2021年03月19日

●「コンソーシアムチェーンとは何か」(第5452号)

 昨日のEJの最後で触れたブロックチェーンの種類を再現し、
もう少し説明を加えます。
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        1.  パブリックチェーン
        2. プライベートチェーン
        3.コンソーシアムチェーン
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 ビットコインのブロックチェーン「パブリックチェーン」は、
完全な非中央集権的で、ノード参加者に制限がなく厳格な合意形
成承認が求められるパブリックチェーンです。合意形成には、P
ОW(プルーフ・オブ・ワーク)と呼ばれるマイニングという時
間のかかる計算が必要になります。
 しかし、金融機関のようなスケーラビリティやファイナリティ
プライバシー保護といった側面を重視する団体にはパーミッショ
ンド型のブロックチェーンが向いています。これには、2の「プ
ライベートチェーン」と、3の「コンソーシアムチェーン」があ
ります。そのなかでも、コンソーシアムチェーンは合意形成にお
いて、複数の団体を必要とさせることで、ある程度の合意形成の
妥当性を確保することができます。従って、パブリックチェーン
とプライベートチェーンの中央に位置するブロックチェーンであ
るといえます。
 コンソーシアムチェーンに属するソラミツ社の「ハイパーレッ
ジャーいろは」は、シンプルな設計で、開発者に理解しやすく、
開発しやすい構造になっています。通貨やポイントなどのデジタ
ルアセットを簡単に発行・送受信できるライブラリを用意してい
ます。このブロックチェーンに実装されている合意形成アルゴリ
ズムは、ソラミツ社が独自に開発した「スメラギ」と呼ばれるア
ルゴリズムです。コンソーシアム型のブロックチェーン設計とす
ることで、スメラギは2秒以内のファイナリティ(決済完了性)
を目指しています。高速のファイナリティを実現することにより
金融機関の決済や対面型決済などのシステムの実現も可能になり
ます。またスループット(単位時間あたりの処理能力)について
も、1秒間に数千件以上の処理スビートがあります。
 仮に日本のデジタル通貨の実現にソラミツのブロックチェーン
「ハイパーレッジャーいろは」を使う場合、そこに「スケーラ・
ビリティ」が必要になってきます。スケーラ・ビリティとは、拡
張性のことで、CPUなどの基本的なハードウェアの処理能力を
上げることに加えて、合意形成のアルゴリズムやメモリーの使い
方を改善することによって、それを実現できるといわれます。
 現在の「ハイパーレッジャーいろは」の処理能力は、1秒間に
数千件のレベルですが、これを少なくとも1秒間に数万件にレベ
ルアップする必要があります。専門的な話になりますが、スケー
ラ・ビリティの代表的手法としては、次の3つがあります。
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      1. オフチェーン・スケーリング
      2.サイドチェーン・スケーリング
      3.       シャーディング
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 1の「オフチェーン・スケーリング」は、ブロックチェーンの
外に一部取引を移管する手法のことであり、2の「サイドチェー
ン・スケーリング」は、既存のブロックチェーンから新たに構築
したブロックチェーンに資産を移管し、取引を処理する手法のこ
とです。3の「シャーデング」は、検証対象取引と検証参加者を
複数のグループに分割し、検証作業を分担する手法のことです。
 スケーラ・ビリティに関してソラミツ社は、上記3の「シャー
ディング」に注目しており、社長の宮沢和正氏は、次のように述
べています。
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 ソラミツでは「シャーディング」に注目している。例えば、日
本全国をカバーするブロックチェーン‥ネットワークを構築する
場合、都道府県ごとのグループに分割してブロックチェーンを構
築して検証作業を分担しそれぞれのブロックチェーンで、500
万人から1000万人の送金・決済処理を実行する。
 また、47都道府県のブロックチェーンを連結し、クロス・チ
ェーン・トランザクション(異なるチェーン間をまたがる送金・
支払い処理)を実行する。さらに都道府県間のクリアリング処理
を行う二層目のブロックチェーンを構築する。このような二層構
造のブロックチェーン・ネットワークを構築することにより、理
論的には数億人から数十億人の処理を行うことが可能と考えられ
ソラミツではその検証作業を準備中である。
    ──宮沢和正著『ソラミツ/世界初の中銀デジタル通貨
      「バコン」を実現したスタートアップ』/日経BP
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 こうしたソラミツ社の活躍により、日本におけるデジタル通貨
の導入は、どうなるのでしょうか。
 実は、法定通貨の電子化を世界で初めて進めたのは、シンガポ
ールなのです。2000年12月に、当時、シンガポールの通貨
発行主体であった「シンガポール通貨理事会」(BCCS)が、
「2008年までに電子法貨にする」という、当時としては、驚
くべき計画を発表しています。
 その目的は、現金のハンドリングコストを下げ、社会全体の決
済の効率化を高め、シンガポールのキャッシュレス化を進めるこ
とにあります。シンガポールでは、これを「電子法貨構想/SE
LT」と呼んでいたのです。
 しかし、このSELTは実現することなく終了しています。お
そらく導入コストの大きさが関係したものと思われます。しかし
1990年頃から日銀では「電子現金プロジェクト」という秘密
のプロジェクトが進行していたのです。はっきりと、中央銀行が
電子マネーを発行する計画であり、当時としては驚くべき計画で
あったといえます。     ──[デジタル社会論/052]

≪画像および関連情報≫
 ●日本銀行、いよいよ動き出した「デジタル通貨」計画の
  ヤバすぎる中身/ジャーナリスト・砂川洋介氏
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   2020年夏、新型コロナで世界の経済情勢はここ数十年
  で経験したことがない状況下におかれている。そんな中、各
  国中央銀行による中銀デジタル通貨(CBDC)に関するニ
  ュースが相次いで伝わっている。
   年始には、日本銀行(日銀)が、他の主要中央銀行や国際
  決済銀行などとともに中銀デジタル通貨(CBDC)の活用
  可能性を評価するための研究グループを設立した。また、2
  月には決済機構局に研究チームを発足させ、7月には「デジ
  タル通貨グループ」を新設している。
   さらに、7月17日に閣議決定された「経済財政運営と改
  革の基本方針(骨太の方針)」に、「中央銀行デジタル通貨
  については、日本銀行において技術的な検証を狙いとした実
  証実験を行うなど、各国と連携しつつ検討を行う」という一
  文が加わった。
   今年に入っての日銀の動きに、政府が乗ったような状況と
  いえよう。7月2日に日銀がHP上で発表した第一弾のレポ
  ート「中銀デジタル通貨が現金同等の機能を持つための技術
  的課題」では、「誰がいつでも何処でも、安全確実に決済に
  利用できる」という現金の特性はCBDCが備えるための技
  術的な課題について整理している。
   本レポートでは「CBDCが「ユニバーサル・アクセス」
  と「強靭性」という2つの特性を備えることが、技術的に可
  能かどうか検討することが重要なテーマとなる」と指摘して
  いる。             https://bit.ly/3vACNsc
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ブロックチェーンの種類.jpg
ブロックチェーンの種類
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(1) | デジタル社会論T | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする