
のです。そのため、分散型アプリケーションというのです。
 しかし、それらのコンピュータの性能はそれぞれで異なってお
り、単一サーバーと違って、ダップスはどうしても処理速度が遅
くなります。これは、プルーフ・オブ・ワーク・コンセンサスア
ルゴリズムを使用したブロックチェーンでは、トランザクション
の決済と新しいブロックの採掘に時間がかかるためです。ちなみ
に、イーサリアムのブロックチェーンの平均のブロック時間は、
13・3秒です。     ──[デジタル社会論V/068]

≪画像および関連情報≫
 ●世界を「非中央集権化」するイーサリアムの完璧な理想は
  いつ証明できるのか?
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   2018年10月下旬のことだ。広大なプラハ会議センタ
  ーの外では、天気が変わりつつあるだけでなく、暗号通貨の
  世界が崩壊しかけていた(実際、2018年の大半がそうだ
  ったが)。ほんの1年前、ブロックチェーン・システムへの
  期待は天井知らずだった。だが、期待に基づいて算出したコ
  イン価格と同じくらいの速さで期待値が急落している。しか
  し、プラハ会議センターの中の雰囲気は大きく違っていた。
  イーサリアム財団主催の年一回の「親族会」的なイベントで
  ある「デブコン(Devcon:開発者会議)」が開かれ、非常な
  盛り上がりを見せていた。ましてや、否定的な意見など皆無
  だった。それどころか、いたるところでユニコーンをテーマ
  にした服を着た人たちがハグし合い、将来への期待に心躍ら
  せているのが感じられた(イーサリアム財団に寄付をすると
  「ユニコーン」と呼ばれるトークンを受け取れる)。外で起
  こっていることなど誰も気にしていない。ここで起こってい
  ることはすべて、魔法のインターネット通貨を超えたところ
  のものなのだ。
   イーサリアムは、すでにビットコインに次いでもっとも有
  名な暗号通貨であり、時価総額は第3位だ。だが、他の暗号
  通貨とは異なり、汎用のコンピューター・プラットホームに
  なることを目的としている。イーサリアムによって、まった
  く新しい形の社会組織を作れるとイーサリアム支持者たちは
  信じている。          https://bit.ly/3orRsmL
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ウェブアプリケーションのフロントエンドとバックエンド.jpg
ウェブアプリケーションのフロントエンドとバックエンド
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論V | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする