2021年06月07日

●「2つの潮流を生むキャッシュレス」(第5504号)

 私は、アマゾンは必ず金融業に進出するとみています。私自身
が金融機関(生命保険会社)に勤めていたので、もし、アマゾン
が金融機関に進出してきたら、現行の金融機関が劇的に変化しな
い限り、対抗不能です。そういう意味で、それに関する情報や本
を集めてきましたが、2019年4月にそのものズバリの次の本
を購入しました。430ページの大書です。
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                   田中道昭著
    『アマゾン銀行が誕生する日/2025年の
       次世代金融シナリオ』/日経BP社刊
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 著者の田中道昭氏は、立教大学ビジネススクール教授で、株式
会社マージングポイント代表取締役です。三菱東京UFJ銀行を
経て、いくつかの米国の証券会社の仕事を歴任し、現職にいたっ
ています。以下の説明は、この本も参照しながら、述べていくこ
とになるので、あらかじめご紹介しておきます。
 現在、猛烈なスピードでキャッシュレス化が進行しています。
これは、単に現金を使わなくなるということだけではなくて、次
の2つの潮流を生み出しつつあります。
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       1.無人化・自動化が促進される
       2.シェアリング化が促進される
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 1は「無人化・自動化の促進」です。
 店舗まで足を運ばなくても、ネットでモノが買えるのは大変便
利ですが、店舗でモノを実際に見て買う必要もあるし、店舗でモ
ノを買う楽しみもあります。この流れの先にあるのが、無人店舗
です。アマゾンゴーはまさにそれを実現したものです。しかし、
その実現には、キャッシュレス化が前提になります。
 2は「シェアリング化の促進」です。
 昭和の時代の人々は「車を持つこと」が夢であり、猫も杓子も
自家用車を持とうとし、実際にそれが実現しています。そういう
わけで、今や車を持つこと自体は当たり前のことになっています
が、それによって地球は一段と暑くなり、対策をとらざるを得な
くなっています。
 そこで出てきたのは、自分で車を所有しようとせず、シェアリ
ングしようとする動きです。1台の車を多くの人でシェアすれば
それだけ車の台数が減り、CO2を減らすことができます。これ
について、田中道昭氏は次のように述べています。
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 シェアリングはキャッシュレス化とともに浸透していきます。
キャッシュレス化と自動化、シェアリング化は三位一体の関係に
あります。アリババやテンセントがどうやってキャッシュレス化
を促進してきたのか、あるいはシェアリングがどうやって広まっ
てきたのか。中国のライドシェアリングといえばディディですが
もともとアリババとテンセントがそれぞれ出資していた会社が合
併したものです。合併する以前は、それらの2社が競っていまし
た。シェアリングというのは、自転車でも車でも「キャッシュレ
スありき」のサービスなのです。スマホでの操作が大前提です。
シェアリングとキャッシュレス化は表裏一体というのは、そうい
うことです。     ──田中道昭著/日経BPの前掲書より
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 これに似た動きに「CASE」の概念があります。車の将来を
考えるとき、知っておくべき概念です。メルセデス・ベンツは、
「これからのわが社は、CASEに注力します」と宣言していま
す。CASEは次の言葉の頭文字をとったものです。
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   C ・・・・ Connected      コネクテッド
   A ・・・・ Autonomous       自動運転
   S ・・・・ Shared & Services  シェアリング
   E ・・・・ Electric         電動化
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 「C」は、通信機能です。車がつながっていることです。自動
運転の実現に欠かせない地図データーなどの送受信にも優れた通
信機能が必須となります。
 「A」は、自動運転です。自動で車を走らせる技術が搭載され
ていることです。現代の車には、自動運転までいかなくても、何
らかの運転支援機能が常備されています。
 「S」は、新しい車の使い方です。必要なときに車を借りて運
転し、必要のないときには貸して、シェアすることです。数人で
共同所有することもシェアリングです。
 「E」は、車の電気自動車化(EV化)です。これは、地球の
環境問題対策とも関わるもので、「車が吐き出す二酸化炭素を減
らさなくてはならない」という大前提が背景にあります。
 これに加えて「MaaS」という概念があります。
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        ◎「MaaS」
         Mobility as a Service
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 MaaSは、直訳すると「モビリティはサービスと同じ」にな
ります。「移動」すること自体をサービスととらえるということ
です。CASEの先にある概念です。車だけでなく、自転車のよ
うな個人的な乗り物から、電車やバスといった公共交通も含まれ
ているのが特徴です。そういう意味では、「スイカ/Suica」 も
MaaSのひとつと考えることができます。
 トヨタ自動車が発表した「イー・パレット」は、MaaS専用
車両といわれています。これは、東京オリンピックで運用される
といわれていますが、このコロナ禍のオリンピックで、果たして
本当に運用が実現するでしょうか。
             ──[デジタル社会論U/032]

≪画像および関連情報≫
 ●“人の移動”に変革をもたらす『MaaS(マース)』とは?
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   大都市の激しい交通渋滞、自動車から吐き出される温室効
  果ガス、高齢で運転ができないなど・・・そんなさまざまな
  問題を解決する次世代交通システムとして、いま世界中で脚
  光を浴びているのが「MaaS」だ。直訳すると「サービス
  としての移動」。いったい、どんなシステムなのだろうか。
  他国に先駆けて、2017年にMaaSをスタートさせたフ
  ィンランドの様子なども紹介しながら解説していこう。
   MaaSとは、バス、電車、タクシーからライドシェア、
  シェアサイクルといったあらゆる公共交通機関を、ITを用
  いてシームレスに結びつけ、人々が効率よく、かつ便利に使
  えるようにするシステムのことだ。すでにヨーロッパでは本
  格的な取り組みがスタートし、日本でも鉄道会社や自動車会
  社などが中心となって研究が始まっている。では、MaaS
  が普及すると、私たちの暮らしはいったいどんなふうに変わ
  るのだろう。
   たとえば、サッカーを観戦するためにスタジアムへ行くと
  き。いまでもアプリを使えば自宅からスタジアムまでの最適
  経路と利用すべき交通機関、所要時間や料金などを簡単に知
  ることができるが、MaaSではこの検索機能にプラスして
  予約や支払いも、スマホなどの端末を使い、まとめてできる
  ようになるということだ。しかも、MaaSの場合、鉄道や
  バスだけでなく、タクシー、シェアサイクル、カーシェア、
  ライドシェアなど、ありとあらゆる交通手段が対象となる。
                  https://bit.ly/3vUhCkG
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トヨタ/イーパレット.jpg
トヨタ/イーパレット
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論U | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする