て、少し別な角度から考えます。
百貨店などのサイトで、顧客から住所を入力してもらうとき、
まず郵便番号を入力してもらい、その郵便番号に基づいて、住所
のほとんどが入力できるようになっています。これは、どのよう
な仕組みになっているのでしょうか。
郵便番号のデータはダウンロードできるので、自前のデータベ
ースを持つことは可能ですが、データを自前で抱え込むと、メン
テナンスもやらなければならないので、大ごとになります。意外
に思うかもしれませんが、郵便番号の更新の頻度はかなり高いの
です。毎月のように、日本のどこかで、住所の変更が行われてい
るらしいのです。
しかし、これは郵便番号データをダウンロードせずに、API
を使うことによって簡単に処理ができます。次のURLをコピー
し、グーグルの検索窓に貼り付け、「zipcode=」の後にご自宅の
郵便番号7桁を入力し、検索してみてください。
─────────────────────────────
https://zipcloud.ibsnet.co.jp/api/search?zipcode=
─────────────────────────────
ひとつ例を上げて説明します。といっても住所は重要な個人情
報であるので、公共機関の郵便番号を使うことにします。埼玉県
朝霞警察署の郵便番号と住所です。
─────────────────────────────
〒351−0015
朝霞市栄町5丁目9番5号
埼玉県朝霞警察署
─────────────────────────────
上記のURLをコピーし、グーグルの検察窓に入力し、=の後
に「3510015」(ハイフンは除く)の7桁の郵便番号を入
力し、検索すると、次の表示が出ます。
─────────────────────────────
"message": null,
"results": [
{
"address1": "埼玉県",
"address2": "朝霞市",
"address3": "幸町",
"kana1": "サイタマケン",
"kana2": "アサカシ",
"kana3": "サイワイチョウ",
"prefcode": "11",
"zipcode": "3510015"
}
],
"status": 200
}
─────────────────────────────
このやり取りにはAPIが使われています。上記のURLに、
「api」 という文字が入っていることを確認してください。AP
Iを使うと、ある企業や団体が保有しているシステムのデータを
郵便番号の例でわかるように、簡単に受け取ることができます。
APIの「I」はインターフェースという意味ですが、インタ
ーフェイスは、何かと何かをつなぐものという意味があります。
この「何か」は、ソフトウェア(アプリ)とプログラムをつなぐ
ものです。
APIの基本的なプロセスは、「リクエスト(要求)」と「レ
スポンス(応答)」で構成されます。リクエストが利用者で、レ
スポンスするのがAPIの提供者ということになります。リクエ
ストとレスポンスに関するルールに関しては、APIの提供者が
決めることになります。提供者が設計段階で考えて、実装し、利
用可能な状態にするものです。
APIは、もっと身近なところにあります。レストランなどの
飲食店のサイトを見ると、所在地のところに必ずといってよいほ
どグーグルマップが付いているのを見たことがあると思います。
それは、そのサイトが利用者として、グーグルが提供する「グー
グルマップAPI」を利用しているからできるのです。グーグル
は、ウェブサイトで、グーグルマップやストリートビューを表示
できるAPIを公開しています。
ネットショップで買い物をするとき、はじめての場合は、アカ
ウントを作成するなど、面倒を強いられます。しかし、多くの場
合、「アマゾンペイで支払う」のボタンが付いていることがあり
ます。一度でもアマゾンで買い物をしたことのある人は、アマゾ
ンに登録している配送先や支払い方法をそのまま使用できるため
それを選択すれば、アカウントの作成など面倒なことをしないで
済みます。それは、ユーザーの利便性を考慮してアマゾンが、そ
のショップに「アマゾンペイAPI」を提供しているからできる
ことです。
あなたがフェイスブックのユーザーの場合、あるウェブサイト
を見ようとすると、登録が必要になる場合があります。このよう
な場合、「フェイスブックログインAPI」を使えば、そのサイ
トでのユーザー登録の代わりに、保有しているフェイスブックの
アカウントでログインできます。
これに対して、金融機関がフィンテックとして実施しつつある
「オープンAPI」は、APIには違いないが、分けて考える必
要があります。そもそもオープンAPIとは、APIを公開して
システムの接続仕様を明らかにすることによって、提携企業先か
らのアクセスを認めることで、新たなサービスを生み出すための
概念であり、とくに金融分野で広がりを見せています。オープン
APIとDBS銀行のビジネスモデルについては、来週のEJで
解説します。 ──[デジタル社会論U/068]
≪画像および関連情報≫
●いまさら聞けないAPIエコノミー
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APIエコノミーとはなにか。それを理解してもらうには
実例を挙げたほうが早いだろう。おそらく、現在最も利用者
の多いAPIエコノミーの1つは、グーグル・マップスだろ
う。例えば、企業のコーポレートサイトを開いて、「企業情
報」の「アクセス」ページを開く。すると、会社の所在地周
辺の地図がグーグルマップスを使って表示される。何も驚く
ことはない。多くの会社がしていることだ。
このように、グーグルマップスの地図情報は、自分のウェ
ブページに自由に組み込むことができる。これができるのは
グーグルマップスがAPIを公開しているからだ。
APIとは、プログラムから他のプログラムの機能を呼び
出すための仕組みである。あまり意識することはないが、ウ
ェブページもHTML、CSS、ジャバスクリプトといった
言語で書かれたプログラムであり、グーグルマップスをペー
ジに埋め込む際には、ジャバスクリプト用のAPIを利用す
る。このほか、グーグルマップスのAPIは、アンドロイド
やiOSといったスマホアプリ向けのものや、ウェブサービ
ス向けのものなど、様々な種類が提供されている。
今ではマップ機能を備えたスマホアプリは珍しくないが、
アプリ開発者が自前でその機能を実装するのは非現実的であ
る。そのため、グーグルマップスやそれに類するサービスを
利用して組み込むのが一般的である。
https://bit.ly/3yeOLIV
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API