2021年01月05日

●「なぜヤフーはグーグルに敗れたか」(第5401号)

 デジタル社会とは、インターネットが究極なほどに、高度に発
達した社会のことです。激しさを増しつつある米中の対立も、巨
大“ITプラットフォーマー”同士の対立として捉える必要があ
ります。現代は、GAFAMに代表されるプラットフォーム企業
が企業の時価総額を上げている傾向があります。
 ところで、日本人はインターネットをどのように利用している
でしょうか。これを知るには、日本におけるトータルデジタルで
のリーチ(利用者数)を調べればよいのです。トータルデジタル
でのリーチとは、日本の人口に対する利用者数のことです。最新
の数値は、2019年度のトップ10があります。ニールセンに
よる調査です。
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  ◎2019年度          平均月間リーチ
   1.グーグル ・・・・・・・・・・・・ 56%
   2.ヤフー・ジャパン ・・・・・・・・ 54%
   3.ユーチューブ  ・・・・・・・・・ 50%
   4.LINE ・・・・・・・・・・・・ 48%
   5.楽天 ・・・・・・・・・・・・・・ 41%
   6.フェイスブック ・・・・・・・・・ 41%
   7.アマゾン ・・・・・・・・・・・・ 38%
   8.ツイッター ・・・・・・・・・・・ 36%
   9.インスタグラム ・・・・・・・・・ 30%
  10.アップル ・・・・・・・・・・・・ 27%
                  https://bit.ly/3pEzOer
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 2019年度は、グーグルがそれまでトップのヤフージャパン
を抜いてトップに就いています。ユーチューブの3位は変わって
いません。日本においては、GAFAにまじって、ヤフー・ジャ
パン、LINE、楽天が健闘しているといえます。
 ネットビジネスにおいては、「入り口」を押さえた企業がビジ
ネスの勝者になるといわています。その勝者をめぐって、グーグ
ルとヤフーが、しのぎを削ってきたのです。米国でヤフーが誕生
したのは1995年3月であり、グーグルは、1998年9月の
創業です。既にヤフーについては、米国での役割を終了して退場
しましたが、1996年1月設立のヤフー・ジャパンは生き残っ
ており、現在でも巨大なネットワーク企業として、その存在感を
示しています。
 ヤフーはポータルサイトである──このようによくいわれます
が、ポータルサイトとは何でしょうか。ポータルとは玄関のこと
であり、「インターネットの入り口」を意味しています。それは
自分が見たい情報にたどり着くための「入り口」のことです。
 ポータルサイトには、デパートのフロアガイドのような機能が
あり、どこへ行けば自分が探し求める情報があるかを知ることが
できるようになっています。
 ヤフーは、ポータルサイトにユーザーに役に立つようなサイト
を集めて「お役立ちリンク集」を作ることができれば、ポータル
サイトに多くのユーザーを集めることができると考えたのです。
そしてこれによって、「純粋想起」をとることを狙ったのです。
「純粋想起」については、IT評論家の尾原和啓氏の解説をご覧
ください。
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 「カレーといえばココイチ(カレーハウスCoCo壱番屋)」
「うどんといえば香川県」のように、ジャンル名から特定のブラ
ンドをイメージできることを「純粋想起」といいます。「ポータ
ルサイトといえばヤフー」「インターネットといえばヤフー」と
いうポジションをいったん築くことができれば、ライバルたちが
それを覆すのは容易ではありません。
 ネットビジネスの世界でも「ネットオークションといえばヤフ
オク!」とか、「料理レシピといえばクックパッド」とか、「グ
ルメサイトといえば食べログ」のように、自分のニーズとそれを
かなえてくれる場所が純粋想起で結びつくと、(一時的にしろ)
大きな成功を収めることができます。
 大量の情報があふれるインターネットであっても、純粋想起さ
えとれれば、一気に市場を占有することができる。これが「勝者
総取り(ウィナー・テイクス・オール)」と呼ばれる現象です。
ネットビジネスでは勝者はたいてい1人だけで、2番手以下は、
その他大勢」扱いされてしまうのです。
                ──尾原和啓著/NHK出版
   『ネットビジネス進化論/何が「成功」をもたらすのか』
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 しかし、「検索といえばヤフー」といえるかといえば、必ずし
もそうなっていないのです。それは、サイトを単位として、「お
役立ちリンク集」を人力で作っていたからです。だが、現在のよ
うに情報量が爆発的に増えてくると、人力では限界があります。
 この点グーグルは、ネット上の情報量が爆発的に増えるのを予
測して、ヤフーが「サイト」を単位にしていたのに対し、グーグ
ルはサイト内の「ページ」を単位として、ロボットがそれらをす
べて収集し、その結果を一定の手順で並び変えて表示できるよう
にしたのです。グーグルでは、その一定の手順のことをアルゴリ
ズムと称し、「ページランク」と呼称しています。
 ここで「ページ」とは、文字通りウェブページを意味するので
はなく、グーグルの共同創業者の1人であるラリー・ページ氏が
開発したことによって、「ページランク」と称したことは多くは
知られていないことです。
 「ページランク」のメカニズムは、そのページがさまざまなサ
イトから、どれほどリンクが貼られているかによって、ページの
表示順位を決めるという手法を採用しているのです。これによっ
てグーグルは、「検索ならグーグル」という純粋想起を獲得する
にいたったのです。ヤフーの完敗です。
              ──[デジタル社会論/002]

≪画像および関連情報≫
 ●ページランクとは何か
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   グーグルが採用している、インターネット上でページから
  ページへと張られたリンクをもとに、各ページの重要度を推
  定する手法。学術論文などでいわれる「よく引用されている
  論文は良い論文だ」という考えに近い。ウェブページから、
  ウェブページへとリンクを張ることは、リンク元ページがリ
  ンク先ページに対して「このページを見ると良いよ」と推奨
  していることを意味すると考え、多くのページからリンクを
  張られているページは、多くの人から推奨されている良いペ
  ージであるとして評価が高くなる仕組み。
   グーグルは各ページに対してページランクを割り当ててお
  り、グーグルツールバーなどを使うと、ページランク値を確
  認できるとされているが、実はグーグルツールバーなどで確
  認できる値は順位付けに使っているページランクそのもので
  はない「ツールバーページランク(TBPR)」だと言われ
  る。ページランクが高いと検索結果で上位に来ると思われが
  ちだが、グーグルは現在数百種類もの情報をもとに順位付け
  を決定しており、ページランクはそこで使われている指標の
  1つに過ぎない。最近では「内容」「検索後との関連性」と
  いった指標の重み付けがページランクよりも高くなっており
  どれだけページランクが高くても関連性がないと上位には表
  示されないとの考え方が一般的となってきている。ちなみに
  ページランクとは「ウェブページのランク」ではなく、グー
  グルの共同創設者の1人、ラリー・ペイジの名前からとった
  「ペイジ・ランク」であるとのこと。
                  https://bit.ly/350GYBS
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ラリー・ページ氏(グーグルの共同創業者).jpg
ラリー・ページ氏(グーグルの共同創業者)
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする