2021年07月15日

●「SMBCグループのDX化を知る」(第5532号)

 MUFG、みずほFGと並ぶメガバンクである三井住友フィナ
ンシャルグループ(SMBCグループ)のDXについてもご紹介
することにします。
 SMBCのデジタル化政策を年代別に整理すると、次のように
なります。
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     2015年:    決済代行ビジネス
     2017年:生体認証プラットフォーム
     2019年: SMBCクラウドサイン
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 2015年のことですが、GMOインターネット株式会社と三
井住友銀行は決済代行ビジネスをスタートさせています。GMO
はインターネット関連事業を行う東証1部上場企業です。
 三井住友銀行は、コロナ禍を機とした店舗対面、非対面の双方
シーンでキャッシュレスを利用したいというニーズへ一元的に対
応するため、SMBC/GMOペイメントという会社を設立し、
決済代行ビジネスをスタートさせています。
 具体的には、次世代決済プラットフォーム「stera」 とオール
インワン端末「ステラターミナル」を活用し、新たなサービスを
提供しようとしています。これを通じて、三井住友銀行の顧客基
盤、三井住友カードの決済ノウハウ・加盟店層、GMOの最新の
決済技術という各社の強みを最大限活用できる体制を構築して、
キャッシュレス化の促進に、スピード感をもって取り組んでいる
のです。
 2017年にNTTデータなどと共同で、生体認証サービスア
プリ「ポラリファイ」を提供をはじめています。ポラリファイは
顔や指、声などの生体情報を使った認証アプリであり、次の3つ
の特色があります。
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       @どんなスマホでも生体認証できる
       Aスマホ以外の本人確認シーン対応
       Bアップデートされるセキュリティ
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 続いて「SMBCクラウドサイン」です。
 新型コロナウイルス感染症を契機に、「脱ハンコ」の流れが急
速に加速しつつあります。電子契約が普及する兆しが見え始めた
2019年10月、「契約のデジタル化」を目指し、SMBCと
弁護士ドットコムの合弁会社として「SMBCクラウドサイン」
は設立されています。
 グループ外でこのサービスを導入している企業にイオン銀行が
あります。イオン銀行は2007年開業の銀行ですが、窓口で一
切現金を扱わず、紙の通帳も発行しないなどのコストを削減して
顧客に還元する「常識破りの銀行」としてスタートしています。
 イオン銀行取締役兼執行役員の黒田隆氏は、SMBCからの提
案に関して、次のように述べています。
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 われわれは「いつでもどこでもつながる銀行」の実現に向け、
新たな非対面サービスの提供など、DX推進に積極的に取り組ん
でいました。電子契約に関しては、住宅ローン領域では進んでい
たものの、法人契約では活用しておらず、範囲を広げていくこと
を考えていたところでした。
 一方、オンラインでの本人確認に関しては、収益に直接つなが
るものではないですが、お客様の利便性を考えれば標準装備とし
て必要だと捉えました。スマホアプリが不要でブラウザから利用
できるのはかなり便利ですね。20年10月に導入しましたが、
対象サービスの口座開設で7割のお客様が「ポラリファイ」を活
用されており、予想以上に浸透スピードが速いです。
         ──イオン銀行取締役兼執行役員の黒田隆氏
                  https://bit.ly/2VoCjaW
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 SMBCは、オープンイノベーションにも力を入れています。
 海外においては、シリコンバレーにスタッフを派遣し、先進的
なベンチャー企業やITベンダーとの提携を進めています。加え
て、革新的な技術やアイディアを持つスタートアップを大手企業
とともに支援するグローバル・ベンチャーキャピタル、プラグア
ンドプレイとの連携を通じて、優良なベンチャー企業との提携を
進めています。
 国内においては、ベンチャーとの連携を強化するため金融AP
Iを活用した「ミライハッカソン」などを開催しています。ハッ
カソン(hackathon) とは、ソフトウェア開発分野のプログラマ
やグラフィックデザイナー、ユーザインタフェース設計者、プロ
ジェクトマネージャらが集中的に作業をするソフトウェア関連プ
ロジェクトのイベントのことです。
 2017年9月には、SMBCグループは、オープンイノベー
ションの拠点として、「hoops link tokyo」を東京渋谷区に開設
しています。このオープンイノベーション拠点のコンセプトは次
の通りです。
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 オープンイノベーション拠点 hoops link tokyo。 ここはいつ
の時代も、新しいエネルギーにあふれる、渋谷の街にあり、スタ
ートアップ・自治体・大学・大企業など、異なる世界の人々が、
出会い、語らい、ともに挑戦するための交差点です。そして、S
MBCグループの知見・ネットワークを基盤に、挑戦するすべて
の人々とともに、社会的な価値を創出する場です。
 "hoops" は、「輪」を意味します。この「輪」の中で、多様な
「知」と「情熱」がつながり、この「輪」をくぐった先に、世界
を動かす「イノベーション」が生まれる。そんな未来を、一緒に
つくりましょう。          https://bit.ly/3wx9eqU
─────────────────────────────
             ──[デジタル社会論U/059]

≪画像および関連情報≫
 ●モダナイゼーションを軸に金融変革に挑むSMBCの
  DX戦略とは
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   三井住友銀行を中核としてさまざまな金融事業を展開する
  三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)。そ
  のコンサルティング・IT戦略を担うのが、日本総合研究所
  (以下、JRI)だ。SMBCグループの既存のIT環境を
  活かしたモダナイゼーションを実現し、これを軸にデジタル
  トランスフォーメーション(DX)を牽引する。その成功の
  秘訣は何か――。そしてその先に見据えているものとは。J
  RIでDXを牽引する井上宗武氏に、NECのデジタル戦略
  リーダーである吉崎敏文が話を聞いた。
  吉崎:金融業界はフィンテックに象徴されるように、DXの
  ニーズが非常に高まっています。SMBCグループではビジ
  ネス戦略の中で、DXをどのように位置付けていますか。
  井上氏:デジタル時代の金融サービスは安定性・信頼性を担
  保しつつ、顧客体験を高めるプラスアルファの価値提供が求
  められます。DXはそのための有力な手段と捉えています。
  三井住友銀行では、2017年4月にオープンした銀座支店
  を皮切りに、個人のお客様向け店舗を「次世代型店舗」に移
  行する店舗改革を推進しています。備え付けのタブレット端
  末を利用することで、窓口に並ぶことなく、ペーパーレス・
  印鑑レスで各種の手続きをスムーズに行うことができます。
  三井住友銀行とJRIが、共同で開発した「三井住友銀行ア
  プリ」と「三井住友カード Vpass アプリ」は、 キャッシュ
  レス生活に必要な銀行サービスやクレジットカードの機能を
  スマホアプリで利用できるサービス。ユーザ視点による徹底
  した操作性の改善により、主要機能をより少ないタップ数で
  利用できるデザインを実現し、2019年度のグッドデザイ
  ン賞を受賞しました。      https://bit.ly/36tXpHd
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SMBCグループ.jpg
SMBCグループ
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論U | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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