として機能するデジタル通貨のことを、仮想通貨、暗号資産、ト
ークンと呼称してきていますが、人によって呼称が異なります。
この場合、仮想通貨と暗号資産、それらとトークンとの間には
明確な違いがあり、問題は仮想通貨か暗号資産かです。
これについては、仮想通貨交換業などをめぐる諸問題について
制度的な対応を検討するための「仮想通貨交換業等に関する研究
会」から、2018年11月12日開催の会合で、次のように提
案され、暗号資産と呼ぶべきであると結論づけられています。
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「仮想通貨」の呼称を「暗号資産」に変更することも考えら
れる。それは、次の2つの理由による。
@国際的な場においては、暗号資産(Crypto Assets) の
表現が使われている。
A「仮想通貨」という呼称は、「法定通貨」であるとの誤
解を生じやすいこと。
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しかし、「仮想通貨」という名称を使ってはならないというこ
とではなく、柔軟に使っていいのですが、EJでは、暗号資産と
表現することにします。
そうすると、ブロックチェーン上で機能するのは、暗号資産と
トークンということになります。それは、次のように区別するこ
とができます。
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@ブロックチェーンを最初から立ち上げる ・・ 暗号資産
A既にあるブロックチェーンを利活用する ・・ トークン
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2021年9月現在、世界中に流通している暗号資産(トーク
ンを含む)の種類は1万種類を超えています。そのなかで、現在
日本で購入可能な代表的な14種を次に示します。
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1.ビットコイン(BTC)
2.イーサリアム(ETH)
3.リップル(XRP)
4.ビットコインキャッシュ(BCH)
5.ライントコイン(LTC)
6.イーサリアムクラシック(ETC)
7.モナコイン(MONA)
8.ネム(NEM)
9.ファクトム(FCT)
10.リスク(LSK)
11.ステラルーメン(XLM)
13.クアンタム(QTUM)
14.ベーシックアテンショントークン(BAT)
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なぜ、このように暗号資産が急増したのでしょうか。
それは、トークンが作りやすくなったからであるといえます。
多くの著名な暗号資産は、ブロックチェーンをプラットフォーム
化し、高度なIT技術を持たない企業や個人でも、ICOという
かたちで、トークンを容易に発行できるようになったのです。一
からブロックチェーンを構築するのは大変ですが、トークンの発
行までの手続きは簡略化され、だれでも容易にトークンを発行で
きるようになっています。
ICOに登録して企業独自のトークンを発行し、一般投資家か
らトークンの買い手を募り、プラットフォームが対応するトーク
ンで、資金調達が可能になります。投資家の視点から見ると、企
業が提供するサービスの価値が向上すれば、それに連動してトー
クンの価値も上がり、そこから、売却益を得られるようになりま
す。これは、暗号資産の仕組みを使ったクラウドファンデングで
あるといえます。しかも、トークンはブロックチェーン上で運営
されるので、世界中から大規模な資金調達も可能になります。
イーサリアムには、ブロックチェーン上でスマートコントラク
トを利用して実現できるアプリケーション「DApps」 (ダップス
/分散型アプリケーション)が数多く開発されています。アップ
ストアにおけるアイフォーンのアプリのようなものです。
イーサリアムでは、これらの開発者に対して、トークンを発行
し、手数料として支払っています。そのトークンの支払いにもス
マートコントラクトを利用しています。そのシステムをわかりや
すくいうなら、「自動販売機で株券を売る」ようなものです。
イーサリアムでは、参加者(開発者やユーザー)は、アプリを
選んでイーサリアムの暗号資産のイーサを投入すると、そのイー
サはそのままそのアプリの開発者に送られ、参加者にはトークン
が発行されます。これによって、「DApps」 の開発者は、イーサ
を換金して資金を得ることができます。ちなみに「DApps」 とは
次の略称です。
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◎DApps/分散型アプリケーション
Decentralized Applications
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「DApps」 は、日本語で「分散型アプリケーション」と呼ばれ
ています。ブロックチェーン上でソフトウェアを動作させる仕組
みである「スマートコントラクト」を応用したものであり、現在
では、オークションプラットフォームやゲームなどが開発されて
います。現在、数多くの分野で「DApps」 が開発され始めており
次世代型のソフトウェアとして注目を集めています。
現在、提供されている「DApps」 には、ユーザーが操作する画
面部分のみPCやスマホのアプリとして作成し、ユーザーから見
えない部分(バックエンド)にスマートコントラクトを利用する
ものも存在します。現在、「DApps」 には注目が集まりつつある
のです。 ──[デジタル社会論V/065]
≪画像および関連情報≫
●そもそもイーサリアムとは何なのか。生みの親ヴィタリック
・ブテリンが執着した3つの開発思想
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ヴィタリック・ブテリンは、まず、ビットコインと出会い
「分散型」という思想に魅了されたそうです。ビットコイン
が持つ「分散型台帳」や「ブロックチェーン」の技術を用い
れば、運営主体(発行主体)が存在せずとも、利用者同士でネ
ットワークを監視し合うことで、通貨の発行や管理を行うこ
とができます。
また、ブロックチェーンは「データ改ざんが極めて困難」
という特性も持っており、発行主体が存在せずとも、その安
全性をしっかりと担保しているのです。イーサリアムもビッ
トコイン同様、ブロックチェーン技術を採用してますが、そ
の上で「スマートコントラクト」という活気的な機能も持っ
ています。
スマートコントラクトは「あらゆる取引・契約を、ブロッ
クチェーン上で自動化する」という目的を持っています。ブ
ロックチェーンの「データ改ざんが困難」という特性を利用
し、日常的に行われている取引や契約の情報をブロックチェ
ーン上に記載し、契約を履行する。現在の「契約」は人の手
を介して行われる場合が多く、仮に普及すれば、企業側は人
件費削減などの大きなメリットを享受することでしょう。ま
さに、ビジネスにおける根底の仕組みを覆しうる、そんな技
術が「イーサリアム」であり「スマートコントラクト」なの
です。 https://bit.ly/3kJ1Jdt
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暗号資産/イーサリアム