2021年06月22日

●「テンセントのビジネスモデルとは」(第5515号)

 テンセントの2021年1〜3月の決算の情報が入ってきてい
るので、お知らせしておきます。なかなか好調な決算です。
─────────────────────────────
 中国のネットサービス大手、騰訊控股(テンセント)は、5月
20日に2021年1〜3月期の決算を発表した。売上高は前年
同期比25%増の1353億300万元(約2兆2920億円)
で、純利益は同65%増の477億6700万元(約8082億
円)と、大幅な増収増益を達成した。投資収益や無形資産の償却
などを控除・調整した非国際会計基準の純利益は前年同期比22
%増の331億1800万元(約5610億円)だった。
                  https://bit.ly/3cTzMeV
─────────────────────────────
 この決算においてテンセントは重点的に投資していく分野を発
表していますが、重点投資先は、企業向けサービスやソフトウェ
ア、ゲーム、ショートビデオといった領域であるとしています。
 さて、テンセントのビジネスモデルについて考えてみます。
 田中道昭氏の本に出ていたテンセントのビジネスモデルをあら
わす図を添付ファイルにしてあるので、それを基にして同社のビ
ジネスモデルについて考えます。
 テンセントの動力源は、大きな歯車の「コミュニケーション&
ソーシャル」です。これは、具体的には、「ウィーチャット」と
「QQ/Qゾーン」です。これら2つがいかに凄い動力源になっ
ているかは、MAU数(月間アクティブユーザー数)を見ればわ
かります。
─────────────────────────────
    ウィーチャット ・・・ 10億8200万人
         QQ ・・・  6億9800万人
       Qゾーン ・・・  5億3100万人
─────────────────────────────
 この動力が回転して「オンラインゲーム」「メディア」「フィ
ンテック」「ユーティリティ」という4つの小さい歯車を動かし
ているのです。4つの歯車に関しては、その概要について以下に
簡単にメモします。
 「オンラインゲーム」は、様々なオンラインゲームのプラット
フォームを提供しています。「メディア」は、動画、ニュース、
音楽、書籍など、「フィンテック」はモバイルペイメント、「ユ
ーティリティ」としては、アプリストア、モバイルセキュリティ
そしてモバイルブラウザなどです。
 アリババとテンセントは、そのメインの業務が異なります。ア
リババは何といってもEC事業ですし、テンセントは、コミュニ
ケーション&ソーシャルです。まったく業態が異なるのですが、
ともに決済手段を持っています。アリババは「アリペイ」ですし
テンセントは「ウィーチャットペイ」です。ウィーチャットペイ
について、田中道昭氏はアリペイト比較しながら、次のように述
べています。
─────────────────────────────
 ウィーチャットペイの決済の機能や仕組みは、基本的にはアリ
ペイと変わりません。ECサイトやリアル店舗、公共料金、交通
手段をはじめ、あらゆるサービスシーンでの決済にウイーチャッ
トペイを利用することができます。アリペイと同じくエスクロー
サービスもついています。TモールなどアリババのECサイトで
は利用することができないなど、競争上の制約はあるにせよ、基
本的にはアリペイを利用できるシーンでは、ウィーチャットペイ
も利用できます。
 ウイーチャットペイ決済もアリペイと同じくモバイルでのQR
コード決済利用がほとんどです。1つは、ユーザー自身のスマホ
に表示されるQRコードを店舗の読み取り機で読み込む方式。も
う1つは、店舗がレジで表示するQRコードをユーザー自身のス
マホでスキャンする方式です。ウイーチャットのウオレットは銀
行口座に紐づいているので、両口座間での現金のやり取りも可能
です。ユーザーと事業者に対する利便性やコストについてはアリ
ペイと競い合っています。          ──田中道昭著
         『アマゾン銀行が誕生する日/2025年の
              次世代金融シナリオ』/日経BP
─────────────────────────────
 上記のように、アリペイとウィーチャットの機能は、基本的に
は同じですが、違いもあると田中道昭氏は指摘しています。それ
は、アリペイは金融サービスのアプリとして独立しているのに対
し、ウィーチャットペイは、スマホにインストールされたコミュ
ニケーションアプリ「ウィーチャット」のなかの「ウォレット」
の機能の一つとしてサービスが提供されていることです。このコ
ミュニケーションアプリは、友人や知人とメッセージをやり取り
するたびに開くことになるので、その利用頻度やユーザーとの親
密度は、アリペイよりも高くなると考えられます。
 ひとつ触れておきたいことがあります。それはウィーチャット
は「ウェイシン」とも呼ばれることです。田中氏の本でも「ウィ
ーチャット/ウェイシン」と記述されている部分があります。ど
う違うのでしょうか、
 あるサイトで「ウィーチャット」と「ウェイシン」は別物と解
説している記事を見つけました。このサイトによると、直接テン
セントに問い合わせて確認し、次の違いがあることを確認したそ
うです。「ウィーチャット=微信」ではなく、「ウェイシン=微
信」だそうです。興味があればサイトにアクセスしてください。
─────────────────────────────
          Weixin =  微信
          Weixin ≠ Wechat
          Wechat ≠ Weixin
                  https://bit.ly/3gKiEJx
─────────────────────────────
             ──[デジタル社会論U/043]

≪画像および関連情報≫
 ●政府も身構える「テンセント・リスク」 楽天への出資案が
  飛び火
  ───────────────────────────
   2021年3月12日に発表された楽天と日本郵政、テン
  セントの資本業務提携に動きがあった。3月12日に25日
  楽天は中国ネット大手のテンセント子会社からの657億円
  の出資について、急遽これまでの発表を一部変更すると発表
  した。「外国為替及び外国貿易法に基づく手続の関係により
  割当予定先とは異なる日に行われる可能性がある」との内容
  だ。テンセントからの払込日は29日を予定していたが、延
  びる可能性がある。これにはどういう意味が込められている
  のか。本連載でこれまで「楽天への日本郵政・テンセントの
  出資に浮かび上がる深刻な懸念」、「楽天・日本郵政の提携
  を揺さぶる『テンセント・リスク』の怖さ」と2回にわたり
  指摘した通り、楽天の「テンセント・リスク」は日本政府に
  まで飛び火しつつある。
  ──テンセントからの出資、振込日の直前になって、急遽そ
  れが延びる可能性を楽天が発表しました。異例の展開ですが
  どういう背景でしょうか。
  細川昌彦・明星大学経営学部教授:楽天が当初予定していな
  かった想定外の事態が起こったということだ。外為法につい
  て、初めて楽天が言及した。当初からわかっていれば、本来
  出資を受ける発表の時点で、この提携事業でのリスク事項と
  して開示する義務がある。    https://bit.ly/2Uf62m9
  ───────────────────────────
テンセントのビジネスモデル.jpg
テンセントのビジネスモデル
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(1) | デジタル社会論U | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする