ビル・ゲイツ氏は、ビットコインについて、次のように発言して
います。
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資産クラスとしてビットコインは何も生み出さないので、その
価値が上がることを期待すべきではない。ビットコインへの投資
は生粋の“大馬鹿理論”greater fool theory of investment に
よるものだ。 ──ビル・ゲイツ氏 https://bit.ly/316tTIg
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“大馬鹿理論”とはよくもいったりです。彼は、値上がりをし
ているものを実態にかかわりなくひとまず買って、遅れて買おう
とする馬鹿な人に高く売る、これがあちこちで起きて、価格が上
がるという構図を意味しています。
世界的な投資家であるウォーレン・バフェット氏もビットコイ
ンについて、「殺鼠剤を2乗したようなもの」と意味不明の酷評
をし、注目を集めています。
しかし、坪井大輔氏は、投資家がビットコインに投資する根拠
はあるとして、次のように述べています。
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実は、投資家がビットコインに投資をする根拠といえるものが
一つだけあります。何かというと、発行数が限られているという
事実です。ビットコインというのは非常によく練られていて、イ
ンフレを防止するために発行する量が最初から決まっています。
際限なく増え続ければ一つ一つの価値は下がっていきますから、
これを防ごうとする設計になっています。ある時点で、最終的に
もうビットコインはつくられない状態まで行くのです。
このタイムリミットについてお話すると、2140年で発行予
定量100%になるように設計されています。ここを過ぎたらも
うビットコインは新しく発行されることはない。何かトラブルで
も起きない限り、2028年には98%、2032年に99%に
達するはずです。 ──坪井大輔著/翔泳社/SE刊
『WHY BLOCK CHAIN/なぜ、ブロックチェーンなのか』
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ビットコインに関してもうひとつ気になっていることがありま
す。それは中国が仮想通貨を全面禁止にしたことです。2021
年9月24日のロイターは、次のように報道しています。
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[24日 ロイター]─中国当局がついに暗号資産(仮想通貨)
に関連する全ての取引と採掘(マイニング)を禁止すると発表し
た。これによりビットコインをはじめとする主要仮想通貨の価格
は軒並み下落し、株式市場で仮想通貨やブロックチェーン技術の
関連銘柄にも売り圧力がかかっている。https://bit.ly/3pG8YWB
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中国政府が、仮想通貨(暗号通貨、暗号資産)産業の取り締ま
りを発表するたびに、仮想通貨関係者の間で出回るジョークがあ
ります。それは「中国はすでに18回も仮想通貨を禁止にしてい
る」というものです。
しかし、今度はどうやら本気のようです。とうとうあらゆる活
動が非合法化されています。そればかりか、この禁止ルールを実
行面でさらに徹底する方針も打ち出されているからです。中国人
民銀行は、仮想通貨取引の促進を違法行為とみなした上で、中国
国内からの海外プラットフォームを利用した取引など、違法行為
に関与した人物・団体は誰でも厳罰に処すと宣言しています。国
家発展改革委員会は、マイニング事業を段階的に消滅させるため
全国的な取り締まりを開始するとしています。
なぜ、中国を気にするかというと、マイナーには中国人の事業
家が圧倒的に多いからです。英ケンブリッジ大学の指標によると
ビットコインマイニングの年間電力消費量は約130テラワット
時と、アルゼンチン一国の電力消費量を上回るといわれます。
そこで、比較的安価で電力が利用できる中国に、マイナーが集
まることになったのです。とくに、内モンゴル自治区や新疆ウイ
グル自治区などの石炭が豊富な地域や、四川省や雲南省などの水
力発電所がある地域です。
英ケンブリッジ大によると、中国がビットコインを生み出す能
力は、2019年9月時点で世界全体の75・5%を占めていた
のです。その後比率は低下したが、2021年4月でもなお46
%と半分近くあったといいます。
今後中国人マイナーはどうなるのでしょうか。野村総合研究所
エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏は、NRIのコラム
に次のように書いています。
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中国国内での、暗号資産のマイニングが禁じられることは、マ
イナーにとってまさに寝耳に水だった。内モンゴル、青海省、四
川省などでマイニング業者の廃業が相次いでいるとされる。それ
でも、海外の大手マイナーらは、中国からコンピューターを他国
に移転させ、ビジネスを続けようとしている。これは、「マイニ
ング大移動」とも呼ばれている。主な移転先は、化石燃料が豊富
な隣国カザフスタンや米国、カナダなどとされる。
ただし、マイニングに用いられるコンピューターは揺れると損
傷しやすいため、慎重に輸送する必要がある。また、原油価格高
騰や人件費高騰によって輸送コストも高まっている。そこで新品
のコンピューター1台を海外に運び出す際には、約1万2000
ドル(約132万円)かかる場合もあるという。そうした高い移
転コストを支払っても、中国からコンピューターを移転して、マ
イニングを続ける業者が多いのである。https://bit.ly/30ZGTPL
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確かに、ビットコインには2100万ビットコインという上限
があり、インフレを防止する仕組みになっています。したがって
値上がりする余地は残されているのです。
─[デジタル社会論V/056]
≪画像および関連情報≫
●中国のマイナーが国を追い出されて向かう先
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暗号資産(仮想通貨)マイニングに対する中国の取り締ま
りによって中国のマイナーは移転先を世界中で探している。
北米がマイナーを呼び込んでいるという報道もあるが、今の
ところ、はっきりとした勝者はいないようだ。マイニング機
器のホスティング施設建築にかかる時間やエネルギー費用、
人件費、税制度、気候、政治やビジネス環境といった要素に
よって、マイナーが移転のルートを計画するのが困難になっ
ていると、業界関係者は語る。北米が主要移転先の1つであ
ることは確かだが、中央アジア、ラテンアメリカ、ヨーロッ
パが将来的には手強い競争相手となるか可能性もある。暗号
資産業界には、このような展開を喜ぶ人たちもいるだろう。
世界中にハッシュパワーがより分散し、中国のマイナーがビ
ットコインネットワークに過剰な影響力を持つことへの懸念
が和らぐ可能性もあるからだ。3月以降に中国の取り締まり
によってオフラインとなったハッシュレートの約25%は最
終的に北米に、25%はカザフスタンやモンゴル、ロシアの
一部などの中央アジアへと移転するだろうと、シアトルにあ
る暗号資産マイニング企業ルクソールのCEO、ニック・ハ
ンセン氏は予測している。ハッシュレートの15%はラテン
アメリカに、10%はEU圏の国々に、旧式のマイニング機
器の一部は中国から脱出できずに、残りはオンラインに復帰
しないだろうと、ハンセン氏はみている。
https://bit.ly/3nqvoZ6
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ビル・ゲイツ氏