2021年09月29日

●「PISAにおけるエストニア順位」(第5581号)

 昨日のEJで、エストニアの話をしましたが、この国、最近に
なって急に注目を集めてきているのです。「PISA」というも
のをご存知でしょうか。
 PISAとは、世界中の10代の若者たちの学習到達度を測る
テストのことで、PISAは次の略称です。OECD加盟国を中
心として、3年ごとに実施される15歳を対象とする国際的な学
習到達度テストのことです。
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  ◎PISA
   Programme for International Student Assessment
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 PISAのテストは、「読解力」「数学的リテラシー」「科学
的リテラシー」の3分野に分かれていて、実施年ごとに3つのな
かから、中心分野が設定され、その分野が、とくに重点的に調査
されることになっています。
 このPISAにおいて、日本の15歳が活躍しているのです。
しかし、「読解力」においては他国に少し劣っているようです。
2015年度と2019年度の2年度のPISAのベスト10を
次に示します。OECD加盟国37カ国の順位です。
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 ◎読解力
  ★2018度        ★2015年度
   1位:エストニア      1位:カナダ
   2位:カナダ        2位:フィンランド
   3位:フィンランド     3位:アイルランド
   4位:アイルランド     4位:エストニア
   5位:韓国         5位:韓国
   6位:ポーランド      6位:日本
   7位:スウェーデン     7位:ノルウェー
   8位:ニュージーランド   8位:ニュージーランド
   9位:アメリカ       9位:ドイツ
  10位:イギリス      10位:ポーランド
 ◎数学的リテラシー
  ★2018度        ★2015年度
   1位:日本         1位:日本
   2位:韓国         2位:韓国
   3位:エストニア      3位:スイス
   4位:オランダ       4位:エストニア
   5位:ポーランド      5位:カナダ
   6位:スイス        6位:オランダ
   7位:カナダ        7位:デンマーク
   8位:デンマーク      8位:フィンランド
   9位:スロベニア      9位:スロベニア
  10位:ベルギー      10位:ベルギー
 ◎科学的リテラシー
  ★2018度        ★2015年度
   1位:エストニア      1位:日本
   2位:日本         2位:エストニア
   3位:フィンランド     3位:フィンランド
   4位:韓国         4位:カナダ
   5位:カナダ        5位:韓国
   6位:ポーランド      6位:ニュージーランド
   7位:ニュージーランド   7位:ドイツ
   8位:スロベニア      8位:ポーランド
   9位:イギリス       9位:スロベニア
  10位:オランダ      10位:オランダ
     https://bit.ly/3o9Ic8u  https://bit.ly/3zBPbZS
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 エストニアに注目してください。「読解力」においては、エス
トニアは、2015年は第4位ですが、2018年には第1位に
なっています。「数学的リテラシー」では、2015年は4位で
したが、2018年は3位に昇格。「科学的リテラシー」につい
ては、2015年は2位でしたが、2018年はトップになって
います。これは凄いことです。
 日本はどうでしょうか。「読解力」においては、2015年は
第6位だったものの、2018年は、イギリスと同率ながら、ベ
スト10から脱落しています。日本は「読解力」には問題がある
ようです。
 「数学的リテラシー」においては日本は強いのです。2015
年も2018年も第1位を占めています。韓国もピタリと第2位
につけています。「科学的リテラシー」については、2015年
は日本は第1位でしたが、2018年には日本はエストニアに抜
かれて第2位になっています。それでも日本の15歳は(現在は
21歳〜18歳)はなかなか頑張っているといえます。
 ところで、日本は「読解力」の順位は低いですが、何か問題が
あるのでしょうか。
 実は2000年は8位だったのですが、2003年には第14
位に転落し、その後大幅な改善がみられないでいます。日本の順
位の低い原因は、自由記述問題への無回答率が高いこととされて
います。このような結果を受けて日本は、2005年12月から
読解力向上プログラムがはじまり、2015年には第6位にまで
順位は向上していますが、直近調査の2018年には、またして
もベスト10から脱落しています。単に、書かれたテキストを読
むだけではなく、理解・利用・塾考する能力の育成が目標とされ
ているのですが、うまくいっていないようです。
 このように、日本は「読解力」には問題はあるものの、「数学
的リテラシー」と「科学的リテラシー」では、上位を占めていま
す。しかし、IT技術の向上に関しては、エストニアに大きく遅
れているのです。これは、政府の問題です。
             ──[デジタル社会論V/035]

≪画像および関連情報≫
 ●エストニアが行っているプログラミング教育とは?
  /世界のプログラミング教育事情
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   日本では世界最高基準のIT社会の実現に向けて、202
  0年から小学校でプログラミング教育が必修化します。必修
  化により、情報に関する技術を理解し、活用する能力を養い
  論理的思考能力の育成を目的としています。
   必修化の背景として、プログラミング教育において、日本
  は欧米やアジア諸国から遅れをとっています。そこで、海外
  では、どういった国でどのようにプログラミング教育が行わ
  れているのでしょうか?
   今回は、プログラミング教育において、先進的な取り組み
  を行っており、高い実績を誇るエストニアのプログラミング
  教育事情をご紹介します。
   エストニアは、北欧に位置しており、バルト三国(エスト
  ニア、ラトビア、リトアニア)の一つです。首都はタリン、
  人口は日本の約1/100の132万人、面積は、日本の約
  1/8の45230平方メートルの日本より比較的小さな国
  です。エストニアは、ITの分野で世界から注目されており
  コミュニケーションツールで有名なスカイプもエストニアで
  創業された企業なのです。1991年にソ連から独立後、政
  府はITに資本を投ずることを決定し、これにエストニア国
  民も支持しました。独立当初、インターネットの利用環境の
  整備に注力し、IT強化へまい進しました。
                  https://bit.ly/3zG5wN5
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PISA.jpg
PISA
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(4) | デジタル社会論V | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする