2020年12月10日

●「事情聴取で検察が迷っていること」(第5388号)

 「桜を見る会」前夜祭パーティーの安倍事務所による会費補填
問題で、検察は、安倍前首相に対し、任意での事情聴取を求めて
いると、メディアは報道しています。これは明らかに検察のリー
クです。検察が事情聴取をしたいのであれば、本人と連絡を取り
さっさとやればよいのです。それでは、検察はなぜ事情聴取をメ
ディアにリークしたのでしょうか。
 それは、安倍前首相が事情聴取に応じなかったときのための検
察審査会への対策です。この手の事件は、告発に対して検察が捜
査を行い、「不起訴」を出したとき、必ず検察審査会に持ち込ま
れるのが常です。そのとき「キーマンの事情聴取なしの不起訴」
にならないよう、捜査を尽くしていることを国民に見せるための
リークです。相手が相手だからです。
 これに比べると、陸山会事件のさいの検察の捜査はあまりにも
乱暴です。元秘書3人をいきなり逮捕・起訴して有罪の判決を出
し、検察としては2度にわたって不起訴を出している小沢氏を検
察審査会というブラックボックスの機関において「強制起訴」し
裁判にかけたからです。検察審査会では2度にわたって「起訴相
当」が出ないと、強制起訴にはならないのです。ちなみに強制起
訴されたのは、政治家では小沢一郎氏がはじめてのことです。
 検察審査会の2回の「起訴相当」も、要請にしたがって検察が
提出した「捜査報告書」に基づいて出されています。しかし、こ
の捜査報告書の内容がデタラメであったことがわかっています。
つまり、その内容は、検察審査会が「起訴相当」を出すことをサ
ポートする情報だったのです。完全に魔女狩りです。
 小沢一郎氏には総理大臣になる可能性が2回あったのです。1
回目は2009年8月の衆院選であり、2回目は2010年9月
の民主党代表選です。
 1回目の2009年のとき、小沢氏は民主党の代表で、8月の
衆院選では、勝利はまず間違いないと思われていたのです。しか
しそのとき検察は小沢氏の公設第一秘書である大久保隆規氏を逮
捕したのです。2009年3月のことです。容疑は「政治資金規
正法違反」です。これによって、小沢氏は代表を辞任し、鳩山由
紀夫氏が代表に就任し、8月の衆院選に勝利して、鳩山氏が総理
大臣に就任しています。
 2回目の2010年9月は、小沢氏は民主党代表選に出馬して
いたのです。もし、代表選に勝利すれば、総理に就任することに
なります。しかし、小沢氏は、非常に不利な状況で代表選に立候
補しています。もちろん自分の意思ではなく、民主党内の支援者
に出馬を強く要請されたからです。
 不利な状況というのは、2010年1月に自身の秘書3人が逮
捕され、メディアは「小沢=悪人」として、あることないこと書
き立てており、さらに小沢氏は、検察審査会で1度目の「起訴相
当」を受けていたからです。しかし、検察はいずれも「不起訴」
処分。そのため、2010年10月に再び検察審査会の議決を控
えていたのです。もし、そこで「起訴相当」の議決が出ると、強
制起訴されてしまうのです。
 そんなときに小沢氏は、なぜ代表選に出馬したのでしょうか。
それは、時の総理である菅直人氏の政治があまりにもひどかった
からです。2010年に菅直人首相は総理になるや、民主党の公
約と正反対のことをやりはじめたのです。それは、財政改革のた
めに増税を提唱し、その結果、2010年7月の参院選で大敗北
を喫し、民主党は参議院の過半数を失っています。
 この流れを変えるために、民主党内の小沢氏を推す勢力が小沢
氏に代表選への出馬を求め、小沢氏は苦渋の決断をして、立候補
したのです。「小沢一郎VS菅直人」の対決です。結果は菅直人
氏が勝利し、最悪の菅政権が続くことになります。しかし、私は
このときの代表選で、民主党内で不正があったと考えています。
このように、小沢一郎氏にとって、総理の座が近くなってきたと
きに、いつもそれを阻む強い力が働いているのです。
 そして、2010年10月、東京第5検察審査会は、小沢氏に
対し、2回目の「起訴相当」を議決し、小沢氏は、強制起訴され
ることになります。それから2年後の2012年4月26日、検
察審査会に強制起訴された小沢一郎氏に対し、無罪判決がいい渡
されたのです。2009年3月の小沢事務所の公設第一秘書の逮
捕から、2012年4月の無罪判決までの3年間は、実に日本に
とって無実に駄な時間であったと思っています。
 いずれにせよ、小沢一郎氏の総理の実現はこれで完全に終った
のです。小沢氏に対して無罪判決を出した大善裁判長について、
2012年5月5日のEJでは次のように書いています。
─────────────────────────────
 今回の小沢裁判において、大善裁判長は判決に当って、本当に
苦悩したと思われます。今回の判決を「八方美人判決」と呼ぶ人
がいますが、まさにその通りなのです。裁判長は、最高裁、東京
地裁、検察、検察官役の指定弁護士、そして被告に対してそれぞ
れ配慮して無罪判決を出しているからです。
 仮定の話ですが、大善裁判長は有罪判決を出すことも十分でき
たと思うのです。なぜなら、石川知裕元秘書は小沢氏から借りた
4億円を簿外処理をしようとしていたのはどうやら事実のようで
あり、その監督責任を問うことは可能であるからです。しかし、
ここで小沢被告有罪判決を出すと、確実に控訴され、その審理プ
ロセスで、検察審の闇が暴かれる可能性があります。
                  https://bit.ly/2JNzAm3
─────────────────────────────
 小沢一郎事務所への「政治資金規正法違反(虚偽記載)」とい
っても、土地の購入代金の記載を代金支払い時ではなく、年度は
またいだものの、土地の登記年度にちゃんと記載している「期ず
れ記載」に過ぎないのです。その他の不正はないのです。「何が
なんでも小沢を潰せ」という検察の横暴ここに極まれりといった
ところです。それに比べて前首相への検察の対応はあまりにも甘
いです。     ──[『コロナ』後の世界の変貌/132]

