2021年09月06日

●「私が運転免許証を返納しない理由」(第5566号)

 8月20日のことですが、運転免許証の更新手続の第1段階を
行いました。高齢者の場合、運転免許証の更新には、3段階の手
続きがあります。その第1段階の手続きである「認知機能検査」
をクリアしたというわけです。
 私は既に車の運転をやめており、車も持っていません。それな
ら、なぜ免許証の更新をするのか、なぜ、免許証を返納しないの
かと考える人がいるかもしれませんが、実は運転免許証は、持っ
ていると、いろいろなことに役立つのです。多少手間がかかって
も更新するメリットは2つあります。
 第1に、運転免許証は本人確認の証明にとても便利なものであ
るからです。
 本人確認なら、マイナンバーカードがあるじゃないかという人
もいます。しかし、私はマイナンバーカードは持っていませんし
こちらも作成手続きが面倒であるし、パスワードの更新なども必
要であるので、運転免許証の方がはるかに便利です。
 第2に、近い将来、高齢者にとって、便利な乗り物が登場する
可能性です。
 現在、電動キックボードが流行っていますが、これは高齢者に
は向きませんが、近い将来、もっと便利なものが出てくると思う
のです。それらには、電動キックボードがそうであるように、運
転免許証が必要になるものも多いはずです。
 なぜ、運転免許証の更新の話をしているのかというと、その手
続きの一部が3年前より、デジタル化されて便利になっているか
らです。高齢者への運転免許証の更新は、3つの段階からなって
います。
 第1段階は「認知機能検査」ですが、これは黄色いハガキが届
き、日時と場所(警察署)が指定されています。ここまでは、3
年前のときと同じです。ただ、認知機能検査ができる警察署は限
られているらしく、私の場合、同じ県内の比較的遠い警察署が指
定されていました。
 第2段階は「高齢者講習(運転実技検査を含む)」ですが、こ
れもハガキで通知されます。3年前までは日時と場所の指定はな
く、ハガキに印刷されている多くの自動車教習所のなかから自分
で選んで、講習の予約を取ります。これが大変なのです。なかな
か予約がとれないで、電話をかけまくったことを覚えています。
 そのため、本当は自宅の近くの自動車教習所を予約したいのだ
けれど、とれないので、遠くの自動車教習所で講習を受けるハメ
になってしまったのです。
 しかし、今回は青いハガキが来て、そこには高齢者講習の日時
と場所が指定されています。場所は自宅に近い自動車教習所が指
定されています。もちろん受講日に用事がある場合は、指定の教
習所に電話して受講日を変更することができます。
 これをデジタル対応というと、大袈裟ですが、運転免許証更新
者の住所も、自動車教習所の住所も公安委員会にはわかっている
のですから、それらをマッチングさせれば、住所の近い教習所を
自動的に指定できるはずです。
 今回、公安委員会はそういう措置をとってくれたのです。これ
は高齢者にとって本当にありがたいことです。デジタル庁ができ
ると、こういうことがもっと増えると思うし、そうでなければな
らないと思います。
 この高齢者講習が終わると、誕生日の前に、赤いハガキが来て
市内の警察署で、運転免許証の更新手続き(目の検査/写真撮影
など)の指示があり、それが終わると、即日新しい運転免許証が
受け取れるのです。
 これができるのですから、ワクチンの予約もスマホでシステム
にアクセスし、予約受付番号と接種希望日を指定すると、接種日
時と場所をAIが選択し、第1候補〜第3候補までを表示するシ
ステムをなぜ作れないのでしょうか。
 デジタル庁設立の大きな目的の一つは、マイナンバー制度の整
備です。マイナンバーカードは、デジタル社会における個人認証
制度になるからです。デジタル庁を担う平井卓也デジタル改革担
当相は、マイナンバーについて次のようにいっています。
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 マイナンバーカードは、デジタル社会の健全な発展のためには
不可欠にな要素です。デジタル化を進めれば進めるほど、本人確
認が何よりも重要な基盤になり、遠隔でも確実な本人確認ができ
るという意味で、現時点で確かなのはやはりマイナンバーカード
だと思っています。10月から始まるマイナンバーカードを健康
保険証として利用できる制度が分かりやすい例ですが、これから
民間との連携で色々なものが便利になるはずです。
              ──平井卓也デジタル改革担当相
            2021年9月3日付、日本経済新聞
─────────────────────────────
 デジタル庁の最初の仕事がマイナンバーカードの復活であるこ
とはわかりますが、マイナンバーカードは昨年の特別給付金の支
給のさい、うまく対応できなかったこともあり、あまりイメージ
がよくない。まさに肝心なときに役に立たなかったのです。これ
では、マイナンバーカードから人心が離れてしまいます。システ
ムが万全ではないのです。グループウェアで有名なサイボーズの
社長である青野慶久氏は、このマイナカードについて、かなり大
胆に次のように述べています。
─────────────────────────────
 (デジタル庁)が最初にすべきことは、マイナンバーカードを
やめることだ。毎年多額の予算をつぎ込んでも普及率は2割程度
にとどまる。うまくいってないのに、やめるという選択肢をもっ
ていないのはおかしい。           ──青野慶久氏
            ──日経コンピュータ編/日経BP刊
          『なぜデジタル政府は失敗し続けるのか』
─────────────────────────────
             ──[デジタル社会論V/020]

≪画像および関連情報≫
 ●マイナ・・で混乱気味!?マイナンバーカードが普及しない
  理由
  ───────────────────────────
   2021年3月4日、各新聞では「マイナンバーカード健
  康保険証としても利用可能に」との見出しが躍りました。一
  部の医療機関で検証が始まり、マイナンバーカードが健康保
  険証としても利用できるようになったからです。これまでな
  かなか普及しておらず、交付率が26%程度と言われていた
  マイナンバーカードですが、この一年、DXとともにじわじ
  わと注目されています。
   昨秋に「デジタル庁」発足が話題となるとともに、健康保
  険証や、今後は運転免許証とも一体化させ、スマートフォン
  へマイナンバーカードの機能を搭載していく方向性が矢継ぎ
  早に打ち出されました。これはDXの加速よりも「もっと早
  くからしておけばよかった」という社会的な後悔や反動があ
  ると思っています。
   もちろん、その背景には新型コロナウィルスの流行があり
  昨年の「特別定額給付金」の手続きにおける全国的な混乱で
  「マイナンバーと銀行口座が結びついてさえいればこんなこ
  とにはならなかったのではないか」という議論を目にした方
  もいらっしゃるかと思います。加えて、昨年夏の東京都知事
  選時は、効果的なワクチンや薬ができるには二年や三年かか
  るであろうという予測のもとに、だからこそ政治が防疫とし
  てできることを全てしなければならないとの観点で政策を打
  ち出す候補者が私をはじめとして多かったと思います。それ
  が半年という短い期間でmRNAワクチンが輸入されること
  になりました。         https://bit.ly/3n1iUZx
  ───────────────────────────
マイナンバーカード.jpg
マイナンバーカード
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論V | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする