スフォーメーション)の話に戻すことにします。本テーマ「デジ
タル社会論/1」で少し触れたシンガポールの銀行「DBS」の
話です。DBSには次の2つの名前があります。
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◎本来の名前
The Development Bank of Singapore
◎現在の名前
Digital Bank 0f Singapore
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DBS銀行を世界的に有名にしたのは、2016年度と201
8年度の2回にわたって、金融専門雑誌『ユーロマネー』による
「ワールズ・ベスト・ディジタル・バンク」の称号を取得してい
ることです。
このようにいわれても、DBS銀行が、なぜベストバンクなの
かピンとこないと思います。持ち株会社であるDBSグループ・
ホールディングスの2018年3月期の数字を基にして、日本の
3メガバンクと比較してみることにします。
まず、「従業員数」「総資産」「純利益」の3つについて、比
較します。
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●従業員数
三菱UFJFG ・・・・ 11・7万人
三 井住友FG ・・・・ 7・3万人
みずほFG ・・・・ 6・0万人
DBS ・・・・ 2・6万人
●総資産
三菱UFJFG ・・・・ 306・9億円
三井住友FG ・・・・ 199・0億円
みずほFG ・・・・ 205・0億円
DBS ・・・・ 42・5億円
●純利益
三菱UFJFG ・・・・ 9896億円
三井住友FG ・・・・ 7343億円
みずほFG ・・・・ 5765億円
DBS ・・・・ 3693億円
──『週刊ダイヤモンド』/2018年12月8日号より
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「従業員数」については、DBSは、日本の3メガバンクに比
べると非常に少ない数です。従業員の内訳はわかりませんが、エ
ンジニア比率は非常に高いようです。DBS銀行のピユシュ・グ
プタCEOは次のように述べています。
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私たちは従来型の銀行というよりは、金融サービスを提供する
テクノロジー企業と自らを捉えるようになっている。銀行業務を
行うスタッフの2倍のエンジニアを抱えているという事実が、私
たちの会社の性質におけるシフトを物語っているだろう。
──ピユシュ・グプタCEO https://bit.ly/3epCE44
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DBSの「純利益」は、3693億円とみずほFGに迫る水準
であり、これは小ぶりの従業員と資産を効率よく使って稼いでい
ることをあらわしています。さらに、「ROE」と「時価総額」
について、比較すると、次のようになります。
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●ROE
DBS ・・・・ 9・7%
三井住友FG ・・・・ 8・8%
みずほFG ・・・・ 7・7%
三菱UFJFG ・・・・ 7・5%
●時価総額
三菱UFJFG ・・・・ 8・8兆円
三井住友FG ・・・・ 5・8兆円
DBS ・・・・ 4・8兆円
みずほFG ・・・・ 4・8兆円
──『週刊ダイヤモンド』/2018年12月8日号より
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これによると、驚くなかれ、ROEではDBSは、9・7%と
日本3メガバンクを押さえてトップなのです。しかも、時価総額
では、約4・8兆円とみずほFGに匹敵するのです。
ところで「ROE」とは何でしょうか。ROEは、次の言葉の
省略したものです。
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ROE=自己資本利益率(株主資本利益率)
Return on Equity
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ROEは、その企業が独自に持つ資本で、どれだけ効率的に儲
けを出しているかを示す指標です。例えば、総資産が100億円
で当期純利益が1億円というA社とB社があったとします。しか
し、A社は自己資本は10億円、B社は50億円だったとした場
合、A社の方が、少ない自己資本でB社と同等の利益を出してい
るとして評価が高くなります。つまり、自己資本を有効に活用で
きているとみなされるのです。
時価総額というのは、ある上場企業の株価に発行済株式数を掛
けたものであり、企業価値を評価する際の指標です。時価総額が
大きいということは、業績だけでなく、その企業の将来の成長期
待が大きいことを意味します。DBSは、その時価総額において
みずほFGと4・8兆円で並んでおり、将来の成長期待の大きい
銀行であるということができます。つまり、DBSは市場評価が
それだけ高いことを意味しているのです。
──[デジタル社会論U/062]
≪画像および関連情報≫
●なぜDBSは世界一の「デジタル銀行」に選ばれたのか?
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銀行のデジタル化が進むと顧客が銀行に来なくなるどころ
か、ビジネスの表層から銀行はなくなってしまいます。なぜ
なら銀行が行なう金融ビジネスはデータのやり取りで完結で
きてしまうからです。融資をする場合は銀行が持つ金銭残高
のデータから貸す分だけを借り手の口座に移動すればよく、
送金をする場合は、送金元から送金先の口座に送金額のデー
タを送付すればよくなります。そうなると銀行に行く必要が
出てくるのは実物の現金が必要な時だけになりますが、キャ
ッシュレスが進めばそれすら不要になってしまいます。
しかし、支店に直接足を運ぶ顧客よりデジタル化した環境
で取引を行なう顧客のほうが利益をもたらすことにDBSは
気づきました。また「デジタル」を実際の店舗とは異なる窓
口と捉えるのではなく、店舗の窓口そのものをデジタル化し
ていくという考え方でデジタル化を推進しました。
DBSではこれを「破壊」と表現しつつ、顧客が銀行の店
舗に来なくなりビジネスの表面からDBSが消えてしまうこ
とを恐れずに、自己破壊を推し進めることにしました。ちょ
うど日本のメガバンクがインターネット専業銀行に転換する
ようなイメージです。 https://bit.ly/3rgODWK
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DBS銀行/2