≪画像および関連情報≫
 ●「安倍前首相聴取」が“被疑者取調べ”でなければ
  ならない理由
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   安倍晋三前首相側が「桜を見る会」前日に主催した夕食会
  をめぐり、参加費で賄えなかった費用計900万円余りを補
  填したとされる問題で、東京地検特捜部は、臨時国会が5日
  の会期末で閉会した後、安倍氏本人から事情聴取する方向で
  「調整している」と報じられている(共同、12月3日)。
   そして、この聴取要請について、安倍氏は、同日以降、何
  回か記者団の取材に応じ、「聞いていない」と述べている。
  「衆院議員会館の事務所前で記者団に語った。」と報じられ
  ている(読売、同日)。
   特捜部が、安倍氏に任意聴取の要請を行ったことは既に報
  じられていたが、その聴取に関して「調整している」という
  のは何を意味するのか、それを安倍首相が「聞いていない」
  と答えたのはどういうことなのだろうか。
   もちろん、この「桜を見る会」に関しては、数々の虚偽答
  弁を重ねてきた安倍氏である。「聞いていない」という話も
  そのまま信用することなどできない。しかし、何も答えない
  か、「ノーコメント」で通せばよいのに、事務所前で、記者
  団にわざわざ「聞いていない」と答えたというのは、それな
  りの意味があると考えるべきであろう。特捜部の任意聴取の
  要請に対して、安倍氏側が、聴取には応じる前提で「日程」
  だけを調整しているとは考えられない。聴取に応じるのであ
  れば、その判断が安倍氏の知らないところで行われるとは考
  えられない。          https://bit.ly/36ZMs1f
  ───────────────────────────
2010年民主党代表選.jpg
2010年民主党代表選
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 『コロナ』後の世界の変貌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする