2021年01月26日

●「COCOAはだれが開発したのか」(第5415号)

 COCOAは、どこが作ったのでしょうか。
 このアプリは、人材サービス会社のパーソルホールディングの
子会社であるパーソルプロセス&テクノロジーが厚生労働省から
受注して開発したものです。
 COCOAの原型になるものは2020年3月20日にシンガ
ポールでリリースされた「Trace Together」というアプリです。
以下は、その関連記事です。
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 感染拡大を抑えるために有効とされるソリューションの1つに
スマートフォンを使ってCOVID−19感染者との濃厚接触を
検出し、行動変容を促すコンタクト・トレーシングシステムがあ
る。現在は、感染が判明した患者の記憶を頼りに濃厚接触者を特
定しているが、正確な行動履歴は把握しきれず、また不特定多数
の接触者には連絡手段がないのが問題だった。感染者が多い地域
では、患者にインタビューする保健機関のスタッフの負担も大き
くなる。
 この問題を解決するために、シンガポールの政府技術庁と保健
省は、コンタクトトレーシングアプリ「Trace Together」を3月
20日にリリースした。このアプリは、スマートフォン端末間の
ブルートゥース信号を使って、アプリがインストールされている
ユーザー同士の接近を各々の端末内に記録する。自身の感染が判
明した際にはデータを保険機関に提出し、保険機関から濃厚接触
者に連絡してもらうシステムだ。   https://bit.ly/3c790QM
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 COCOAの原型というよりもまるでそっくりです。このシン
ガポールのアプリのリリースを機に、世界各地で同様のアプリを
開発するためのプロジェクトが立ち上がっています。もちろん、
日本国内にも複数のプロジェクトが立ち上がったのです。
 アップルとグーグルも、アップルのiOSとグーグルのアンド
ロイドのユーザーが二分している日本の事情に合わせて、どちら
の端末(スマホ)でも相互運用できるAPI(アプリをプログラ
ミングするインターフェース)を5月20日に発表しています。
それが、「Exposure Notification API」です。 その関連記事を
次に示します。
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 グーグルとアップルは、新型コロナウイルス感染症で、陽性に
なった人との“濃厚接触”の可能性を知らせてくれる仕組みであ
る「Exposure Notification」 のユーザーインターフェイスとサ
ンプルコードを公開した。アンドロイド、iOS向けのもの。ま
たAPIを使ってアプリを配信する際のポリシーも開示された。
 新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐため、世界中で「コン
タクト・トレーシング」と呼ばれる仕組みづくりが導入、あるい
は開発が進められている。アップルとグーグルは4月11日、濃
厚接触したかどうか判定する仕組みを共同開発する計画を発表。
当初は「コンタクト・トレーシング(Contact Tracing)」 とし
て発表されたが、1週間後、「Exposure Notification (直訳す
ると“曝露通知”)」となった。4月30日には、初期のAPI
が開示されていた。         https://bit.ly/363XnpK
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 西村康稔コロナ担当大臣は、政府会見として「6月19日にア
プリをリリースする」と言明しています。しかし、すべての基に
なるグーグルとアップルのAPIの仕様が発表されたのは、20
20年5月20日です。それから、わずか1ヶ月後のリリースで
すから、超高速の開発になります。グーグルプレイストアもアッ
プルのアップストアの審査も必要なので、実際の開発期間は、実
質2週間ぐらいしかなかったはずです。
 それが実現できたのはフェイスブックを通じて有志で集まった
次のエンジニア集団の努力によるものです。
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           COVID-19 Radar Japan
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 このエンジニア集団の中心開発者は、日本マイクロソフトに所
属する廣瀬一海氏です。エンジニア界隈では、「デブロイ王子」
の異名で知られる有名人です。廣瀬氏は、開発の経緯について、
次のように述べています。
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 20年ほど前、エンジニアとして駆け出しの頃、日本医師会総
合政策研究機構に所属して医療・介護用ソフトなどをつくってい
ました。その頃に公衆衛生について勉強して関心があったという
こともあり、新型コロナウイルスの感染状況についてはかなり心
配していました。
 何かできることがないかと思っていた中、3月にシンガポール
政府がコロナ感染追跡アプリをリリースしました。シンガポール
政府は、元々管理国家ともいわれていますし、不透明な部分があ
ります。医療用ソフトをつくっていた身として、医療は透明性が
不可欠と思っています。透明性が担保されたアプリがあれば、他
の国でも使ってもらえるのではないかと思いました。本当に趣味
で、世界のどこかで使ってくれる人がいたらいいなあというノリ
で始めたんです。
 ただ、正直誰かに託したかった。誰かが動いてくれることを期
待したんですが、誰も最初は動かなかったので、知人に声をかけ
たり、フェイスブックなどで広く呼びかけたりして、日本在住の
5人のコアメンバーと一緒に、進めていくことになりました。
                  https://bit.ly/365rw80
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 COCOAは、この5人のメンバーが、オープンソースソフト
ウェア(OSS)として、開発したものといっても過言ではない
と思います。彼らは、ボランティアでこのアプリの開発に当り、
結果としてそれが採用されたのです。しかも、OSSとしての開
発なのです。        ──[デジタル社会論/016]

≪画像および関連情報≫
 ●接触確認アプリ「COCOA」まるで役に立たない訳
                      /野口悠紀雄氏
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   6月19日から、利用可能になった日本版接触確認アプリ
  「COCOA」には、いくつかの深刻な問題があることが明
  らかになりました。システムの不具合は修復されたのですが
  COCOAの運営に不可欠な感染者情報の収集システムHE
  R−SYSが完全に機能していません。
   さらに、COCOAから通知を受けても、大部分の人が検
  査を受けられませんでした。保健所の実情を考えると、これ
  が容易に改善されるとは考えられません。COCOAは、不
  安を煽るだけのアプリになっています。
   新型コロナウイルスに関して、「接触確認アプリ」という
  ものが開発されています。アプリの利用者同士が一定の距離
  内に近づくと、お互いのデータを記録します。そして、新型
  コロナウイルスの陽性者がその情報をアプリに登録すると、
  過去14日間に半径1m以内で15分以上接触していた人に
  通知されるのです。
   この原型は、アップルとグーグルが共同開発したアプリで
  す。うまく機能すれば、コロナと共存する社会での強力な武
  器になるでしょう。日本でも、厚生労働省による日本版接触
  確認アプリCOCOAが、6月19日から利用可能になって
  います。接触確認アプリがうまく機能するためには、多くの
  人が使うことが必要です。    https://bit.ly/366Sv3i
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COCOAの実質的開発者/廣瀬一海氏.jpg
COCOAの実質的開発者/廣瀬一海氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(2) | デジタル社会論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする