のが登場したからです。ビットコインとイーサリアムは、どう違
うのでしょうか。それらとブロックチェーンとの関係はどうなっ
ているのでしょうか。このあたりのことを整理して、先に進もう
と考えています。
まず、ビットコインです。ビットコインは、暗号技術を使った
デジタル通貨です。本来の用途は「お金」であり、インターネッ
ト上で経済的価値の交換を行うためのものです。お金のデジタル
化の実現ともいえます。
それでは、ビットコインとブロックチェーンの関係はどうなっ
ているのでしょうか。ブロックチェーンに近い技術は、ビットコ
インの開発以前にありましたが、その技術がさらに磨きをかけら
れ、ビットコインに組み込まれています。一般的にいうと、ある
一定期間の取引をブロックとして、そのブロックの内容が後ろの
ブロックにより封印されていき、データの信頼性を構築していく
ものです。このビットコインからスピン・オフされたものが、イ
ーサリアムなのです。ところで「スピン・オフ」とは何でしょう
か。スピン・オフは次のような英語です。
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スピン・オフ/spin-off
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スピン・オフという言葉は、映画やドラマ作品に対して使われ
ることが多いのです。つまり、スピン・オフとは、元の作品から
派生した作品という意味で使われることが多いからです。
映画やドラマはヒットすると、主人公以外のキャラクターも人
気になることがあります。そのキャラクターを主人公に据えて、
別の視点から元の作品の世界観を保ちながら作られた作品がスピ
ンオフ作品です。
ずばりわかりやすくいうと、ドラマ『ドクターX/外科医・大
門未知子』と『ドクターY/外科医・加地秀樹』の関係です。こ
れは、間違いなく、『ドクターX』が大ヒットした結果、『ドク
ターY』がスピン・オフしたのです。『踊る大走査線』シリーズ
というドラマがありました。これを使ってスピン・オフを説明し
ているサイトがあるので、ご紹介することにします。
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日本の作品で例をあげてみると、『踊る大捜査線』シリーズ。
こちらは、テレビドラマから映画まで発展し、大ヒットしました
よね。『踊る大捜査線』の主人公といえば、織田裕二さんが演じ
る青島刑事。映画内では数多くの名台詞を残し、一世を風靡しま
した。また、主人公以外にも『踊る大捜査線』に登場するキャラ
クターは非常に魅力的に描かれています。
その中でも、ユースケ・サンタマリアさん演じる真下正義と柳
葉敏郎さん演じる室井慎次。この2人の視点から描かれた踊る大
捜査線の世界が、スピンオフ作品の『交渉人/真下正義』と『容
疑者/室井慎次』なのです。スピンオフの意味は、なんとなくご
理解頂けましたか? https://bit.ly/31hj1r5
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ビットコインからスピン・オフされたものがイーサリアムなの
です。考案者は、ヴィタリック・ブテリンという1994年、ロ
シア・モスクワに生まれた現在27歳の天才青年です。6歳のと
きに家族とともにカナダに移住した彼は、小学生のときにはすで
に数学や経済学の分野で驚くべき能力を発揮し、プログラミング
を学んでいたといいます。神童はやがて、ビットコインに出合う
のです。このヴィタリック・ブテリン氏をワイアードの記者がイ
ンタビューしているので、要約してお伝えします。
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──まずは、ビットコインとの出合いから教えてください。
VB:17歳のころに、父がビットコインについて教えてくれた
のが最初だった。「おもしろい仮想通貨があるぞ」と父は教え
てくれたんだけど、そのときはコンピューター上に書かれたた
だの数字の羅列にしか見えなかったんだ。その本質的な価値に
気づいていなかった。でもそれから1カ月後に、どこかでまた
ビットコインに関する話を聞いたんだ。そのときになって、よ
うやくビットコインについて調べてみたほうがよさそうだと思
うようになった。
──イーサリアムのアイデアはどうして思いついたのですか。
VB:ビットコインとの出合いから2年後、ぼくは大学に通って
いた。でもそのとき、週に30時間以上をビットコイン関連の
プロジェクトに費やしていることに気づいたんだ。ぼくは大学
を辞めることを決め、世界中のビットコインのプロジェクトを
見て回る旅に出ることにしたんだ。ビットコイン界でいま何が
起きていて、人々はどんなことをやっているのかを知るために
ね。その旅のなかで、次第に人々がブロックチェーンを、仮想
通貨以外の目的に使おうとしていることに気づいた。分散型の
送金システム、モノの売買、個人認証、クラウドファンディン
グ・・。そうしたさまざまな用途のアプリケーションにブロッ
クチェーンが活用されていることを知ったんだ。でも、そのと
きに人々が使っていたブロックチェーンのプラットフォームが
彼らをサポートするのに十分ではないとも思った。
──十分でないというのは?
VB:特定のひとつ、あるいはいくつかのアプリケーションのた
めだけに設計されたブロックチェーンをつくる代わりに、あら
ゆる目的のために使えるブロックチェーンのプラットフォーム
をつくればいいんじゃないかと気づいたんだ。少しのコードを
書いて、アップロードするだけで、個別のアプリケーションの
ためのブロックチェーンシステムが手に入れられるようなプラ
ットフォームだ。それがイーサリアムの核となるアイデアにつ
ながっていった。 https://bit.ly/2Y2rE7I
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─[デジタル社会論V/058]
≪画像および関連情報≫
●スマートコントラクトとは何か?その仕組みや事例、実装
への課題を解説
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「スマートコントラクト」とは、ブロックチェーンシステ
ム上の概念であり、あらかじめ設定されたルールに従って、
ブロックチェーン上のトランザクション(取引)、もしくは
ブロックチェーン外から取り込まれた情報をトリガーにして
実行されるプログラムを指す。
ここでの「スマート」とは「賢い」ではなく、「自動的に
実行される」という意味で用いられている。一定のルールに
よって自動的に実行されるプログラムという考え方自体は、
何ら新しいものではない。コンピューターサイエンティスト
ニック・サボ氏は1990年代にすでにスマートコントラク
トという考え方を世に示している。
彼はスマートコントラクトの一例として自動販売機を挙げ
た。購入者が欲しい商品を選択し、代金を投入するという、
設定されたルールが満たされると、自動販売機がその商品を
払い出すというプログラムが、自動で実行されるというもの
だ。自動販売機はきわめて初歩的な例だが、デジタルに制御
されるさまざまな情報や資産に関わるプログラム実行への適
用可能性が、30年近く前に示唆されていたのだ。スマート
コントラクトの成り立ちは、当然ながらブロックチェーンと
切り離せない。 https://bit.ly/3jQkpY0
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ヴィタリック・ブテリン氏