インスタグラムを買収しました。そのとき、フェイスブックが、
インスタグラムに支払った金額は10億ドル(1130億円)と
いう巨額な金額だったのです。
この金額は、当時月間アクティブユーザー数が、3000万人
程度であったインスタグラムに対する買収価格としてはベラボー
な金額だったのです。ちなみに、買収当時のインスタグラム社の
スタッフはたったの13人だったといわれています。インスタグ
ラムの共同経営者は、次の2人です。
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◎最高経営責任者(CEO)
ケヴィン・シストロム氏
◎最高技術責任者(CTO)
マイク・クリーガー氏
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しかし、これらインスタグラムの創業者は、既にフェイスブッ
クから去っています。これは、フェイスブックに原因があります
が、それはさておき、インスタグラムの特性について述べること
にします。
フェイスブック、ツイッター、インスタグラムにLINEを加
えて、4大SNSといわれています。このうち、フェイスブック
とツイッターは、当初は文章の入力によって、人と人をつないだ
のです。当時はスマホではなく、PCがメインだったからです。
私はツイッターを2010年1月からはじめていますが、当時は
スマホは登場したばかりであまり普及しておらず、PCでツイッ
ターをはじめたものです。
少し歴史を振り返ってみると、2008年にスマホがはじめて
登場し、それが普及しはじめた2010年にインスタグラムが発
足しています。その頃から、少しずつスマホのカメラの性能が高
度化するにしたがって、SNSでは文章よりも写真を送る人が多
くなっていったのです。このようにして、2012年にはインス
タグラムのユーザーは3000万人に到達していたのです。そし
て、インスタグラムはフェイスブックに買収されるのです。
インスタグラムは、写真によって人とつながれるSNSです。
ツイッターやフェイスブックのように、その人や、アカウントを
フォローするのではなく、写真に付けられた「ハッシュタグ」と
いうキーワードをフォローすることによって、多くの人とつなが
ることができます。これについて、尾原和啓/島田太郎両氏は、
次のように解説しています。
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例えば、サーフィンが趣味なら「サーフィン」というハッシュ
タグをフォローすれば、世界中のサーフィンの写真を見られるの
です。さらに細かく、朝の静かな時間帯のサーフィンばかりを集
めた「モーニングサーフィン」や、世界中の大きな波を見られる
「ビッグウェーブ」といったハッシュタグもあります。
自分の趣味を通して世界中の人とつながることができます。こ
のようなつながりを「インタレストベース」のネットワークと呼
びます。(中略)
フェイスブックが、リアルな人間関係をベースとしたスケール
フリーネットワークであるのに対し、インスタグラムは、興味や
趣味、関心によって、まったく知らない人とつながるスケールフ
リーネットワークを構築しています。
──島田太郎/尾原和啓著『スケールフリーネットワーク/
ものづくり日本だからできるDX』/日経BP
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このように、インスタグラムはフェイスブックの発展・拡大に
大きく貢献したのですが、インスタグラムの共同経営者であるケ
ヴィン・シストロム氏とマイク・クリーガー氏の2人は2018
年9月24日に、フェイスブックを去っています。
なぜ、一番よいときにフェイスブックを去ったのでしょうか。
ケヴィン・シストロム共同経営者兼CEOによるフェイスブック
辞任の挨拶は、次の通りです。
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マイクと私は、インスタグラムで8年を過ごし、フェイスブッ
クのチームと6年を過ごした。我々は13人から世界中のオフィ
スに1000人以上が働くまでに成長した。我々が作ったプロダ
クトは10億人を超える人々に使われ、愛されている。我々は次
の人生への準備が整った。
我々はしばらく休養し、好奇心とクリエイティビティを、もう
一度、取り戻そうと思う。新しいものを作るために立ち止まり、
我々をインスパイアしてくれるもの、そしてそれを世界が必要と
しているかどうかを突き詰める。そんなことを我々は計画してい
る。我々はリーダーから10億人の中の2人のユーザーとなるが
インスタグラムとフェイスブックの未来に依然、興奮している。
イノベーティブで非凡な会社の取り組みに期待している。
──共同創業者兼CEO、ケヴィン・シストロム
https://bit.ly/3xVAZeH
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円満退社といわれていますが、そんなことはないと考えます。
その証拠は、挨拶にマーク・ザッカーバーグの名前がないことで
す。会社の創業者に対する感謝の言葉は、形式的なものかもしれ
ませんが、重要なものです。それがないということは、事態が円
満退社ではないことをあらわしています。
本当の原因は外部からはわかりませんが、2人はザッカーバー
クCEOの金儲け主義や拡大路線に嫌気がさし、フェイスブック
を去ったものと考えます。何よりも決定的なのは、フェイクブッ
クがインスタグラムの個人情報まで商売に使おうとしたことが決
定的です。それは、フェイスブックとインスタグラムのアドレス
帳の統合の要請です。2人はこれに反発して、フェイスブックを
去ったのです。 ──[デジタル社会論U/012]
≪画像および関連情報≫
●インスタグラム共同創業者2人が電撃辞任
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激震走る・・・。
フェイスブックに6年前に10億ドルで身売りしたインス
タグラム(インスタグラム)も、今や評価額1000億ドル
(12兆円超)。こんなに大きくなってうれしい反面、共同
創業者2人は売らなきゃよかったと悔しくて眠れない夜もあ
るんだろうなあと思っていたら、2人揃って辞任の電撃ニュ
ースが入り、椅子から転げ落ちそうになりました。
辞め方がとにかく尋常ではなく、講演スケジュールがびっ
しりなのにもかかわらず、いきなり、ニューヨークタイムズ
の独占スクープで報じられ、何時間もフェイスブックからは
なんの発表もないまま時が流れてゆき、憶測が憶測を呼ぶ異
様な雰囲気となりました。
当の本人であるケヴィン・シストロムCEOもマイク・ク
リーガーCTOも辞める理由は明らかにしていませんが、イ
ンストグラム公式ブログにシストロムCEOが発表した辞任
の挨拶にはマーク・ザッカーバーグのマの字もなく、「確執
の噂は本当だったのか・・」との見方が強まっています。イ
ンスタグラムは、今年6月にユーザー10億人の大台に乗り
今後5年で20億人という成長曲線まっしぐら。ユーザー滞
留時間ではフェイスブックとほぼ互角に迫っています。
https://bit.ly/3uwlJmq
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インスタグラムの共同創業者