2020年12月16日

●「『目玉焼きモデル』/宮沢准教授(第5392号)

 12月14日、菅首相は突如12月28日から1月11日まで
GoToキャンペーンの全国一時停止を発表。官邸の事情に詳し
い政治評論家の田崎史郎氏によると、官邸の態度は、毎日新聞の
世論調査を見て、一変したといいます。しかし、宮沢孝幸准教授
は、今さらGoToを中止しても、ゾーン2の人を3や4ゾーン
に追いやるだけで、効果は乏しいといっています。
 カギを握るのは、新型コロナウイルスの無症状の陽性者に関す
る情報です。そこで、ネット上で探した結果、米コロンビア大学
メディカルセンターに関する貴重なデータを発見しました。
 コロンビア大学メディカルセンターでは、出産のため入院する
女性たちに対して、症状の有無にかかわらず、PCR検査を実施
しています。その検査結果は一定の割合で陽性者が出ていますが
そのうち症状のある人とない人の割合を把握しているのです。こ
れは大変貴重なデータといえます。これについて、アリス・ワト
ソン氏は次のようにレポートしています。
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 調査は、2020年3月22日〜4月4日に同センターで出産
した214人の女性を対象に実施した。女性たちのうち4人(2
%未満)に発熱その他のCOVID−19が原因と疑われる症状
があり、検査の結果、4人全員が陽性であることが確認された。
 一方、興味深いのは、症状がなかった210人の女性たちに関
する調査結果だ。綿棒を使って鼻から検体を採取して検査したと
ころ、このうち29人が陽性と判定された。つまり、別の見方を
すれば、陽性だった女性33人のうち、29人(88%)には症
状がなかったということになる。また、陽性で無症状だった人の
うち、退院する日(平均で2日後)以前に症状(発熱)が出た人
は、わずか3人だった。       https://bit.ly/3a5ydde
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 問題は、無症状陽性者の感染力の強さをどう見るかです。大半
の無症状陽性者は、ウイルスの量は少ないので、他の人に感染さ
せる力はありませんが、ごく一部の無症状陽性者は、発症直前に
ウイルス量が増えるので、感染力が強くなるのです。問題はそう
いう無症状陽性者をどのようにして見つけるかです。
 これには、多くの人に対して、PCR検査を実施するしかあり
ませんが、それによって感染力のない無症状陽性者もたくさん見
つかることになるので、感染者数が増えたように感ずるのです。
したがって、そういう無症状者を外した症状のある感染者の数を
カウントすることによって、本当の感染者の推移を把握すること
ができるのです。宮沢准教授は、次のようにいっています。
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 東京では、12月9日に過去2番目に多い572人の感染が発
表されたが、これは都が発表する「報告日別の新規陽性者数」に
基づくものだ。ところが、無症状者などを除く「発症日別による
陽性者数の推移」をみると様相は異なる。新規陽性者は、11月
17日に318人に達した後は、200人台で推移するなど徐々
に減り、今月4日が152人、5日が118人、8日が21人と
なっているのだ。
 発症日ベースで考えれば、東京都では11月17日にピークア
ウトが起きたのはデータから明らかだ。感染から4日から14日
程度で発症するため、感染日ベースなら11月10日前後にピー
クアウトしたことになる。都が飲食店に営業時間短縮を要請した
のは11月28日だから、自粛に関係なく、自然減であると考え
られる。              https://bit.ly/3r4lZaW
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 宮沢准教授によると、感染拡大のスピードは、3月16日頃に
既に落ち始めていたといいます。しかし、4月7日に政府は、緊
急事態宣言を出したので、ゾーン3や4の人を、ゾーン5に押し
やってしまったのです。ゾーン5は「引きこもり」であり、多く
の人が家に閉じこもり、外に出なくなってしまったのです。その
ため、経済は深刻なダメージを受けることになったのです。
 第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏は、今回の
政府による「GoToキャンペーン全国一時中止」は、せっかく
動き出した経済に水を差す行為であるとして、GoToキャンペ
ーンの効果を次のように指摘しています。
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 GoToキャンペーンが当初の予定通り、来年1月末まで続け
ば、ホテルや飲食店などの直接経済効果は、約2・2兆円。関連
会社や関連産業を含めた波及経済効果は、約4・0兆円と想定さ
れてきました。それが大都市など感染の多い地域が除外された場
合、4800億円以上のマイナスになると予想されます。
          ──永濱利廣氏 https://bit.ly/3gLpazB
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 新型コロナウイルスは、今後どうなるのかについて、宮沢孝幸
准教授は、次のように述べています。
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 大都市ではもう一度、感染者数が急増する見込みはないし、波
が起きたとしても、今回ほどの高さにはならないでしょう。北半
球でも南半球でも、感染の大きな波は冬に迎えていますが、それ
はごく一部を除き、「ヒトコブラクダ型」になっているんです。
目玉焼きモデルのゾーン2に近いゾーン3が生じることも、一度
起きたらもう起きません。今後、このウイルスは、秋から冬への
季節の変わり目に感染者が増えるくらいになるのではないでしょ
うか。                 ──宮沢孝幸准教授
         『週刊新潮』/2010年12月17日より
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 どうでしょうか。宮沢孝幸准教授の「目玉焼きモデル」は理解
できたでしょうか。感染症対策分科会とは真逆の見方のようにみ
えますが、もし、これが正しければ、来年の春頃にはコロナは自
然に終息することになります。
         ──[『コロナ』後の世界の変貌/136]

≪画像および関連情報≫
 ●GoTo一時停止/ホテル・旅館の本音は「止めて欲しい」
  「継続して欲しい」両方の声。
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   12月10日(木)、東京都内における新型コロナウイル
  ス新規感染者数が最多の602人を記録し、1日あたりの全
  国の感染者数も最多の2970人となり、感染が収まらない
  状況が続くなかで、政府もGoToトラベルの一時停止の議
  論を始めたという報道が出ており、今週末にも方針が示され
  る可能性が高い。
   このような状況の中で、GoToトラベルの恩恵を受けて
  いるホテル・旅館においては、GoToトラベルの一時停止
  において「一定期間止めて欲しい」という声、「このまま継
  続して欲しい」という声に分かれる。11月中旬頃までは、
  GoToトラベルを継続して欲しいという声が圧倒的だった
  中で、第3波の到来においては宿泊施設の経営者のGoTo
  トラベルに対する考え方に変化が生じ、一時停止はやむを得
  ないという声も出てきた。
   匿名を条件に取材に応じた東北の温泉地にある旅館経営者
  は、「12月に入って満室だった週末の予約のキャンセルが
  相次いでおり、新規の予約も完全に止まり、年末年始のキャ
  ンセルも出始めている。GoToトラベル前の予約水準に戻
  りつつあり、一旦リセットして感染者が減り、安全に旅行が
  できる段階で再開して欲しい」と話す。
                  https://bit.ly/2JVNJOi
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「目玉焼きモデル」.jpg
「目玉焼きモデル」
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(1) | 『コロナ』後の世界の変貌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする