2020年12月25日

●「疑惑が噴出/支持率低落の菅政権」(第5399号)

 12月22日、安倍前首相が、「桜を見る会」の前夜祭の経費
補填の問題で、東京地検特捜部の任意の事情聴取を受けたとの情
報が師走の街に広がっています。それがいつどこで行なわれたか
はわかっていませんが、前総理とはいえ総理大臣が検察から事情
聴取を受けるとは、あってはならないことです。
 情報によると、安部事務所の依頼を受けて、さる大物のヤメ検
弁護士が検察とひそかに折衝し、安倍前首相の事情聴取と秘書の
略式起訴を決めたといわれます。いわゆる秘書に全てを押し付け
て、政治家は安全地帯に逃げる、あの「秘書が、秘書が・・」の
パターンですが、検察にとっては、秘書が全てをかぶってしまう
と、非常に攻めにくいことになります。なぜなら、起訴するには
安倍前首相がその事実を知っていたということを証明しなければ
ならないからです。
 安倍前首相は、民主党(当時)から政権を奪取した翌年、すな
わち2013年から「桜を見る会」の前夜祭(後援者会)をやっ
ています。このときの会費との差額は83万円でしたが、この金
額はその年の政治資金収支報告書に記載されています。ところが
2014年から2019年までは記載がないのです。なぜ、記載
をやめたのでしょうか。
 それは、2014年に小渕優子経産相が似たケースで辞任に追
い込まれたからです。その事実ひとつとっても、安倍前首相が会
費との差額補填について、知らなかったとはとても思えないので
す。当然秘書としては、安倍氏に相談するでしょうし、その相談
の結果、政治資金収支報告書には記載しないことに決めたに違い
ないのです。秘書の一存でやったとはとても思えないし、安倍前
首相が知らないはずはないと思われるからです。
 「会費は参加者それぞれがホテル側に支払い、事務所は一切関
与していない。だから、政治資金収支報告書には記載する必要は
ない」と安倍首相はいっていましたが、そう思わせる偽装を施し
ています。情報によると、前夜祭のパーティの会費の回収はホテ
ル関係者が行ない、後日、ホテル側から安部事務所に差額の請求
が行われ、事務所がその金額を支払うというかたちになっていま
す。これによって、あたかも前夜祭の会費は5000円であると
いう印象付けが後援会員に対して行なわれたのです。
 検察が安倍前首相を不起訴にし、公設第一秘書を「政治資金収
支報告書(不記載)」で略式起訴すると、罰金刑になりますが、
この手の事件は、不起訴はおかしいとして、確実に検察審査会に
持ち込まれ、審議されることになります。それでも、検察審査会
でも安倍前首相を起訴することは困難と思われます。
 しかし、たとえ不起訴になっても、安倍前首相には重い政治責
任があります。それは、国会で何回もウソの答弁をしたという重
い責任をどう取るかです。「桜を見る会」の前夜祭については、
衆議院調査局の調べによると、ウソの答弁とされるものは次の3
つがあり、その回数は「118回」になるのです。
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  ◎「事務所は関与していない」 ・・・・・・ 70回
   2019年11月20日  参院本会議
   2019年12月 2日  参院本会議
   2020年 2月 5日  衆院予算委
   2020年 3月 4日  参院予算委
  ◎「明細書はない」 ・・・・・・・・・・・ 20回
   2019年11月20日  参院本会議
   2020年 2月17日  衆院予算委
  ◎「差額は補填していない」 ・・・・・・・ 28回
   2019年11月20日  参院本会議
   2020年 2月 6日  衆院本会議
   2020年 3月 4日  参院予算委
  ―――――――――――――――――――――――――
                       118回
        ──2020年12月23日付、朝日新聞朝刊
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 118回は、「桜を見る会」の前夜祭──安倍晋三後援会の会
費補填という問題だけに絞ったウソですが、いわゆる森友問題に
ついても、安倍前首相は事実と異なる答弁を139回もしていま
す。これも衆議院調査局の調査です。
 もっとも裁判における証人と違って、国会で虚偽答弁をしても
罪に問われることはないのです。しかし、国会で平然とウソを何
回もつかれると、国会での議論は成り立たなくなります。この責
任をどう取るかが問われます。いずれにしても、この問題はこの
まま放置しておくわけにはいかないのです。
 朝日新聞は、12月23日の社説に「安倍氏は喚問に応じよ」
と題して次のように書いています。
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 公開の場でなされた虚偽答弁をただすのは、やはり公開の場で
なければならない。中曽根康弘、竹下登、細川護熙各氏ら、首相
経験者が予算委員会の証人喚問で疑惑を弁明した先例もある。安
倍氏は国会での説明に「誠実に対応したい」と語った。ならば、
ウソをつけば偽証罪に問われる証人喚問に堂々と応じるべきだ。
      ──2020年12月23日付、朝日新聞「社説」
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 最近菅政権は、麻生政権のときと似てきているといわれます。
確かに高支持率でスタートしたのに、就任直後の解散を回避し、
2〜3ヶ月後に支持率は急落しています。世界的に経済に影響を
及ぼしているものとして、麻生政権ではリーマンショックによる
経済不況、菅政権にはコロナ禍があります。それに、衆院選は、
ともに1年を切っています。それでは、麻生政権のときのように
政権交代は起きるかといえば、今のままでは困難です。野党の支
持率は低いままです。本号は、今年最後のEJになります。読者
の皆様、良いお年をお迎えください。新年は1月4日から新テー
マです。 ──[最終回/『コロナ』後の世界の変貌/143]

≪画像および関連情報≫
 ●菅政権、麻生政権と似てきた?支持率急落、解散先送り
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   菅義偉政権が12年前の麻生太郎政権に「似てきた」との
  見方が広がっている。ともに発足時は高水準だった内閣支持
  率が急落。それぞれ新型コロナウイルス禍、リーマン・ショ
  ックの影響を受け、就任直後の衆院解散を見送った。当時の
  麻生首相は追い込まれた末の衆院選で大敗し、野党に転落し
  た。菅首相もこの轍(てつ)を踏むことになるのか。
   「麻生さんの時と似ている。麻生さんも高い支持率から始
  まって、がくっと落ちた」。自民党中堅は菅政権の現状をこ
  う指摘した。立憲民主党幹部も「麻生政権と似てきた。首相
  に就任した時が最大の(衆院解散の)チャンスだった」と振
  り返った。
   麻生政権では、自民党内で首相退陣を迫る「麻生降ろし」
  が激化。当時を知る麻生派関係者は「来年度予算案が成立し
  たら『菅降ろし』が始まるかもしれない」と穏やかでない。
  だが、時の総理総裁を引きずり降ろすのは容易ではない。結
  局、麻生政権はそのまま衆院選に突入した。
   支持率の推移だけでなく、2人の言動も重なる。新型コロ
  ナ感染対策として菅内閣が国民に大人数の会食を控えるよう
  呼び掛ける中、菅首相は民間人ら約15人と飲食。この後、
  銀座の高級ステーキ店で自民党幹部ら7人との会食に参加し
  海外メディアからも批判的に報道された。インターネット番
  組で「ガー・スーです」と自己紹介したことも失笑を買い、
  政権幹部は、「このタイミングで『ガースー』はない」と嘆
  いた。             https://bit.ly/3rsHNgG
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麻生政権のときと似てきた菅政権.jpg
麻生政権のときと似てきた菅政権
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 『コロナ』後の世界の変貌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする