2021年04月30日

●「改めてインターネットを分析する」(第5481号)

 「スケールフリーネットワーク」について、考えています。G
AFAの急拡大にも関係があります。現在、インターネットその
ものについて考えるときがきていると思います。それがこれから
のビジネスの展開について必要であるからであり、イノベーショ
ンを生む土壌になるからです。
 もう一度「スケールフリーネットワーク」について考えてみる
ことにします。添付ファイルの下の図をご覧ください。
 ●印はネットワークの最小単位の「ノード」をあらわしていま
す。点と点を結ぶ線は「リンク」といいます。このように、ノー
ドでつながれているネットワークを「ランダムネットワーク」と
いいます。
 これに対して◎印は、ハブをあらわしており、蜘蛛の巣状のネ
ットワークになっています。これが「スケールフリーネットワー
ク」です。WWWの一番最後の「W」である「Web」は、蜘蛛
の巣という意味です。つまり、インターネットは、スケールフリ
ーネットワークということになります。
 スケールフリーネットワークは、空港のネットワークに似てい
ます。いわゆるハブ空港にリンクが集中しているのがよくわかる
と思います。
 ランダムネットワークでは、一つのノードが持つリンクの数の
分布をグラフ化すると、上の図の左の釣り鐘型になります。ラン
ダムネットワークでは、平均的なノードは一定の平均的な数に収
まるというスケール(尺度)というものがあるのです。そのため
釣り鐘型のグラフになります。
 これに対して、スケールフリーネットワークは、上の図の右の
グラフのようになります。このグラフは、何を意味しているので
しょうか。
 これは、グラフの左寄りの形状に見られるように、大多数のノ
ードが、ごくわずかのリンクしか持たない傾向を示しているのに
対して、ごく一部のノードがハブとなって、膨大なリンクを持つ
ことをあらわしています。これがスケール(尺度)のないスケー
ルフリーネットワークの特徴です。
 これに関連して、尾原和啓/島田太郎両氏は、次のように指摘
しています。
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 バラバシ教授は交通網の例でスケールフリーネットワークの特
徴を説明しましたが、ほかにも私たちの世界には至るところにス
ケールフリーネットワークがあることが分かっています。
 分かりやすいのは人間関係でしょう。同じ映画で共演した俳優
のつながりをネットワークとして見ると、その構造はスケールフ
リーネットワークになっています。つまり、ほとんどの俳優は数
人の俳優としか共演していませんが、ごく一部の「ハブ」俳優が
膨大な数の俳優と共演しているケースがあります。これは、論文
を共同執筆した科学者の関係にも見られる傾向です。
            ──島田太郎/尾原和啓著/日経BP
              『スケールフリーネットワーク/
             ものづくり日本だからできるDX』
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 スケールフリーネットワークのグラフは、「ロングテールの法
則」のグラフとそっくりです。このグラフは、いろいろな現象を
あらわすグラフとして使われるのです。
 「ロングテールの法則」とは、そもそもアマゾンがウェブ上の
書店をスタートさせたことからいわれるようになったのです。物
理的な実店舗の書店では、どんな大書店でも販売するために展示
する書籍には一定の限界があります。したがって、売れる可能性
の高い本を中心に展示し、専門書など、ごく一部のユーザーにし
か読まれない書籍は棚から外すのが普通です。
 しかし、ウェブ書店では、物理的限界はないので、売れる本か
ら、めったに売れない書籍まで、あらゆる書籍をすべて揃えてお
くことができます。
 そのアマゾンの強みを如実に示すデータがあります。「アマゾ
ンならすべての本がある」という評判で、アクセス数も上がり、
実書店で売れるヒット作よりも、一般書店では入手できない本を
買うユーザーが多く利用しています。私の場合も実書店には置い
ていない書籍は、アマゾンで購入することにしています。実際に
アマゾンの売り上げは、販売部数ランキング4万位から、230
万位の間の書籍の販売で支えられているのです。
 同じようなことをアップルが運営する音楽配信サービス「アイ
チューンズ・ストア」もロングテール戦力を利用して売り上げを
伸ばしています。誰でも知っている世界的ヒット曲から、知る人
ぞ知る無名アーティストが販売するような楽曲まで、幅広い商品
を用意することでユーザーを呼び込み、国内外を問わず、ダウン
ロードされています。
 無名アーティストのCDなどは流通数も少ないため手に入れる
のも難しいですが、アイチューンズ・ストアを利用することで、
それまで購入できなかったユーザーが、いつでも入手できるよう
になっています。
 このように、スケールフリーネットワークであるインターネッ
トをフルに利用するビジネスが出てきたときは、関連する事業体
は、それまでのビジネスというものを根本から考え直す必要があ
ります。なぜなら、それらはこれまでのビジネスの常識を変えて
しまうパワーを持っているからです。
 その典型的な成果物が、現在世界経済のなかで、巨大な価値を
持つGAFAです。現在、GAFA4社の時価総額は、とんでも
ない巨額に達しています。2020年において、GAFAにマイ
クロソフトのMを加えたGAFAMの時価総額は、東証一部上場
企業2160社の時価総額を上回ったのです。これはとんでもな
い出来事です。彼らは、スケールフリーネットワークを巧妙に活
用して、それを成し遂げているのです。
             ──[デジタル社会論U/009]

≪画像および関連情報≫
 ●ロングテールとは?正しく理解して売上をあげよう
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   今まで、実店舗などの販売は、全体の2割ほどを占める売
  れ筋商品に注力する手法がとられていました。これはパレー
  トの法則(別名:80対20の法則)と呼ばれる、「売上の
  8割は2割の優良顧客が生み出している」という考え方の元
  2割の優良顧客を優遇するマーケティングが取られていまし
  た。これは、人的リソースを全員に満遍なく割こうとすると
  その分コミュニケーションコストが比例して上がっていくた
  めです。万人に割いたとしても、売上のほとんど(8割)は
  2割の優良顧客がもたらすため、それであれば2割に集中し
  ようという考えが元になっています。
   しかし、ロングテールは反対で、ほとんど動かないような
  いわゆる「死に筋商品」がその総合計としては、人気商品の
  売上に迫る、ということで注目されました。
                https://ferret-plus.com/296
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スケールフリーネットワークとは何か.jpg
スケールフリーネットワークとは何か
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(1) | デジタル社会論U | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする