2021年01月01日

●「新年のご挨拶/2021.1.1」(新年特集号)

 2020年のEJは、1月6日の第5160号から12月25
日の第5399号までの240本を、営業日の毎日、一日も欠か
さず、お届けしました。その間、同じコンテンツをブログにも投
稿しています。2020年に取り上げたテーマは、次の2つにな
ります。6月からコロナの情報を追って行ったので、事実上テー
マなしのフリーで、143回書くことになってしまったのです。
今年はそれを改め、テーマに沿って書こうと考えています。
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 1.消費税は廃止できるか ・・・・・・・・・・ 97回
 2.コロナ後の世界どうなる ・・・・・・・・・143回
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                        240回
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 今年のEJの最初のテーマは「デジタル社会論」です。元旦特
別号では、その予告編ともいうべきことについて、書くことにし
ます。デジタル社会がある意味において、恐ろしい社会であるこ
とがわかると思います。
 グーグルに「グーグルテイクアウト」というサービスのあるの
をご存知ですか。ユーザーがグーグルのサービスを利用すること
によって得られる、いわゆる利用履歴をユーザー本人の意思でダ
ウンロードできるサービスです。
 例えば、グーグル検索の情報、本人の位置情報、動画の視聴履
歴、Gメールのやり取り、アップロードした写真のやり取り、そ
れに、もしアンドロイドを利用していれば、どんなアプリをダウ
ンロードしたかなど、それは47種類に及びます。
 これに関してこんな実験があったのです。この実験の被験者に
なったのはX氏という男性です。X氏はスマホを片時も離さず利
用していて、この実験の被験者になることを了解した人です。実
験の主催者はNHKであり、データ分析を行ったのは青山のIT
企業ミソシル社です。ミソシル社は、個人データの解析・マーケ
ティングを専門とする企業です。
 NHKは、X氏に対してグーグルテイクアウトの仕組みを教え
て、データをダウンロードしてもらい、それをUSBメモリーに
入れて、ミソシル社に提供したのです。ミソシル社は、このデー
タ以外X氏のことはまったく何も知りません。データは、9年分
に及んでいましたが、そのデータ量は2・74GBに過ぎなかっ
たといいます。
 実験の目的は、このデータだけで、X氏についてどのくらいの
ことがわかるのかを調べることです。ミソシル社の実験チームは
X氏について、次の情報を把握したのです。
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 実験チームは「Xさんの人物像をざっと把握するには、直近1
週間の位置情報で事足りる」という。1週間で記録されていたX
さんの位置情報は215。この情報を地図上にプロットしていっ
たところ、その大半が関西圏、特に大阪市に集中していることが
わかった。215のプロットをより詳細に見ていくと、最多に及
ぶ20プロットが大阪市西淀川区にある特定のマンションから発
信されていた。これにより、実験チームはXさんの自宅とみられ
る物件を突き止めることができた。
 また、位置情報には高度の情報も含まれている。自宅とみられ
るマンションから発信されていたXさんの高度の情報は7〜8メ
ートル。一般的に、マンションは1階あたり3メートルの高さに
なっている。そのことから、Xさんの居住フロアは3階であるこ
とも推測できた。
 さらに、物件さえ特定できれば、家族構成や年収も推定するこ
とができる。実験チームはXさんの自宅とみられる物件の名前を
グーグルで検索。住宅情報サイトに同じ物件の情報が上がってい
た。築30年を超える賃貸マンション、間取りは1K、部屋の広
さは30平米程度。これらの情報をもとに考えると、Xさんは独
身、あるいは単身赴任ではないかということが推測される。
 そして、家賃。Xさんが暮らしているとみられる3階にある部
屋の家賃は、管理費込みで5万5000円。家賃の3倍を月収と
仮定すると、Xさんの月収はおよそ16万5000円。その12
カ月分を年収だと考えると、年収は198万円。
               ──NHKスペシャル取材班編
    『やばいデジタル/現実(リアル)が飲み込まれる日』
                  講談社現代新書2594
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 実は、実験チームが発見したのは、これだけではないのです。
位置情報の「移動形式」を分析すると、X氏の場合、「徒歩」と
「電車」だったため、車の所有はないと判明しています。しかし
Xさんの職業特定は難航したのです。日中の位置情報を追跡して
も、特定のオフィスなどに位置情報のプロットが集中することが
ないからです。しかし、夜の位置情報を調べると、午後7時から
午後10時にかけて、ある特定のバーから繰り返し位置情報が発
信されていたのです。バーの名前は「ザ・インターセクション」
といい、常連客とも考えたが、毎夜のことであるので、このバー
で働いているか、あるいは経営者と推測しています。
 以上から、X氏は、大阪市西淀川区在住、賃貸マンション3階
在住の年収200万円の1人暮らしのパー経営者。車なしという
ことが判明したのです。これはピタリ事実と一致しています。
 どうでしょうか。これ以外にもたくさんのことがわかっている
のです。Xさんはグーグルのグーグルフォトの利用者であるので
顔写真まで判明しています。
 デジタル社会の恐ろしさがよくわかると思います。自民党の河
井克行夫妻の捜査でもスマホを任意で提出させ、その位置情報を
を解析して、買収の犯罪行為を把握しています。EJではメリッ
トばかりではない、デジタル社会の闇にもメスを入れていこうと
考えています。EJの配信は1月4日からです。

≪画像および関連情報≫
 ●「デジタルツイン」とは何か
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   私たちが働く組織(企業含む)では、基本的にオフィスに
  出勤し、様々な部署で様々な人がそれぞれの役割・任務・責
  任に従い、協働しながら多様な業務を遂行しています。
   こうした人々が働く現場は、もともと「アナログ」なもの
  でした。コミュニケーションは基本、リアルな会話によって
  行われ、業務も紙ベースでのやり取りが大半でしたね。とこ
  ろが、デジタルトランスフォーメーション、要するに「デジ
  タル化」が進む近年、多くの業務はITシステム、アプリケ
  ーション上で行われるようになってきました。全体的なペー
  パーレス化はまだまだそれほど進んではいないものの、たと
  えば、会議の資料は事前に出席者にパーワーポイントやワー
  ドファイルを配布、議事録は直接PC打ち込んで後日メール
  で共有するといったスタイルが一般的になりつつあります。
   このように、デジタル化が進んだ組織では、人々の業務内
  容がそっくりそのまま何らかのデジタルデータとして記録さ
  れるようになっています。「デジタルフットプリント(デジ
  タルな足跡)」と言いますが、私たちの日々の活動内容の足
  跡がデータ化され、蓄積されているのです。
   プロセスマイニングは、上記のようなITシステムやアプ
  リケーションの操作を記録したトランザクションデータ=イ
  ベントログデータを分析することで、目に見えなかった業務
  プロセスの流れや、誰がどの業務を担当しているか、また誰
  と誰が協働しているかをビジュアルに可視化します。
                  https://bit.ly/3mVNAaY
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2021年元旦.jpg
2021年元旦
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | デジタル社会論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする