2021年06月09日

●「ジェフ・ペゾス氏3つのこだわり」(第5506号)

 昨日のEJで述べたジェフ・ベゾス氏の「3つのこだわり」を
再現します。「1」の説明は終わっています。
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     1.地球上で、最も顧客第1主義の会社
   → 2.低価格×豊富な品揃え×迅速な配達
   → 3.大胆なるビジョン×高速のPDCA
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 第2は、「低価格×豊富な品揃え×迅速な配達」というこだわ
りです。
 これに関しては、ジェフ・ベゾス氏が創業前に知人にレストラ
ンで、ナプキンに書いたというビジネスモデルに深く関係があり
ます。このビジネスモデルは、5月14日のEJ第5488号で
既に紹介していますが、もう一度取り上げて検討します。英語版
を添付ファイルにしてあります。
 アマゾンを成長(グロース)させるには、「セレクション」、
すなわち、「豊富な品揃え」が必要です。なぜなら、品揃えが豊
富だと、買い物の選択肢が増えるからです。つまり、多くの商品
のなかから、自分の気に入ったものを選べるので、「お客様の満
足度(カスタマーエクスペリエンス)」が上がるからです。顧客
満足度が上がると、「トラフィック」、すなわち、アマゾンに多
くの人が集まってきます。
 そうすると、「アマゾンでものを売りたい」と希望する「セラ
ーズ(出品者)」が多く集まってきて、さらにセレクション、品
揃えが豊富になるという好循環が生まれます。
 このような好循環が続くと、アマゾンは売上高を伸ばして成長
し、低価格でサービスを提供することができるようになります。
物流は規模の経済が働くので、低コストで商品が提供できる体制
(ローコストストラクチャー)ができるようになり、他社を圧倒
して成長を続けることができます。
 添付ファイルのナプキンの図は『アマゾン銀行が誕生する日』
の著者、田中道昭氏の本に出ていたものですが、田中氏は、そこ
に「貸出」「預金」「決済」を加えています。既にアマゾンは、
疑似的銀行機能を有しているからです。
 アマゾンに出品している業者(セラーズ)に対して資金を貸し
出す「アマゾンレンディング」。これは、アマゾンがその企業の
直近の売り上げの推移や顧客からの評価などの生きた情報が把握
できるので、「貸出」が可能になります。加えて、これによって
出品業者の品揃えがさらに豊富になります。
 「決済」については、既に述べているようにアマゾンペイやア
マゾンゴー、そして音声決済であるアマゾンアレクサなどが揃っ
ており、出品者の負担を減らし、カスタマーエクスペリエンスの
向上に寄与しています。
 第3は、「大胆なるビジョン×高速のPDCA」というこだわ
りです。
 ジェフ・ペゾス氏は、「地球上で最も顧客第1主義の会社」と
いう途方もなく大胆で、大きなビジョンを打ち出して、そこから
の逆算で、いま何をすべきかを考えて実行し、超高速でPDCA
を回すのです。PDCAはP(プラン)、D(ドウ)、C(チェ
ック)、A(アクション)を意味しています。
 この手法は、ピーター・ディアマンデスという人物が提唱して
いるもので、ジェフ・ベゾス氏だけでなく、GAFAの経営者、
日本を含むメガテック企業の経営者などももその主張に関心を示
しているといわれます。関連する書籍としては、次の2冊がある
ので、ご紹介しておきます。
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 ◎ピーター・ディアマンデス/スティーブン・コトラー著
     『2030年:すべてが加速する世界に備えよ』
           ニュースピックスパブリッシング刊
 ◎ピーター・ディアマンデス/スティーブン・コトラー著
               『BOLD突き抜ける力』
                     日経BP社刊
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 ピーター・ディアマンデス氏というのは何者でしょうか。
 ディアマンデス氏は寿命関連のスタートアップ企業運営(なん
と22個目のスタートアップとのこと)をしながら、シンギュラ
リティ大学などの団体のリードも兼務しています。ディアマンデ
ス氏は現在Xプライズ財団のCEOであり、シンギュラリティ大
学の創立者です。
 田中道昭氏は、ピーター・ディアマンデスが説く主張の真髄に
について、次のように述べています。
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 ペゾス氏を含め、多くの企業家に影響を与えている彼の教えは
自著『BOLD突き抜ける力』にまとめられています。その真髄
が「大胆に発想、しかし小さく始めて超高速PDCAを回し、軌
道修正を図る」というものです。それがエクスポネンシャルな成
長を手に入れる道なのだと、ディアマンデスは言います。
                      ──田中道昭著
         『アマゾン銀行が誕生する日/2025年の
              次世代金融シナリオ』/日経BP
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 ピーター・ディアマンデス氏の教えについては、明日のEJで
説明しますが、「エクスポネンシャルな成長」というのは、リニ
ア(線形関数的)が、1、2、3、4と増えていくのに対し、エ
クスポネンシャルは、1、2、4、8と倍増していくことを示す
言葉であり、「指数関数的」と表現されます。
 これは現在、米テクノロジー業界において、最も重要な概念に
なっています。なかでも、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏は
ディアマンデス氏の教えを経営の基本に据えており、アマゾンに
ついて知るには、上記の本をしっかりと読む必要があります。
             ──[デジタル社会論U/034]

≪画像および関連情報≫
 ●ジェフ・ベゾスが成功のために意識している
  たった1つのこと
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   ジェフ・ベゾスは、世界でも指折りの億万長者であり、目
  標を達成するためには情け容赦のない負けず嫌いですが、独
  善的なやり方はしません。
   ベゾスは、夢を実現するために1つの方法に固執しないよ
  うに強く釘を刺しています。アマゾンの創業者でありCEO
  というのは、間違いなく多くの事柄に恵まれていると思いま
  すが、チャレンジやチャンスに対する、ベゾスの柔軟かつ整
  然としたアプローチが成功をもたらしているのです。
   「Resume.io」 のインフォグラフィックには、ベゾスや他
  の経営者や起業家の鋭いアドバイスが集められ、役立つ方法
  やインスピレーションが得られます。ベゾスのアドバイスは
  こちらです。
   「柔軟でなければ、壁にぶつかって頭が粉々になり、問題
  を解決するための別の方法がわからなくなります。柔軟なア
  プローチというのは、環境に合わせて反応を変えたり、途中
  で獲得した新しい知識やスキルに合わせて、戦略を変更する
  という意味です。上手くいくこと・いかないことを検討し、
  進んでやり方を変え、違うアプローチでもう一度トライする
  ということです。長期的な目標を犠牲にしなければならない
  という意味ではありません。むしろ、まったく逆です。
                  https://bit.ly/3wZH4W4
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アマゾンのビジネスモデル.jpg
アマゾンのビジネスモデル
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(1) | デジタル社会論U | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする