2021年07月12日

●「みずほFGの3フィンテック事業」(第5529号)

 みずほFGは、いわゆるフィンテック事業として、2016年
〜2018年にかけて、以下のように次々と手を打っています。
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      2016年:株式会社ジェイスコア
      2017年:株式会社ブルー・ラボ
      2018年:    LINE銀行
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 みずほFGは、オープンイノベーションのひとつとして、AI
による信用スコアの構築に取り組んでいます。そのために、20
16年11月、みずほ銀行はソフトバンクと株式会社ジェイスコ
アを立ち上げて、同銀行の連結子会社化しています。
 みずほ銀行の有する顧客データ分析やローン審査のノウハウと
ソフトバンクのAIを用いたデータ分析を融合し、顧客データを
スコア化して融資に活用しようとしているのです。このスコア・
レンディングを用いることで、従来では融資できなかった低与信
層を融資可能にしようとしています。
 具体的にいうと、融資を受けたい顧客がスマホで質問に答える
ことで、データを提供し、これを基にしてAIが信用スコアを算
出して、融資を決定するというものです。すべての手続きは、ス
マホで完結します。事業開始から半年で貸付残高が約35億円に
達し、滑り出しは好調のようです。
 2017年6月、ベンチャー投資の「ウイルグループ/WiL
グループ」と共同で、フィンテックを担う「ブルー・ラボ」を立
ち上げています。ここでは決済プラットフォームの構築やAI、
ビッグデータの活用によるソフトウェアの開発を行っています。
 出資比率は、ウィルグループが過半数で、傘下のみずほ銀行の
出資は14・9%に抑えています。その一方、代表取締役社長の
山田大介氏はみずほ銀行の常務執行役員で、取締役の阿部展久氏
もみずほFGのデジタルイノベーション部・部長であり、ブルー
・ラボは「みずほのデジタル部隊」といえます。
 阿部展久取締役は、ブルー・ラボについて、次のように述べて
います。
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 (ブルー・ラボは)みずほ銀の出資比率を抑え、通常の銀行の
意思決定の枠外で動けるように、工夫されています。いわば「出
島」です。みずほのデジタルイノベーション部のメンバーは、ブ
ルー・ラボを兼務していますが、約半分は中途採用されたテクノ
ロジー、ビジネス開発などの専門家です。出資企業等、外部から
多くのスペシャリストを受け入れており、トップもみずほでフィ
ンテックを専門に担当する常務です。社長のOKが出れば、みず
ほでの採用如何に拘らず、素早く意思決定できる仕組みです。
                  https://bit.ly/2UxfdP1
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 2018年11月、みずほFGは、LINEとタッグを組み、
LINE銀行を設立することを発表しています。LINE傘下の
中間持ち株会社であるLINEフィナンシャルと、みずほ銀行の
共同出資により、LINEバンク設立準備株式会社を設立してい
ます。出資比率は、LINEフィナンシャル51%、みずほ銀行
が49%です。
 当初の予定では、2020年中に設立される予定でしたが、コ
ロナ禍などの要因により、設立が2022年度中に延期されてい
ます。なお、LINEは、Zホールディングと経営統合しますが
LINEバンクは予定通りに設立されることになっています。
 それでは、LINEバンクは、どのような銀行になるのでしょ
うか。企業立ち上げに関与したLINEのスタッフの一人は、次
のように述べています。
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 銀行はまだまだ敷居が高く、面倒で複雑、特に若い世代にとっ
ては、身近な存在とは言えないのではないでしょうか。私個人と
しても、日本の銀行サービスは海外で使用していた銀行のサービ
スに比べ、ユーザーにとってはまだまだ不便な点が多く、顧客体
験において改善の余地があると感じています。
 そのため、LINEが目指す銀行は、今までの常識に囚われな
い「簡単・便利・わかりやすい」「若い世代にも楽しく・身近」
「ユーザーにとっておトク」、そして安心安全なスマホ銀行を目
指します。
 既存の銀行のシステムをネット上に反映させているネット銀行
とは異なり、ユーザーが本当に求める商品・サービスを一から作
り上げることができる点も強みだと思います。実現していくのは
簡単ではないですが、LINEの戦略事業である金融事業の中で
も、特に銀行事業はコアビジネスと位置付けられているため、会
社一丸となって事業立ち上げを行っています。
                  https://bit.ly/3xGxjg0
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 ヤフーとLINEの経営統合で生まれた新生Zホールディング
スの傘下には「ペイペイ銀行」があります。この銀行は、今年の
4月5日に、ジャパンネット銀行を改称する形で誕生した銀行で
す。このペイペイ銀行もスマホやインターネットでの利用に特化
した銀行です。そして、2022年には、LINE銀行がZHD
の傘下に入ることになっています。
 ペイペイ銀行も、LINE銀行も、スマホやインターネットに
特化した銀行であり、いずれ時期が来れば統合される可能性もあ
ります。なお、LINEペイは、2022年にはペイペイに統合
されることになっています。
 ところで、みずほFGは、ここ20年の間に3度の大きなシス
テム障害を起こしており、ことシステムに関しては、世間の信頼
を失墜させています。みずほFG、みずほ銀行に、いったい何が
あったのでしょうか。そのガバナンスはどうなっているのでしょ
うか。これについては、明日のEJで取り上げて検討することに
します。         ──[デジタル社会論U/057]

≪画像および関連情報≫
 ●みずほ/ブルー・ラボのDX人材育成道場なら、知識ゼロか
  らAIモデル開発?その秘密とは
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   2017年6月にみずほフィナンシャルグループが出資し
  次世代ビジネスモデルの創造のために設立されたのがブルー
  ・ラボです。カリフォルニアの青い空と新たなビジネスモデ
  ルを作るブルーオーシャンのブルーにちなんで、その社名が
  つけられた。ブルー・ラボの特徴は金融関連のみならずあら
  ゆる産業・業種を視野に入れていることと、開発実務を行い
  ながら人材育成を進めていること。ブルー・ラボで、人工知
  能(AI)を使ったシステムの開発を行っているのが、AI
  チームだ。このチームを率いる、みずほフィナンシャルグル
  ープ/ブルー・ラボのデジタルストラテジストの田村吉章氏
  に、DX人材育成の事例と実践方法を聞いた。
   最初に、ブルー・ラボが誕生した背景を説明しましょう。
  設立の要因となったのは、金融機関を取り巻く厳しい状況で
  す。人口の減少、少子高齢化の加速、継続するマイナス金利
  などにより、金融機関の収益低下傾向が続いています。そう
  した現状への危機感がDXの取り組みを加速させ、ブルー・
  ラボ誕生ににつながりました。
  みずほはDXを推進する部署としてデジタルイノベーション
  部という部署を設立しました。あくまでみずほ内部の組織で
  すから「銀行法」の縛りや種々の厳格な手続の下でしか活動
  できません。そこで、WiLグループがメインで出資し、ブ
  ルー・ラボという独立した会社を作りました。メンバーには
  みずほのプロパー社員が兼務しているほか、キャリア採用の
  社員、地方銀行やベンダーからのトレーニーがいます。
                  https://bit.ly/3k1en7K
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ブルー・ラボ/田村吉章氏.jpg
ブルー・ラボ/田村吉章氏


posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(2) | デジタル社会論U | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする