2021年01月07日

●「入り口を制するものが覇者になる」(第5403号)

 テーマの「デジタル社会論」を書くに当って、何冊かの本を読
みましたが、最も啓発されたのは次の本です。GAFAM時代の
今後の動向を読み取るうえで、参考になります。
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                       尾原和啓著
  『ネットビジネス進化論/何が「成功」をもたらすのか』
                      /NHK出版
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 著者の尾原和啓氏は、IT批評家と称していますが、その経歴
は多彩です。NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援、リクル
ートケイ・ラボラトリー取締役、楽天(執行役員)の事業企画投
資、新規事業に従事。経産省対外通商政策委員、産業総合研究所
人工知能センターアドバイザーなど。著書多数。
 上記著書は、デジタル社会を論ずるに当って多くの示唆を含ん
でいると思うので、しばらくこの本を参考にして、EJを書いて
いきます。
 2021年以降において、起きる大変化について知るには、イ
ンターネットそのものについて改めて理解する必要があります。
そのため、検索の技術について振り返っています。インターネッ
トというネットワークは、ハイパーリンクが網の目のように張り
巡らされている世界です。この世界を「ウェブ」といいますが、
これは「くもの巣」を意味します。ハイパーリンクとは、ページ
とページをつなぐリンクのことです。
 そのハイパーリンクの先に膨大なコンテンツがあるのです。そ
のコンテンツは時々刻々増加しています。そのため、グーグルは
そのリンクをたどってひたすらウェブを自動的に巡回する「スパ
イダー」というプログラム(ロボット)を開発し、ブロードバン
ドによって高速化されたスピードで情報を収集しています。「ス
パイダー」も「くも」を意味しています。
 インターネットがこういう構造になっている以上、「検索」は
この世界を支配するキーポイントになります。この検索の世界で
は激しい競争が行なわれましたが、現在、グーグルがこの世界の
勝者になっています。「検索といえばグーグル」を勝ち取ったの
です。日本では「ググる」という言葉にすらなっています。
 しかし、「入口を制する者が覇者になる」といわれるインター
ネットビジネスですが、最近は検索だけが、すべての入り口では
なくなっています。つまり、ネットの入り口が、次の2つに分か
れているのです。
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        1. 目的型 ・・・ 検索
        2.非目的型 ・・・ 探索
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 探すべきものが明確になっている場合は「1」の目的型、すな
わち、検索です。しかし、「傾向を調べたい」とか「何が流行し
ているか」など、目的が必ずしも明確ではない場合は「2」の非
目的型になります。
 インターネットの入り口「ポータル」は、尾原和啓氏によると
次の3つに分けられます。
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          1. コンテンツ
          2.  コマース
          3.コミュニティ
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 このポータルの3分類に、目的型と非目的型を組み込むと、添
付ファイルの図になります。この図は、尾原和啓氏の上記の著書
に出ていたものです。この図に関して、尾原和啓氏は、次のよう
に解説しています。
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 ネットで「何を探すか」もどんどん拡張されていきます。テキ
ストも動画も広い意味では「コンテンツ」ですが、コンテンツ以
外にも、物やサービスを探す「コマース」やつながりたい人を探
す「コミュニティ」が出てきて、それぞれに覇者が生まれます。
 BtoCで物を買うときは、買いたい物があらかじめ決まって
いる「目的型」の覇者はアマゾンで、いろいろな商品を見比べな
がら選びたい「非目的型」の覇者は楽天です。一方、CtoCの
場合は「目的型」の覇者はヤフオク!で、「非目的型」の覇者は
メルカリです。「コミュニティ」については、「目的型」と「非
目的型」という区別はあいまいで、リアルな知り合いとつながる
ときの覇者はフェイスブックやLINEで、バーチャルの中で匿
名のままつながるサービスとして、SHOWROOMのようなも
のが出てきているという構図です。──尾原和啓著の前掲書より
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 コンテンツには、テキストと動画がありますが、テキストで目
的のものを見つける検索はグーグルが制し、ヤフーは非目的型の
ニュースで覇者となっています。動画はブロードバンドによる通
信回線の速度が向上したために登場したものですが、これはユー
チューブが制しています。動画の数が少ないときは「どんな動画
があるかな」という非目的型の探索でしたが、数が増えるとユー
チューブで目的型の検索が行なえるようになっています。
 コマースは、まず企業から物を購入するBtoCが発展し、消
費者同士のCtoCが登場し、定着しています。この世界では、
目的型はヤフオク!、非目的型はメルカリが制しています。サー
ビスでは、「就職」「転職」「住宅購入/賃貸」などを得意とす
るリクルートが制しています。
 コミュニティについては、リアルの世界では、LINEとフェ
イスブックの支配が圧倒的です。とくにフェイスブックの今後の
動向は注目されます。SHOWROOMというのは、仮想ライブ
空間でアーチストやアイドルとつながるものです。現在のポータ
ルは、これらをすべて含んでいる世界であるといえます。
              ──[デジタル社会論/004]

≪画像および関連情報≫
 ●GAFAに代わる「次世代の覇者」の産声が聞こえる、グー
  グル訴訟に見る20年の周期
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   GAFAに取って代わる次世代の覇者はどこか――。そん
  なことを考えるべき時期になったのかもしれない。米司法省
  が、2020年10月20日に反トラスト法(独占禁止法)
  違反でGAFAの一角である米グーグルを提訴した。検索サ
  ービスやインターネット広告での市場支配力を行使して、競
  合企業を不当に締め出しているとの判断から提訴に踏み切っ
  た。訴訟の行方は全く予断を許さないが、長丁場の戦いにな
  るのは確実だ。米フェイスブックに対しても、米連邦取引委
  員会(FTC)が反トラスト法違反の観点から調査を続けて
  おり、今後GAFA各社が次々と訴訟に巻き込まれる可能性
  もある。日本や欧州連合(EU)などの独禁当局もGAFA
  に対する監視を強化しており、GAFAへの風当たりは米国
  だけでなくグローバルで強まりつつある。
   今回の提訴が意味するのは、GAFAの市場支配が「最終
  段階」に達したということだろう。訴訟の行方のいかんにか
  かわらず、GAFA各社がこれ以上、IT市場での支配力を
  強めることはないはずだ。もう少し言えば、IT業界におけ
  るGAFAの覇権の「終わりの始まり」と捉えることもでき
  る。単に、訴訟を抱え込んだり、世界の独禁当局の監視の目
  が厳しくなったりしたためではない。それくらい巨大な企業
  になったため、革新的なサービスで市場をリードする力が減
  衰するのは避けられないからだ。 https://bit.ly/2LeukIH
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posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論T | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする