によると、2020年6月に発表した「IMD世界競争力ランキ
ング/2020」でのベスト20は、次のようになっています。
ちなみに、IMDとは次の言葉の省略です。
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◎IMD
World Competitiveness Centre
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2020年の20位までを示します。残念ながら、日本はその
なかに入っておらず、34位です。
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@シンガポール J台湾
Aデンマーク Kアイルランド
Bスイス Lフィンランド
Cオランダ Mカタール
D香港 Nルクセンブルグ
Eスウェーデン Oオーストリア
Fノルウェー ★Pドイツ
★Gカナダ Qオーストラリア
Hアラブ首長国連邦/UAE ★R英国
★I米国 S中国
★G7 https://bit.ly/3m8lHQ5
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このランキングは、255の指標を使って算出しています。こ
れらの指標の64%は雇用統計や貿易統計といった公式定量デー
タを使っており、残りの34%は「マネジメント慣行」「ビジネ
ス規制」「ビジネス規制」「労働規制」「姿勢・価値観」などに
加えて、IMDが実施する「経営幹部意見調査」の結果も参考に
して順位を算出しています。
今回のIMDの調査で34位の日本について、今回のIMDの
ランキングを掲載しているサイトの株式会社ニューラルサステナ
ビリティ研究所は、次のようにコメントしています。
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日本の項目別ランキングは、政府効率とビジネス効率が大きく
足を引っ張っている。ビジネス効率ではマネジメント慣行が63
カ国中62位と下から2番目。生産性&効率も55位と下から9
番目でかなり深刻な状況。政府系金融61位と物価59位も極め
て低い。企業の競争力にとって非常に需要な「姿勢&価値感」で
も56位で非常に悪かった。日本の凋落が止まらない。
https://bit.ly/3m8lHQ5
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この調査は、ICTの進捗をランキングしたものではありませ
んが、それらは「政府効率」や「ビジネス効率」に深くかかわっ
ています。事実上デジタル技術をあらわす「ビジネス効率」では
日本は63の国と地域中実に62位です。ビリから2番目の低さ
です。あまりにも無残なので、日本では、このIMDの調査結果
をあまり報道していないようです。
日本政府は、2001年の「イー・ジャパン戦略」で、「5年
以内に日本を世界最先端のIT国家にする」と宣言しているので
す。5年以内といえば2006年ですが、20年経過した日本は
世界最先端どころか、ビリから2番目です。
これに関連する日本の統計データにも大きな問題があります。
とくに厚労省がひどいのです。年金のデータからはじまって、つ
い最近でもこの役所では不正集計が明らかになっています。野口
悠紀雄名誉教授は、政府の統計データの整備に関して、次のよう
に不満を述べています。
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日本は統計データがよく整備されている国だと言われてきた。
確かに、昔はそうだった。しかし、いまでは、大分怪しくなって
いる。2018年の12月から19年の1月にかけて、厚生労働
省が作成する毎月勤労統計の不正集計が問題となった。その結果
データの連続性が失われた。一部には修正がなされたのだが、長
期時系列データの1952〜2012年分は修正ができず、いま
だに空欄だ。
だから、日本では、過去の賃金・就業データを用いて分析する
ことができない。厚生労働省は基礎的データの提供義務を果たし
ていない状態なのだ。こんな状態が許されていいものだろうか?
毎月勤労統計問題はわずか2年少し前のことなのに、もう忘れら
れてしまって、いまや誰も問題にしない。(中略)
日本の生産性は、OECD諸国の中で最下位のグループだ。こ
の原因がどこにあるのか、はっきりわかった。日本ではデータが
利用できないのだ。「データの時代」に信じられないようなこと
だ。 ──野口悠紀雄著/日本経済新聞出版
『良いデジタル化/悪いデジタル化/
生産性を上げ、プライバシーを守る改革を』
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このようなデジタルをめぐる日本の惨状を明らかにしたのは、
今回のコロナ禍です。これに対応するため政府、とくに厚労省は
感染者情報管理システム「HER−SYS」、接触確認アプリの
「COCOA」、雇用調整助成金オンライン申請システム、医療
機関と行政の情報共有システム「G−MIS」など、次々と開発
しましたが、そのいずれも多くの問題が発生し、トラブルの原因
になっています。
もともと厚労省関連のシステムは多いのです。2017年度の
政府IT予算の省庁別シェアによると、厚労省は37・6%を占
め、他省庁を圧倒しています。そもそも日本の省庁の役人は、I
CTに弱いですが、とくに厚労省の役人は、ICTがほとんどわ
かっていないといわれています。それは、コロナのためのシステ
ムが次々とトラブルを起こしているのを見ればよくわかります。
──[デジタル社会論V/008]
≪画像および関連情報≫
●世界競争力、「日本34位」の衝撃と真因/高津 尚志氏
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2019年5月末、「日本の競争力は世界30位、199
7年以降で最低」という見出しが各種メディアで踊った。ニ
ュースに触れた日本人の多くが衝撃的に受け止め、ブログや
SNSを通じて様々なコメントが飛び出した。麻生太郎副総
理兼財務大臣が「日本の競争力が低いと考えたことはない」
と反論する場面も報道された。
ことき耳目を集めたのは、スイスに本拠を構える世界トッ
プクラスのビジネススクールIMDが発表した「IMD世界
競争力ランキング2019」である。IMDは研究部門「世
界競争力センター」が中心となって1989年から毎年、ラ
ンキングを発表している。
日本は開始当初の1989年から1992年まで1位を堅
持したが、その後、徐々に降下。ついに2019年、調査対
象63か国中30位となった。そして、2020年は34位
である。
しかし反応は、個人的な意見・感想・持論に終始した、あ
るいは感情的なものが目立っていた。「競争力とは何か」、
「なぜ低下したのか」「日本の課題と機会は何か」といった
冷静で事実に基づく議論は極めて少なかった。同ランキング
を発表するIMDの一員として、また、ひとりの日本人とし
て、この状況はもったいないと感じた。世界63か国・地域
を対象に、合理的手法を設計し、比較可能な指標を設定し、
信頼性の高いデータを集めることで算出されるこのランキン
グは、内容を丹念に精査すれば様々な示唆を与えてくれる。
それを活用せず、素通りするほどの余裕は、日本にない。
https://bit.ly/3AKruPW
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IMD/スイス