2021年08月25日

●「五輪アプリはどのようなアプリか」(第5558号)

 「五輪アプリ/内閣官房調査」/職員、見積もり漏らす」につ
いて書くことにします。情報については、ネット上から入念に集
めたものです。2021年2月21日付の京都新聞が、はじめて
次の記事を掲載しています。
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 衆議院の集中審議で気になる質疑があった。「政府は東京五輪
・パラリンピックの観客向けにアプリを開発しているというが、
費用はいくらなのか」
 立憲民主党議員の質問に対する政府の答えは、「約73億円」
だった。内閣官房審議官の説明では、外国からの観客の健康管理
が目的で、訪日前から出国後まで持たせるという。国内向けの接
触確認アプリCOCOAの開発費は約3億9千万円だった。
 なぜこんなにかかるのか。菅義偉首相の答弁は「正確な数字は
知らなかった」。まるで人ごとだ。
           ──2021年2月21日付の京都新聞
                  https://bit.ly/3mop6KW
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 この「五輪アプリ」の発注元は内閣官房IT総合戦略室です。
一体どのようなアプリを作ろうとしていたのかについて、以下に
まとめることにします。
 五輪アプリの目的は、海外からの五輪観戦の健康管理です。入
国希望者は、ビザ申請時に同アプリをインストールしてもらい、
来日前の14日間、アプリ上で体温を記録します。ビザ申請時に
記入したパスポートナンバーや滞在中の移動計画、名前、住所、
国籍などもアプリにひも付けます。
 日本に入国後、日々の体温を入力してもらい、高熱が続いた場
合は、アプリ側で警告するとともに、関係機関への連絡とPCR
検査を促します。この検査で陽性反応が出た場合は、厚生労働省
の「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム」
(HER−SYS/ハーシス)にアプリの情報を引き継ぎます。
 ユーザーの位置情報はGPSを使ってスマホ内部にストックし
ておき、これはPCR検査が陽性になったときの調査に使われる
ことになっています。
 五輪アプリは、出入国管理や五輪の競技会場への入退場などに
も活用されます。具体的には、外務省のビザ発給システムと連携
し、アプリ内からビザの申請を受け付けるようにします。また、
空港の検疫や税関、入国管理で本人情報をQRコードを使って表
示する機能や、競技会場の入退場に活用する顔認証システムと連
携させ、現地スタッフがユーザーの健康確認を「○」「×」など
で分かりやすく表示する機能も付いています。
 ユーザーの多くが海外からの訪日外国人であると想定されるこ
とから、多言語サポートも充実させます。英語、中国語、韓国語
フランス語、スペイン語への対応を必須としています。五輪アプ
リの機能の概要は以上の通りです。
 五輪アプリの予算が73億円という巨額になったことについて
平井卓也デジタル改革担当相は、2月24日の会見において、次
のように答えています。なお、この時点では、海外からの観戦客
の受け入れ断念の決定は出されていないのです。
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 高いか安いかは簡単に申し上げられないが、必要な経費を合計
した金額だ。サポートセンターの構築などの多言語対応、GDP
R(EU一般データ保護規則)への対応に費用がかかるため、C
OCOAとは比較できない。 ──平井卓也デジタル改革担当相
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 それでは、どこが受注したのかです。一般競争入札を経て、内
閣官房IT総合戦略室は、2021年1月14日に契約を締結し
ています。受注社は次の通りです。この契約締結の仕方が後で問
題になります。
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NTTコミュニケーションズと数社で構成するコンソーシアム
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 しかし、3月20日になって、海外からの観戦客の受け入れが
断念されます。これについて、国民民主党の伊藤孝恵参院議員は
五輪アプリの今後の運用について、質問主意書を提出。これにつ
いて政府は、次のようにゼロ回答を出しています。開発をやめる
気はないようです。
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 現在、運用方針などの見直しを検討中であり、現時点でお答え
することは困難である。          ──政府の答弁書
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 この五輪アプリの入札は、競争入札といっていますが、応札し
たのは1社です。問題になったのは、入札の公示が12月28日
で、技術提案書の締め切りは1月8日だったことです。これにつ
いて、立件民主党の川内博史衆院議員が、3月31日の衆院内閣
委員会でそのことを正すと、平井卓也デジタル改革担当相は、次
のように答弁しています。
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 スケジュール的には、異例中の異例で、確かにタイトでありま
すが、関係法令に基づいたという意味では適法です。
              ──平井卓也デジタル改革担当相
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 五輪アプリの受注事業体は「NTTコミュニケーションズと数
社で構成するコンソーシアム」となっていますが、このなかにN
ECも入っているのです。これが、後で出てくる平井デジタル改
革担当相のNECへの恫喝発言につながってくるのです。
 なお、これらの元受の共同事業体から37社への再委託が行わ
れており、依然として、ここまで述べてきた通りの政府システム
構築手法がとられていることには注目すべきです。案の定この入
札方式が後で大いに問題になってくるのです。
             ──[デジタル社会論V/012]

≪画像および関連情報≫
 ●オリパラアプリ73億円!?
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   1月に発注してすでにほぼ開発は終了しているそうですが
  ということは2月から開発開始したとすると4ヶ月程度の期
  間で出来たことになり、月あたり約18億円、1日あたり約
  9000万円の計算になります。アプリ開発は大半が人件費
  のはずですが、仮に100人で開発したとしても単純計算で
  一人あたり日給90万円になります。
   最近はめっきり話題にもならないあのCOCOAは開発費
  4億円弱だったそうですが、それでもべらぼーに高いと思っ
  ていました。73億円という金額について政府担当者は高く
  ないと言っているようですが、私の個人的な予想ではオリン
  ピック開催間際にリリースしても「ぶっつけ本番」のような
  もので、運用後に発生した不具合を対策しているうちにオリ
  ンピックは終了しているような気がします。いったい国民の
  税金を何だと思っているのでしょうか。
                  https://bit.ly/3B3mPbW
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五輪アプリの全体図.jpg
五輪アプリの全体図
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論V | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする