2021年02月02日

●「FBはデータを販売しているのか」(第5420号)

 フェイスブックの個人データ流出事件──フェイスブックが実
名登録が前提のSNSであるため、データ流出はユーザーにとっ
て、きわめて重大なリスクです。ケンブリッジ・アナリティカの
事件、昨日のEJではデータが不足していたため、これをもう少
していねいに見ることにします。
 ケンブリッジ・アナリティカ社は、英国のSCLグループとい
うコンサルティング会社の子会社として、2013年に設立され
た選挙コンサルティング会社です。
 ケンブリッジ・アナリティカ社は、学術目的として、最大87
00万人分の個人データをフェイスブックから入手しているので
す。このデータには、「友達」の情報も入っています。そもそも
これが「けしからん」のです。
 きっと、加入登録の約款に、学術目的にはデータを提供するこ
とがあると書いてあるのでしょう。しかも、ケンブリッジ・アナ
リティカ社は、トランプ陣営に雇われ、これらのデータはトラン
プ陣営に有利なように、フェイクニュースなどを流すために使わ
れているのです。これがなぜ学術目的なのでしょうか。
 これとは別にケンブリッジ・アナリティカ社は、もうひとつ別
ルートから、フェイスブックからユーザーの個人情報を得ていま
す。これについては、著名な木内登英氏の著作から引用すること
にします。
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 英ケンブリッジ大学のアレクサンドル・コーガン教授は、フェ
イスブックで利用できる性格診断アプリを開発した。当時のフェ
イスブックの連携アプリは、本人の情報だけでなく、友人の情報
まで簡単に取得することができたという。
 その後同社は、コーガン教授が開発したアプリから得た個人の
特性に関する情報と、フェイスブックから得た個人情報とを組み
合わせて、有権者それぞれの嗜好や政治的方向性を把握した上で
トランプ候補に有利な情報、対立候補のクリントン氏には不利な
情報、いわゆるフェイクニュースを流した。
 このように、フェイスブックのアプリから取得された2種類の
個人情報が、ユーザーが了承した利用目的と異なる形で不正に利
用され、その不正利用をフェイスブックが防ぐことができずに情
報管理能力が厳しく問われたのが、「フェイスブックによる個人
情報流出事件」である。   ──木内登英著/東洋経済新報社
    『決定版リブラ/世界を震撼させるデジタル通貨革命』
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 このケンブリッジ・アナリティカ社は、米国の地理的、統計的
な情報を5000のデータポイントにおいて分析し、個々の有権
者に対して、それぞれ異なる選挙用のメッセージを流し、投票行
動に影響させようとしたのです。
 例えば、メキシコとの国境に近い南部の州には民主党支持の白
人が多く住んでいますが、これらの層に対して、「もし、クリン
トン候補が大統領になれば、難民や移民が大量に流入する」とい
う情報を流せば、選挙結果に強い影響を与えることができます。
こういう選挙用のフェイクニュースの発信に、フェイスブックの
情報が使われた可能性が高いのです。
 問題は、このような情報の利用が、フェイスブックの規約に違
反していたかどうかということです。BBCニュース・テクノロ
ジー担当記者は、次のようにレポートしています。
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 当時、データはフェイスブックの仕組みを使って収集されてい
たし、他の多くの開発者も利用していた。ただ、データを第三者
に共有することは開発者にも認められていなかった。
 もう1つの主要な論点は、性格診断クイズを直接回答した人で
あっても、それが潜在的にドナルド・トランプ氏の選挙陣営に共
有されることは分からなかっただろうことだ。フェイスブックは
ルール違反があったことを認知したら、アプリを消去し、情報が
削除されたことの保障を要求すると述べている。
 ケンブリッジ・アナリティカ社は、データを使ったことはない
し、収集したデータはフェイスブック社から消去しろと言われた
ときに消去したと主張している。フェイスブック社と英国のデー
タ保護を管轄する情報コミッショナー事務局(ICO)は、とも
にデータが適切に使用不能となっているかを確認したいとしてい
る。                https://bbc.in/2MopZn5
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 また、フェイスブック社は、このデータは、2015年に破棄
するというフェイスブックとの取り決めにもかかわらず、そのま
ま保持され、不正に再利用されたと訴えています。この件に対し
て、フェイスブックのマーク・ザッカーバークCEOは、次のよ
うに述べています。
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 わたしがフェイスブックを始めました。そして、このわたした
ちのプラットフォームで起きることは、最終的にはわたしの責任
です。わたしたちのコミュニティを守るために必要なことに、真
剣に取り組んでいます。ケンブリッジ・アナリティカ関連で起き
た問題は、新しいアプリではもう起こり得ません。ですが、過去
に起きてしまったことは変えようがありません。
                 ──ザッカーバークCEO
                  https://bit.ly/3tfAQ3m
─────────────────────────────
 上記のザッカーバークCEOの発言は、あまりにも一般的であ
り、この問題の重大性に対して真摯に向き合っているとは思えな
いものです。フェイクニュースの問題が明らかになってからも、
フェイスブックやグーグル、ツイッターなどのプラットフォーマ
ーは、データを小出しにするなどして、時間稼ぎをしたといわれ
ています。彼らは、フェイクニュースを当初は否定し、是正措置
を講じようとはしなかったのです。
              ──[デジタル社会論/021]

≪画像および関連情報≫
 ●フェイスブックは、あなたのすべてを知っている
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   ケンブリッジ・アナリティカはフェイスブックのデータを
  使って、国民の政治選択に影響を与えようとしたと言われて
  いる。しかし、そもそもなぜ、いちばん好かれていないテク
  ノロジー企業であるフェイスブックが、ユーザーに関するデ
  ータをそんなに持っているのだろうか?
   インスタグラムやワッツアップ、その他のフェイスブック
  傘下の製品のことはひとまず忘れよう。フェイスブックは、
  世界最大のソーシャルネットワークを作った。しかし、彼ら
  が売っているのはそれとは別のものだ。こんなインターネッ
  ト格言を聞いたことがあるだろう、「もし製品が無料なら、
  あなた自身が製品だ」。
   ここで特にそれが当てはまる理由は、フェイスブックが、
  グーグルに次ぐ世界第2位の広告会社だからだ。2017年
  第4四半期、フェイスブックは129・7億ドルを売り上げ
  そのうち127・8億ドルが広告収入だった。つまりフェイ
  スブックの売上の98・5%は広告から生まれている。
   広告は必ずしも悪いものではない。しかし、フェイスブッ
  クはニュースフィードの広告の飽和状態に達した。そのとき
  この会社にできることが2つあった。新しいサービスと広告
  フォーマットを作ることと、スポンサー付き記事を最適化す
  ることだ。           https://tcrn.ch/3rdEXv1
  ───────────────────────────
マーク・ザッカーバードCEO.jpg
マーク・ザッカーバードCEO
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論T | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする